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【ハーブ天然ものがたり】バジル


神聖であり庶民派


イエス・キリストが復活したのち、イエスの墓のまわりにバジルが生えたという伝説があります。
神聖なハーブ、神の意志が宿るハーブとして、ギリシャ正教会のなかには、祭壇をバジルで飾り、聖水の調合に使用する教会もあるそうです。

ヒンドゥー教徒は死者の胸にバジルをおいて埋葬していました。
故人があちら側へ無事にわたってゆけるよう手向けられてきたハーブです。

インドではバジルを宗教的儀式・礼拝に重用し、葉を噛んで霊感を授かり、ビシュヌ神とその化身であるクリシュナに献上しました。
クリシュナとその妻ラクシュミーの名がつくバジルもあり、
・ヒンディー語でトゥルシー
・英語でホーリーバジル
・和名で神目箒かみめぼうき
と呼ばれるバジルには、葉が緑のラクシュミー・トゥルシー と、葉が紫のクリシュナ・トゥルシーがあります。

クリシュナ
ヒンドゥー教でも最も人気があり広い地域で信仰されている神の1柱であり、宗派によってはクリシュナとして、あるいはヴィシュヌの化身(アヴァターラ)としてスヴァヤン・バガヴァーン(英語版)(神自身)であるとみなされている。

ウィキペディアークリシュナ

ラクシュミー
ヒンドゥー教女神の一柱で美と富と豊穣と幸運を司る。
4本の腕を持ち水に浮かんだ紅い蓮華の上に乗った姿で描かれる。
ヒンドゥー教最高神の1人ヴィシュヌの妻で、ヴィシュヌの化身と共にラクシュミーも対応する姿・別名を持っている。

ウィキペディアーラクシュミー



ホーリーバジル・神目箒かみめぼうきは、現代でも宗教用、医療用、精油の抽出を目的として広く栽培されています。

インドの法廷では宣誓を行うときにバジルが使われ、インド伝統医学アーユルヴェーダでも数千年にわたり、風邪、頭痛、胃の不調、炎症、心臓病、中毒症状、マラリアなどにバジルが処方されてきました。
また乾燥した葉は、抗菌と虫除けのため貯蔵用穀物に混ぜられました。

現代においてバジルは、全世界に広く普及し、誰もが一度は食べたことのあるハーブとなり、ジェノベーゼ、マルゲリータ、カプレーゼ等々、定番メニューになっているご家庭も多いと思いますが、料理用ハーブとして世間に広く浸透したのは近代になってからです。
中世の時代までは宗教的儀式に、また家庭用の医薬品、芳香剤、虫よけタッジーマッジー(香りのある花束)や香り玉として活用されてきました。

和名の目箒めぼうきはバジルシードでおなじみの、種子が水分を吸収してゼリー状になる(グルコマンナンがゲル化する)ので、目に入ったゴミをとるのに使っていたことから名づけられました。
イエス・キリストの復活劇を象徴するハーブで目箒とくればマタイ7章でしょうか。

なぜ、兄弟の目にあるちりを見みながら、自分の目にある梁を認めないのか。自分の目には梁があるのに、どうして兄弟にむかって、あなたの目からちりを取とらせてください、と言えようか。

自身の目に宿る丸太は、あまりに大きすぎて自分で気がつくまでに時間がかかったり、同族嫌悪から無意識に家族攻撃してしまい家庭内不和を生み出すこともあります。
おうちの中がぎすぎすしていると気がついたら、自分やほかのだれかを裁くまえにバジルのお料理を用意するのもよいかもしれません。
目に丸太が宿ると、ほんとうに丸太のようにごっつい「お裁きビーム」が視線にこめられて、見るものすべてを打ちのめします。
目は口ほどに、というか口以上に、いつでも自己を表現して、周囲を丸太ビームで裁くたびに、同等の痛みを自分自身に課してゆきます。
幸いなことに神聖でありつつ、現代では産業ルートの大台に乗ったバジルは庶民の味方でもあり手に入りやすいハーブです。


王であり魔物


メドゥーサの首から滴り落ちた血から生まれた蛇の王バジリスクは、息にふくまれた毒で石をも砕く、ギリシャ神話の魔物・怪物です。
バジルの学名 basilicum は、王を意味するギリシャ語のバシレウスに由来するという説と、蛇の王バジリスクに由来するという2つの説があります。

中世ヨーロッパ時代にはふたつの石の間でバジルをつぶしてサソリを生み出す魔術師がいたとか、バジルの粉末を鼻から吸い込むと頭にサソリが湧くとか、あやしいうわさが煙のように広がった時期もありました。

一方ではバジルがよく育つ庭をもつと、豊作が約束され、愛する人をふりむかせることができ、かがやける未来が待っているとも考えられていました。
お客人には歓迎のあかしに、大切な人には愛情のしるしに、バジルを贈ることが習わしだった時代もあります。

植物学者ニコラス・カルペパー(17世紀)は、
「このハーブは敵をつくるか、恋人を得るか。ふたつにひとつ。中間は存在しない」と書き残したそうです。
それはきっと善悪の両面をしっかり見て、どちらを選択するのか選ぶ自由を与えてくれるハーブ、ということでもありましょう。
目のなかに巨大な丸太を宿して世界中を敵にまわすような時期があったとしても、バジルさえあれば敵は恋しい人にもなり得るわけです。

ロシアの有名な民話に登場する大魔女ババヤーガを訪ねた少女、ワシリーサはヴァサリッサと表記されることもあり、ヴァジル(バジル)を象徴しているように感じています。
鶏の足が生えた動く家に住む大魔女は恐ろしく、少女に課す仕事もつらいものですが、悪をとことん突きつめると善に転じ、善もまたしかり。
ヴァサリッサ(バジル)は地上世界の二面性に対峙しながら、善悪をあわせもつ魔女の力を学んでいきます。そうして二面性の上に自立して立つことで、善悪を超越してゆくというお話(と、わたしは解釈しています)です。


時代の転換点


およそ2000年前のイエス・キリストの死と復活劇は、地球史における大きなターニング・ポイント(と、考えています)。

古代エジプトから、古代ローマ・ギリシャ時代を経て、神と人の分離作戦は完ぺきに遂行され、いまわたしたちが生きている時代は、もっとも昏い暗黒時代から夜明けを迎える時代に突入した、という説があります。
その折り返し地点がイエス・キリスト復活劇だった、と。

ヒンドゥー教の支柱となったマヌ法典には、ユガという4つの大きな時代の変遷が記されています。
ユガは時代のことで、インド哲学では循環する4つの時代を
・サティヤ・ユガ
・トレーター・ユガ
・ドヴァーパラ・ユガ
・カリ・ユガ
と呼び、サイクルは季節のように繰り返すと考えられています。

・サティヤ・ユガ
徳が支配する時代。
人間の平均身長は21キュービット、平均寿命は400年になる。

・トレーター・ユガ
徳が4分の3、罪が4分の1を占める。
人間の平均身長は14キュービット、平均寿命は300年になる。

・ドヴァーパラ・ユガ
徳が2分の1、罪が2分の1を占める。
人間の平均身長は7キュービット、平均寿命は200年になる。

・カリ・ユガ
徳が4分の1、罪が4分の3を占める。
人間の平均身長は3.5キュービット、平均寿命は100年になる。

*1キュービットは指先から肘までの長さ、約44.4センチ。

ウィキペディアーユガ

循環は春夏秋冬のように移り変わり、わたしたちの太陽はざっくり24,000~26,000年かけて、別の恒星(グレート・セントラル・サン)を中心に円環しているという発想です。
地球とおなじように太陽系にも4つの季節みたいなものがあるんだよ、と。

「フラワー・オブ・ライフ」トランヴァロ・メルキゼデク著

地球でいうところの夏を黄金時代とすると、それは上図の右側、天の川銀河の中心方向に近くなるサティア・ユガの季節で、地球に生きるモノたちが、もっとも目覚めている徳の高い時代となります。
逆に銀河の中心から最も遠い地点、カリ・ユガは暗黒の季節。
奈落のどん底を2000年ほど前に通過して、現在はA地点のドヴァーパラ・ユガにいる、というのがメルキゼデクの著作、フラワー・オブ・ライフにある説明です。


別の知見では、ルドルフ・シュタイナーの「アカシャ年代記より」に、地球は7つの転生期があり、
・土星期
・太陽期
・月期
・地球期
・木星期
・金星期
・ヴァルカン期
と、7つの段階を経て進化してゆき、いまは地球期だよ、となっています。
アカシャ年代記は紀伊国屋HPに本の取り扱いがなかったので、目次ページ載せておきます。

どちらも大きな大きなめぐり・循環についての考察となりますから、肉体寿命のカウント発想に閉じこもってしまうと、なんのことやら?となりますが、とにもかくにもキリスト復活劇をターニング・ポイントにして夜明けに向かっているんだなぁと考えると、閉塞感のある現代社会に明るい光が射すようで、こころも元気になります。

キリスト復活劇を象徴するハーブとして、神聖さと庶民性、王性と魔性をかねそなえたバジルは、暗黒時代から夜明けの時代にまたがるエレメントをもつ特別なハーブなのではないかな、と感じています。

インドの人々がバジルを天国のパスポートと考えたのは、天界にむかう魂にその香気をまとわせることで、約25,000年サイクルのもっとも昏い冬の時代が終わった喜びを知っている者同士、同調するエレメントが惹きあうから?と妄想しています。


天国へのパスポート


シソ科メボウキ属は他の種や、おなじ種での頻繁な他家受粉で、あたらしい雑種がどんどん生まれてゆきます。
スイートバジル、学名 Ocimum basilicum からの交配、交雑種でも60種ほどが確認されていますが、新種はさらに増えつづけているので分類も追いつかないといった様相です。

ホーリーバジル
レモンバジル
ブッシュバジル
アニスバジル
シナモンバジル
クローブバジル
レタスリーフバジル
ダークオパールバジル etc.

それぞれがバジルの香りにプラスアルファで、多種多様な香りと効能をもっており、環境に適合しつつ繫栄しています。

バジルは共通する香りの主成分にメチルカビコール(エストラゴール)があり、アニス、タラゴン、ローリエ、フェンネルなどと同じ香り成分です。
フェンネルの記事でも紹介しましたが、精油の場合エストラゴールをもつハーブの取り扱いには注意が必要になります。
芳香するだけなら問題ありませんが、キャリアオイルなどで塗布する場合はごく少量からはじめて、継続使用は避けた方がよいです。
精油の場合エストラゴールが少ないタイプもあり、バジル・リナロールと表記されているものの方が安心して使えると思います。
精油はハーブのエッセンスを凝集したものなので、たとえ1滴といえど生のハーブに換算したら大量に摂取していると思った方がよいのです。


バジルは育てやすいハーブで、1本の茎からどんどん分岐して葉を茂らせてくれます。ひと株植えておくだけでも、1家族で十分に楽しめるほどの収穫があります。
食卓がバジル三昧になり、乾燥ハーブも手作りジェノベーゼ・ソースも、たっぷり仕込むことができます。

熱帯地方のアジア(インド)原産なので、植えるならうんと暖かくなってからがおすすめです。本州以西なら5月頃でしょうか。
原種は多年生草本なので、ほんらいならば地上部が枯れても根が生きており、新芽を発芽させる力をもっていますが、日本の気候では越冬ができないので、種を収穫する必要があります。
とはいえ花が咲くや否や、すぐに種をおとして、またぞろ発芽してきますから、寒さ対策ができればどんどん繁殖します。


きっと天国への階段は多種多様にあり、地球上どんな場所でも、どんな環境にも、バジル・パスポートは広がっていくから、安心して夜明けの時代を楽しんでおくれ、ということなのかもしれません。

☆☆☆

お読みくださりありがとうございました。
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