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産学連携を最大限活用するテクニック

大学における「産学連携」「企業連携」は、多くの大学にとって非常に重要なコンテンツで売りにしている大学も多いのが現状です。

企業や地域との連携をPRすることで、学生数の増加やメディアPRが期待されます。今回はマーケティングの知見から産学連携における立案や教育や学生とどのように紐づけるか、PRの質の向上重要なポイントなど成功事例を紹介します。

産学連携は大学独特のコンテンツでネタの宝庫

産学連携は「学」と名前がつくこともありますが、大学や高校などで行う独特のコンテンツです。

企業と企業が連携をすると企業コラボとなりますが、学びを社会に関連しにくい学校にとって企業や地域と連携し、わかりやすいプロダクトを出すことができる産学連携は、大学が社会と繋がっていることを示す大きな成果になります。

戸板女子短期大学でも、2017年ごろから産学連携に力を入れ始めました。

自分が2016年(今から7年前)に転職をしてきて取り組んだプロジェクトは、すき家との商品開発で、食物栄養科の1年生6名がすき家本社(ゼンショー)に行って打ち合わせをするなど開発を行い、相互にリリースを出し、最終的にオープンキャンパスと神宮花火大会で販売、TVの夕方のニュースで取り上げられるなど、今行っている産学連携のモデルケースになる事例だったと思います。

苦労する産学連携を最大限PRするには?

産学連携は長ければ1年間以上の期間と労力を費やすことで、プロダクトとして形になったことで大学の社会的認知度も高まります。
最終的なゴールは、リリースをして様々な媒体、チャネルに掲載されることですが、「社会」というターゲットから「高校生」はあまりにもかけ離れていて、ニュースに出たけど本来の「顧客である」高校生は全く知らないという「自己満足」で終わってしまうことが多々あります。

また大学組織の特有ですが、一発のリリースでは他学科や他の部署の取り組みが学内に伝わらずにイマイチ盛り上がらないことも多いのが現状です。

では、その労力の割に報われない産学連携の取り組みを最大限発揮するにはどうしたらいいのでしょうか?
その答えは、導入から完結、そして感情までの全てのストーリーとして展開することです。

インナーブランディングから企業リリースまで使えるソースは最大限使う

産学連携は、学生への概要説明会から始まります。

今回は2023年に行われた「かっぱ寿司とのスイーツ開発」から見ていきましょう。
まずかっぱ寿司とのプロジェクトを戸板女子短期大学では、概要説明会のリリースもホームページに掲載しました。もちろん企業(コロワイド)の了承済です。そのリリースURLを学生に展開します。学内の教職員も見ることになりインナーブランディングにつながります。

(裏側効果)
ホームページに公開する=公に出すことで担当者自身の情報の整理整頓にもなることもあります。
当日の説明会の雰囲気と言葉で「えいや!」と伝えたつもりにならない(澁谷はこれを「納得させるではなく説得する」と言います)ことも重要です

次にプロジェクト中の様子、ミーティング風景や商品開発風景を逐一ホームページにアップする記事を書いてもらいます。

(結構大事なポイント)
プロジェクトごとにトンマナを統一します。今回はバナナがキーワードのため「黄色」「字は赤」「かっぱ寿司のロゴを入れる」など。統一することで読者を何の記事を見ているのか迷わせない(疲れさせない)ことを目的にしています。

大事なことが結果部分です。リリースと同じ内容を最終結果として掲載していきます。
リリースと同じことなので、概要や画像、これまでの経緯、双方の紹介リリースも掲載していきます。
メディアに出る際にはここをしっかり作り込まないとアクセスポイントがなくなってしまいます。

(ポイント)
企業側に出してもらうクリエイティブはプロジェクトの最重要事項です。手作り感がないことで本気度具合を伝えます。
プロが作るクリエイティブが、最終ゴールといっても言い過ぎではありません。ここを怠ると、プロジェクトの価値が半減します。

また企業側からのリリースも出してもらうようにお願いしています。大学のPRリリースへのアクセスは数千程度、企業へのPRアクセスは数十万と雲泥の差です。ここが社会へのアプローチの最重要ポイントだと考えます。

最後は高校生に向けてナラティブ体験に繋げる

最後にプロジェクトが終わった後の学生の感想を纏めて出していきます。

一人にクローズアップすることもありますし、メンバーの感想を全て掲載することもあります。ここは感情の部分で、高校生へのナラティブ体験につながります。
高校生がこの感想を観た時に、自分が戸板女子短期大学に入って同じような成長ができる、同じような感情を経験できる、モデルロールを「人」ベースで表現することで、あたかも自分が大学に入る前に体験したかのように感じてしまうのがナラティブマーケティングです。

最終兵器!ストーリーをハッシュタグでまとめる

大学はコンテンツの宝庫です。かっぱ寿司だけを纏めて行くことはできません。他にも毎日様々な学科のコンテンツが挙がっていきます。
つまり、このかっぱ寿司プロジェクトも数日後には残念ながら「埋もれてしまう」こととなります。

そこで4年前に澁谷が開発したのが「ハッシュタグによる記事のタグ付け」です。
今では多くの大学が取り込んでいますが、記事にハッシュタグをつけることで「かっぱ寿司の記事をまとめる」ことを考えました。

これはバナーでまとめるだけでなく、商品開発やかっぱ寿司に興味がある高校生に対して、リリース1記事だけでなくまとめサイトをメールやLINE、SNSでもピンポイントで送ることができるのです。

企業と大学と教職員と学生、全ての苦労を報う産学連携

冒頭に述べましたが、ほとんどの大学が産学連携、地域振興を売りにしていますが、講義や演習に比べると、お互いに外部とのやり取りやプレゼン指導など、疲弊してしまうことも否めません。
その苦労を広報やマーケティングの考え方次第で、ターゲットである高校生に向けて届けることができるのです。

現在は体験、経験は低年齢化していて、大学だけでなく私立高校を中心として、PBL教育が産学連携で企業とコラボすること、プレゼン提案する、企画化されることが当たり前になってきています。
大学としては新たな学びの基軸を作り出す必要があるとも感じています。

それを含めて、体験をどのようにPRしていくか、本質的な学びとマーケティング戦略の両立ができる大学、少しの差で生き残れるかが決まるのだと感じています。

最後までご覧くださり有難うございます。これまで20年間、コンビニやヘルスケアベンチャー企業でマーケティングやブランディングに携わってきた澁谷の経歴やストーリーはこちらをご覧ください。

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