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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

No.162 「ラグナクリムゾン」第71話備忘録

0. はじめに

 千年戦争アイギスで, 魔神降臨ミッション初実装から8年を経て, 「史上初」となる魔神Lv15銀以下

という「偉業」(ガチ)を成し遂げ, その興奮冷めやらぬ中, えー, 今年最初の「ラグナクリムゾン」の時間がやってきてしまいました… 正直, 昨日「アイギス」の方で盛り上がりすぎて(だって「アイギス」を9年近くやってきて一番嬉しかったといっても過言ではなかったんだもん), 「ラグナクリムゾン」の方を忘れかけるほどだった(「アイギス」と「ラグナクリムゾン」の intersection がある人はどれくらい居るのだろうか? 一応, 私は両方それなりに研究しているが).

 今年は辰年ということで正に「ラグナクリムゾン」の年ともいえ, 新年早々

死神 ラグナ VS 最強の第二位階 機竜グレストノウァク

という, ウォルテカムイ戦を上回ると予想される好カードをさっそく切ってきた. でも今回は戦闘回だから, 備忘録としてはいつもより楽そうで正直助かる. というわけで, 今月はチャッチャカやっちゃおう!! 実際, 1年前の1月は

No.90 「ラグナクリムゾン」第61話備忘録

というRTA回で, こちらも小林大樹に負けじとRTAで備忘録を書いたのであった. 1年ぶりに似たようなことをしてみるのも悪くないだろう. 

 しかし, 昨日はアガレスLv15銀以下で激闘し, 今日は「ラグナクリムゾン」第71話で(小林大樹と)激闘とは, 誕生日目前に我ながら中々に忙しない人生だな(退屈しなくていい). ちなみにちょうど1年前に

No.91 「モリコーネ 映画が恋した音楽家」雑感

を書いている(1年ぶりに読み返したら, 我ながら結構いい事を書いてて感心した. 普通に``小遣い稼ぎ''に使えたかもしれない). 1年が経つ(歳を取る)のが本当にはやい.

1. 死神 ラグナ VS 最強の第二位階 機竜グレストノウァク

 まず初手が

「狩竜閃! 閃! 閃! 閃!」

というラグナの``アバンストラッシュクロス''(アロー1発, ブレイク1発の重ね斬り)ならぬ, アロー3発, ブレイク(突き?)1発を重ねて放つ, いわば``アバンストラッシュアスタリスク''(安直には狩竜三閃? でも双閃と違って光速斬撃じゃないみたいだけど). 突きだから, アバンストラッシュより本家飛天御剣スタイルの九頭龍閃に近い感じ?

 しかし, 前回の三相交流の``メドローア''(滅竜瞬穿)といい(もっといえば以前の第48話のウォルテカムイ戦のシーンは, ダイとバーンの最終決戦のオマージュだったし), 小林大樹, 本当「ダイの大冒険」が好きだよね(俺も好きだ). だが, それでイイ!! (それがイイ!!) もっというとこういう絶妙なアレンジのセンスがいい(単なるパクリじゃなくて, ちゃんとオリジナルを消化して, 自分のモノとして表現できている).

 で, これを受ける機竜. タラテクトラあたりならこれで決まっていたはずだが, 機竜君はしばらくふっとばされてから(この時ちゃんとスライムで逃げるルオシーを補足しながら)「第一機装 分子結合 強化装甲」. これで``アバンストラッシュアスタリスク''を``銀剣オーラブレイド''ごと砕いているが, 「分子結合」ってことは電磁気力か. つまり原子操作や核力の類じゃないってことだから, 原子を砕く「小宇宙」的技なら貫通できるって設定にする気かな?

 次手, 機竜の「第二機装 超振動刃(ブレード)」. ラグナは躱して背後をとり, 狩竜閃を打とうとするも背面からの「第七機装 レーザー機構」で迎撃. というよりは牽制か(守備面でも隙がない)? 実際, 躱しきれずレーザーを受けたラグナもこの攻撃は貫通しておらず, ``銀剣アイアス''で受ける. ここは``アバンストラッシュアスタリスク''とは逆に, ローアイアスから枚数を減らして4枚版にしてるのか(士郎版アイアスはエミヤ版と違って4枚なんだっけ?).

 機竜の牽制からの追撃「第六機装 電磁機関砲(ガトリングレールガン)」. ラグナはこれを銀剣アイアスで受けず(受けられず? 実際``銀剣アイアス''が割られている?)回避. 機竜は更に追撃の「第三機装 超音速ミサイル」で上から攻撃(これは3000倍狩竜閃の意趣返し?). ここまでの機竜の装備や戦闘スタイルはゴーレムの完全上位互換という印象か. 

 ここで「やったか!?」の幕間として, 逃走するルオシー達の場面. 非常にこまいが, 最初のページでは失われていたルオシーの右足が, ここでちゃんと再生されていることがわかる. つまり逃走開始からスライムに乗って(というか先輩, 人を乗せて高速移動できるのか. やっぱり彼は非常に優秀である), ここまでくる間にカルラがちゃんと再生させたということがわかる. そこにまさかの重力100倍. ティーナちゃん(カワイイ)!! 生きとったんかい, ワレ!! しかし竜形が解けている(だからイイ!!). 魔力か体力か, いずれかが足りない? 竜形を維持するのも何か制約がある? そういえばアルテマティア様も最期は竜形ではなく人形だったし, 元来はそっちでやはり竜形は「成るもの」なのだろう.

 ルオシーが100倍に耐えられているのは素の力量? それとも天輪剣の(銀気同様魔力無効化の?)能力? 天輪剣の輪っかが上方に展開して支えていると思しき描写から考えると, 後者の感じがする. ここで, 前回の滅竜瞬穿の描写の時と同様, 上方に展開されている輪っかの枚数はやはり4枚. 未来ルオシーが滅竜瞬穿を放った時は6枚だったが, その違いは力量の問題なのか, それとも単純な装備の問題なのか(あるいはその両方? まだルオシーが6枚使えない?)?

 そしてルオシーが耐えている間にヘビの牽制で, ティーナちゃんは気圧されて後退. 焦っているティーナちゃんのそこはかとなく感じるキメラ味(実際, キメラがダウンしているから余計に紛らわしい)… とその時, 援軍(少なくともマリオネッタとハクレンの2名)到着. まさかの援軍間に合うルート? だって, 来るときはわざわざ``リニアモーター''使ってきたから, てっきり転移装置の類は近くにないと考えて(援軍は間に合わず), 前回

フェルビゴート(その他に現状打開できるコマがない)展開を予想したのに, さっそく外れちゃう感じですか? くそ, だからワシはイヤだったんだ!! フライング, 見切り発車的に不確かな予測を述べるのは(でもそうしないと追いつけないくらい今の小林大樹のテンポははやい)!! 

 でも, 前回のルオシーの「(師父は)あなたにだって負けないくらい強い」の方の伏線回収と解釈すれば, このルートもアリなのか. ただ, ハクレンが超絶技巧派系の強さだとすると, ネテロとメルエムみたいなもんで, 機竜との相性は大分悪そうなんだけど(百式観音じゃ当てることはできても, 機竜を倒せそうにない)… それこそ「小宇宙」的技でハクレンが機竜に攻撃を通したりするのかな? そうすると当然未来ラグナがハクレンを知っているか否かが気になるわけだが, どうもルオシーを訪問した際に彼と会った時も面識があるような振る舞いではなかったことから, 未来ラグナはルオシーには会っても, ハクレンには会っていないのだろう. ということはその前に「ラグナに負けないくらい強い」はずの不老剣士が何らかの理由で死亡していることになる. それは太陽の聖人暗殺事件とどう関係しているのか?

 場面変わって再びラグナVS機竜. 超音速ミサイルを避けたか, 受けたか(やったか!?). ともかく煙幕からのラグナの急襲. 機竜は「第五機装 光学迷彩」からのカウンターも, なんとラグナ防ぐ. これをグブデ成竜の時の初見殺しカウンターの類似と捉えると, やはりラグナが機竜を知っていることの示唆の一つか? 

 次いで問題の場面. 「第八機装 音響兵器」の直撃のシーン. そもそもこの攻撃は何か? マイクロウェーブ(電磁波)ではないし, ソニックブームの類には見えない(そうだとすれば多分斬撃系のはず). とすると大音量による聴覚, 平衡器官のマヒを狙うワザ(ヘゼラグレアの「ワッ!」の類)? でもそうすると口からの吐血は変な気がするし, これは一体何なのか?

 そしてより重要な点として, それを喰らいながらラグナが見つけた光ものは何? 鉱脈に埋まっていた銀彗星のカケラ? ともかくこの謎の物体を「第十機装 荷電粒子砲」を回避しながら回収し, ``銀剣エクスカリバー''(狩竜重閃)で反撃する場面で終劇.

2. 分析

 既に``実況''(!?)の合間に適宜ツッコんできたが, 一応総括. なんというか格闘メインじゃないからウォルテカムイ戦のような見栄えの良さはない. 要するにラグナが要塞基地に突っ込む構図になるから, どうしても引き気味のカメラワークが増えて, 互いに寄った絵が余り映らないのでむしろ地味な感じがする. しかし強い. これはタラテクトラ系統の強さ. 更に今回は戦闘, 戦争のプロが, しかも自力も強いという完全正統派的な強さでスキがない. 厄介極まる.

 実際, 初手の``アバンストラッシュアスタリスク''以外は, 超音速ミサイルの煙幕からの反撃しか, そもそもラグナがまともに攻撃ができていない. よしんば苦労して諸々の弾幕を掻い潜って, 反撃ができたとしても, あの強度でその攻撃さえも通らない... 

どうすんの, コレ...

 ただ, ウォルテカムイやタラテクトラと違い, 武とか技という感じがしない. 実際, 機竜は機装という形で元からの装備を適宜使用しているのであり, 文字通り精密な(AI搭載)迎撃兵器や基地を相手に戦争をしている感じ. これが機竜の大きな advantage なわけ(最強というのもわかる. 最強というのはある意味で「武の極致」とは対極にある正にこういうタイプの理不尽な強さだよ)だが, あるいは「武の極致」に対してはこのスタイルが何らかの disadvantage になる場面が起きて, そこからどうにかするしかないのかもしれない(それぐらいしか対処のしようがない).

 でも, 前回も指摘したようにラグナが「狩る」とは言っていないことから, 結局未来ラグナさえどうにかできなかった詰みポイントの可能性もあると思う. その場合は… 未来にいなかったハクレンやルオシー達とそれこそ「愛とか勇気とかなんかそういう素晴らしい系の力を結集して」どうにかするしかないかもしれない. ワンチャンバンコの方を狩ればいいとも思うが, 不滅狩りと機竜狩りのどちらがハードルが低いのかはわからんな. 

3. 桐生君の正体と竜化について

 今回気になったのは桐生君の正体である. つまり

「桐生君は本当に人間だったのか?」

ってこと. より踏み込んでいえば,

「彼は元から人間ではなくマリオネッタのようなロボット, アンドロイドだったのではないか」

ということである. 今回この疑問を抱くきっかけになったのは, 初手でラグナの``アバンストラッシュアスタリスク''を喰らって吹っ飛ばされた時のルオシーを補足した描写である. ここで明らかに生物ではない視点の絵が一枚混ざっている. 無論, これが竜化によって生じた能力の類の可能性もあるが, 私が想像したのは別の, 上述のような可能性である. 

 というのは, 今回のこの描写を踏まえた上で, 以前の桐生君の

「私は人ではありません」

という言葉を思い出すと, これが別の意味に聞こえるからである. つまりこれは

「私は, 竜になったから, 人ではありません」

という( trivial な)意味ではなく, 

「私は, 竜になる前から, 人ではありません」

という意味だったのではないかということである. 

 仮に桐生君が

「最初(竜化する以前)から人間ではなく機械(恐らく最初から何らかの兵器ロボット, 戦闘アンドロイドの類)だった」

と仮定する. そうすると当然次に

「竜化とは何か」

が問題になる. たとえば「悪魔の実」と同様に,

「竜化というものは, 生物でなくともできるかもしれない」

という可能性も示唆される. 

 確かに竜化が魔力の流れに起因するならば, 血液に限らず, オイルでも何でも何らかの形で魔力が流れさえすればよいわけだから, 生物に限る必要はない. この辺は彼が「最古の」という辺りにも関係していそう? つまり人体実験するより前の段階の竜化の被験体だったのではないか? そうするとフェルビゴートこと正に``キメラ''が真の最古(の第二位階)というのもうなずけるし, また

「マリオネッタも桐生君と同様のロストテクノロジーで作られている?」

といったこと(「おマルチロックミサイル」もその直前の「超音速ミサイル」の類似にみえるのもその伏線?)も気になってくるが, これに関しては今は措く.

 ここで論じたいのは,

「桐生君が最初から機械であったとしたら, 竜王たちはどうだったのか?」

ということである. つまり彼女らももしかしたら被験体で, カルラ同様最初から人間ではなかった(クローンやホムンクルスの)可能性もあるのではないか? 
あるいはより強く

「竜王たちは最初から竜化の実験目的に製造された最初期のホムンクルス達であり, この世界の``人間''が竜に成るのも, 実は彼らが純粋な人間ではなく, 竜王達と同種のホムンクルスだから」

みたいな背景を妄想したりする. NieR 的に考えると, この場合, 純粋な人間は既に滅んでいることになるわけだが, その可能性も考慮しておくべきだと思う. 

4. マンガ論的な話

 NieR の話が出たので, 今回やはり気になった本編とは関係ないマンガ論というか, 創作論的な topics について触れる. いつだったか忘れたが, ヨコオタロウがゲームを作る時に

「プレイヤーに余計なリソースを割かせないように設計する」

的なことを言っていたことがある. DODでいえば, 帝国, 王国, 山の国, 海の国, etc… で済ませ, 固有名詞を使わないといった工夫がその一例として挙げられていた. 

 「ラグナクリムゾン」や小林大樹に関してもこれと同様の思想があると感じる. 今回の例で挙げると, 機竜の機装である. 今回出てきた機装を番号順に並べてみると

第一機装 (分子結合) 強化装甲
第二機装 超振動刃(ブレード)
第三機装 超音速ミサイル
第四機装 ?
第五機装 光学迷彩
第六機装 電磁機関砲(ガトリングレールガン)
第七機装 レーザー機構
第八機装 音響兵器
第九機装 ?
第十機装 荷電粒子砲

のように, 変な横文字は絶対に使っておらず, 名前を聞くだけでそれがどんな感じの装備, 武器なのかが想像できるように設計されており, 複雑な戦闘描写において読み手の負荷を減らす工夫の一種になっている.

 まぁ, そういったマンガ論, メタ的要素以外にも, 以前

No.119 「ラグナクリムゾン」第65話備忘録

 において提唱した「ラグナクリムゾン」の世界における日本語の設定(令和530年から推測して, 「世界が一度リセットされ, 世界言語が日本語になっている」という仮説)とも関係している気もするが. 

 以前の

No.142 「ラグナクリムゾン」ノススメ

も言ったように, 「ラグナクリムゾン」とは


「ヨコオワールド」(DOD:7, NieR:3)に
「中二要素」をトッピングして
「ヒラコー風味」で
「バトルエンタテインメント」に仕上げた
「SF」

である. つまりは「中二」であり, そうするとヘタな作り手は無駄にカッコイイ(オシャレ)な固有名詞や専門用語を連発したがるのだが, (ヨコオタロウや)小林大樹は,「中二要素」がキチンとトッピングされながらも, そういう全く無駄で, 愚かなことは決してしない. 実際, 今回「機装」という形で大量の固有名詞が出てきながら, それによるマンガ本編とは関係ない不要な混乱を起こしていないことからも, 上述で指摘した事実と, 同時に彼の非凡さとを改めて実感できるだろう.

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