芝生

自己紹介が死ぬほど苦手です。

芝生

自己紹介が死ぬほど苦手です。

マガジン

  • ただそれだけの話/集

    筆者が見聞きしたよくわからない話を、気が向いたり思い出した時に文章化した話です。

  • 禍話リライト

    芝生がリライトさせていただいた禍話のリライト(書き起こし)です。 ~ツイキャス『禍話』とは~ 北九州在住の書店員のかぁなっき氏が、友人知人そのまた友人知人経由で集めた怖い話をする配信です。 公式ツイッター https://twitter.com/magabanasi ツイキャス https://ja.twitcasting.tv/magabanasi youtubeチャンネル『禍話の手先』 https://www.youtube.com/channel/UC_pKaGzyTG3tUESF-UhyKhQ (簡易ってレベルじゃない)『禍話 簡易まとめwiki』 https://wikiwiki.jp/magabanasi/

最近の記事

【禍話リライト】『ラブホの電話』

年末年始とはいえ、接客や販売など、休みではない業種もある。 タイトルにもあるが、この話はかつてラブホテルで清掃業をされていたAさんという方の話だ。 人間同士、様々な愛し合い方があるもので、限られた清掃時間の中できれいにしなければならない。大変だがそれなりに達成感のある仕事だったという。 そのラブホテルには、ルールがあった。 清掃の仕方などの業務においての決まりごとがあるなか、ひとつ奇妙だったのが、朝――というか午前中、フロントにいる時に【客室から電話が鳴っても出なくてよ

    • 【怪談】ただそれだけの話7

      芝生が聞いた、オチもなにもない、怪奇な話です。 ●●● 『ゆびさきひとつで』 梅雨になると思い出す、何年か前に当時の職場の後輩から聞いた話。 その後輩はかなり適当というかだらしないというか、たまに『それは人としてどうなんだ?』と思う言動があった。 ある夜のこと。 打ち合わせで外に出ていた後輩が少し体を濡らしながら帰社した。 その日は朝からそこそこの雨降りだった。傘を持って出なかったのかと尋ねると、 「いやぁ、誰かがオレの傘持ってっちゃったみたいで、会社にあった置

      • 【怪談】ただそれだけの話6

        芝生が聞いた、オチもなにもない、怪奇な話です。 ●●● 『旅行土産』 知人経由で聴いた話。体験者の方をYさんとする。 昨年の夏のある時。知人は友人たちと一緒に、最近恋人と別れたYさんを誘い、知人、Yさん、二人の友人の合計四人で、某都道府県にある宿泊施設へ土日を使いレンタカーで旅行に出かけた。 その宿泊施設というのが、元は小学校だった廃校を改装してつくられたものだった。 田んぼや森林の緑があざやかな村の、少し坂を上った岡の上に建てられた木造校舎。グラウンドの一角に設

        • 【禍話リライト(ではない)】『神棚の紙』

          【禍話リライト(ではない)】『神棚の紙』 ※この話はLateral(ラテラル)さんで行われたツイキャス禍話の有料配信 『FEAR飯の聖夜に凹んでかまへんで』 https://twitcasting.tv/lateral_osaka/shopcart/194761 のネタバレ(?)が含まれています。 アーカイブ視聴が二〇二三年一月八日(日)いっぱいまであります。補足としての文章になりますので先に配信をご視聴いただければと思います。 ◆ これはSさんが体験したふしぎな話。

        【禍話リライト】『ラブホの電話』

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        • ただそれだけの話/集
          6本
        • 禍話リライト
          13本

        記事

          【禍話リライト】『2階の忘れ物』

          誰にでも一つや二つじゃ利かない嫌な思い出がある。 忘れていたそんな思い出が、些細なきっかけから脳の奥底から這い出して来る。 というような話がツイキャス『禍話』の語り手・かぁなっき氏の元に届けられた。 ●●● Yさんという女性の話だ。 現在のYさんは「おとなしい」と評されそうな、穏やかで落ち着きのある大人の女性なのだが、 「子供の頃はおてんば、というか……、男の子たちと外で遊ぶことの方が多かったんです」 彼女が小学生の頃暮らしていた住宅街には、ある廃屋があった。

          【禍話リライト】『2階の忘れ物』

          【怪談】ただそれだけの話5

          芝生が聞いた、オチもなにもない、怪奇な話です。 ●●● 『ひょこひょこ』 都内某所の書店で働く友人の話です。 建物一棟がまるまる書店で、各階ジャンルごとに分かれている大型店舗。 あるフロアのある一か所にだけ、友人の言い方をそのまま書くと『ウザい幽霊』が、そのフロアのレジに入っている時にだけ現れる。 レジで接客をしたり作業をしたりしていると、ふと視線を感じることがある。 接客業なのでお客さんの視線を感じるのはよくあるが、その視線はそうではなく、感覚的に違う。そして妙に

          【怪談】ただそれだけの話5

          【怪談】ただそれだけの話4

          芝生が聞いた、オチもなにもない、怪奇な話です。 ●●● 『ベタっぽい話』 タクシー運転手をされているAさんから聞いた話。 還暦に近い年齢で、都内にある鬼籍に入った両親の代からの持ち家にて弟さんと二人暮らしをされているAさん。 業種上、たまに私(筆者)のようなもの好きな乗客から『なんか怖い話とか無いんですか?』と聞かれることがあったそうだが、ある時まで一切そのような体験も、同僚から伝え聞くこともなかったそうだ。 そんなAさんにも唯一、うまく説明できない体験があるとい

          【怪談】ただそれだけの話4

          【怪談】ただそれだけの話3

          芝生が見聞きした、オチもなにもない、怪奇な話です。 ●●● 『だれ?』 Sさんが中学生二年生の頃の話。 当時Sさんは、登校拒否とまではいかないけれど、学校にはあまり行かずにぶらぶらしていた。親も「高校に行ってから真面目にやれば」くらいで、特に口出しすることもなかった。 それで、学校へ行かずに何をやっていたか、というと、本を読んだり友人たちとゲームしたり、いわゆる“非行”――盗んだバイクで走り回ったり夜の校舎の窓ガラスを割ったり――はしていなかった。 ただ何となくふ

          【怪談】ただそれだけの話3

          【禍話リライト】『公衆スリッパ』

          人と人との距離感。 それぞれのパーソナルスペースがあり、合わない人とはとことん合わないものである。 かの文豪が『智に働けば角が立つ情に棹させば流される』と記したように、人付き合いとは難しいからこそ、その時々のバランスが大切なのだ。 この話は怪談ツイキャス『禍話』の語り手、かぁなっき氏が収集した中のひとつである。 ●●● 会社員の男性、Aさんには、社内で少し苦手な同僚、Bさんがいた。 年齢はAさんより少し上。 なんというか、考え方や調子の乗り方がAさん自身の感性とズレ

          【禍話リライト】『公衆スリッパ』

          【怪談】ただそれだけの話1&2

          芝生が聞いたオチもなにもない、怪奇な話です。 ●●● 『黒いゴミ袋』 先日実家に帰省した際に幼馴染から聞いた話。 Mちゃんは市内にあるホームセンターの園芸コーナーで、大学卒業後から今まで働いている。 そのホームセンターにまつわる話だ。 開店前の準備時間や閉店後、はたまた悪天候で客入りがいないような時、従業員が一人で通路を歩いていると、黒いゴミ袋が“出る”のだという。 置いてあるではなく、出る。 歩いていると、視界の端から、ぼす、と中身が詰まった一抱えもあるよう

          【怪談】ただそれだけの話1&2

          【禍話リライト】『三日前の予言』

          『虫の知らせ』という慣用句がある。 なにか良くないことが起こるんじゃないか、という予感を、人の体の中にいる三尸(さんし)や三虫(さんちゅう)と言われる存在が知らせるらしい。 この話に幽霊や妖怪の類は出てこないが、偶然という言葉で片付けるには奇妙な出来事が、ツイキャス禍話の語り手・かぁなっき氏の元に届いた。 ●●● Aさんは五十歳を過ぎたサラリーマンだ。 ある日の終業後、所用の買い物をするために会社から駅へと向かう途中にある百貨店に立ち寄った。 夕方から夜の間で多少の

          【禍話リライト】『三日前の予言』

          【禍話リライト】『勝手塩』

          盛り塩。 商売繁盛や縁起担ぎ、または厄除けとして、歴史を遡れば奈良・平安時代にはすでにあったとされる風習。 牛なんかが塩を舐めるため立ち止まるため、その店に寄る、という話があったようだ。 往来や通行の妨げにならないよう、玄関や入口の脇に置かれることが多い盛り塩が、予期しないところ、誰によって置かれたかわからない……そんな状況に出くわしたら、あなたはどう感じるだろうか。 これは禍話の語り手であるかぁなっき氏が収集した話の中のひとつ。 ●●● 企業勤めのEさんは、毎週

          【禍話リライト】『勝手塩』

          【禍話リライト】『全部使用中』

          非日常。 例えば夜中の駅や商店街といった、普段は賑やかな場所が時によって静かになるときに立ち会うとき、怖さが混じりながらも少しワクワクしないだろうか。 いつもと違う喧騒に浮足立つのはなにも人間だけに限らない――。 禍話の語り手であるかぁなっき氏が、ある教師――S先生としよう――から聴いたというお話。 ●●● 平成の中期ごろ。春。 K県にある高校に赴任したS先生だが、なぜか普段から校内放送で耳障りにならない程度の音楽 (S先生によると、クラシックのなにか、だという) が

          【禍話リライト】『全部使用中』

          【禍話リライト】『額の手』

          「金縛りに遭った」というと、「それは脳だけが起きてしまったせいだ」などと返す人もいるが、中にはそうじゃないのでは……。という話もある。 ●●● 一人暮らしをしているAさんから聞いた話だ。 Aさん自身も、これまで何度か寝ているときに意識はあるが体は動かない、といった金縛りを体験したことがある。 その日もいつもの通り寝室に布団を敷いて寝ていた。 眠りにつきしばらく経つと、ふっ、と覚醒してしまった。 意識ははっきりとしているが、目を開けることも手足を動かすこともできず、

          【禍話リライト】『額の手』

          【禍話リライト】『落書きビルの文字列』

           大学生のAさんから聞いた話。  Aさんは大学進学を機に実家を離れ、大学がある街で一人暮らしを始めていた。  彼が暮らす街は、昔は栄えていたらしいのだが、隣駅やその先が栄えてしまった結果、どんどんさびれて行ってしまったのだという。  三回生の頃、涼しくなってきたある秋の日。  この街に実家がある学友のBさんから駅前のファストフード店に呼び出された。 「どうしたんの、急に呼び出して」 「あぁ、A、ごめんねな。ちょっと聞いてもらいたいんだけど……」  少し暗い表情でBさ

          【禍話リライト】『落書きビルの文字列』

          【禍話リライト】『パーティーの家』

           かつて田舎に住んでいたAさんが高校生の頃に体験した嫌な思い出の話。  過疎化も進み、一学年一クラスしかないような高校に通っていたAさん。    そのクラスメイトに、その場にいない人が見えたり、しないはずの音が聞こえたりする、といった、いわゆる霊感がある……ような発言をするBさんという女の子がいた。  特にトラブルにつながったりすることもなく、クラス仲も良く平和だったこともあり、また、変な発言をしないときのBさんは明るい子だったりもしたからか、そんなBさんの不思議ちゃん

          【禍話リライト】『パーティーの家』