小屋

🌸しばざくらマーケット🌸Vol.2~しばざくらの土手の上になんで野菜直売所があるの???

どうも農家ムスメです。前回は野菜直売所を始めたいきさつをお話しましたが、今回は野菜直売所の設置場所についてお話したいと思います。設置場所を決めた主な理由は4つあります。

①春になるとしばざくらがキレイだから

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私が小学校1年生のとき、業者さんに頼んで田んぼに泥を盛る作業をしてもらいました。しかし、その後雨が降る度に盛った泥である畦道がどんどん排水溝に流れていく状態になってしまいました。それを防ぐために田んぼの土手に、庭に咲いていたしばざくらを母と一緒に1000本植えました。1日お手伝いすると母から缶ジュース代120円がもらえるので、子どもながら必死で植えた記憶があります。

しばざくら

20年近く経ち、今では100メートル以上近く続くしばざくらの土手になりました。桜が早く咲き過ぎてしまった年には、しばざくらマーケットの目前にある小学校の新入生の親御さんとお子さんがしばざくらの土手に記念写真を撮りにいらっしゃいます。さらにこの時期はデイケアのバスも、しばざくらを眺めるご老人のためにゆっくり走っていきます。自分たちで言うのも何ですが、地域の方々にも親しまれるようになったキレイなしばざくらの土手の上で直売所が開けたら最高だよねとそう感じたのです。

②子どもたちに野菜畑を見てもらうため

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しばざくらマーケットの目前には小学校があり(農家ムスメの出身校)、子どもたちにお野菜を通して食育をしたいという当初からの狙いがありました。土手の上の畑に直売所を設け人々の目を集めること。そうすることによって、土手の石段を上って直売所に来ると自分たちが食べる野菜がどうやって育っているのか、農家の人たちがどのように野菜の管理・お世話をしているのかを間近に観察することが出来るようにしました。

チンゲン菜

農家の畑仕事を土手の上からでも下からでも見れる一種のパフォーマンスのような見せ方をすることによって、子どもとその親御さんが少しでも野菜に関心を持ってくれるようになるのではないかと考えたのです。そのための補足として野菜の収穫方法や料理レシピを張り紙にして、直売所脇の鉄板に貼り出しています。

看板

③アート畑として

今後、畑の空いたスペースに、アート作家さんが野菜や我が家に関する歴史に触れてもらって制作したアート作品を展示していきたいと計画を進めている最中です。去年の年末、私の高校&大学の同級生である友人に畑に遊びに来てもらって、野菜を収穫したり写真を撮ったりして、作品のモチーフになるものを探してもらいました。彼女の作品は、早ければ4月以降に畑に展示出来るかもしれませんのでお楽しみに!

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そこで、私がアート畑をやりたいと考え始めたきっかけをお話したいと思います。

・地方アート旅

Vo.1でお話した通り私は某美大出身であり、学生時代から現在まで継続して全国の町おこしアートの祭典、トリエンナーレ・ビエンナーレを年間3つほど巡るアート旅を続けています。(↓市原アートミックス・奥能登国際芸術祭・富士の山ビエンナーレ)

市原

奥のと

富士

中でも記憶に残っているのが新潟の越後有妻で開催されるトリエンナーレ『大地の芸術祭』。(↓新潟六日町宿泊先の窓から)

新潟

過去に3回ほど行ったことがあるのですが、あれは2015年のときだったでしょうか。古い民家の外壁に巨大な白い布が、三層ぐらいに重なり合い、風にたなびいている。その光景は白い川が流れているかのように美しかった。私たちがその光景に心を奪われていると、そこの住民の農家のおじいちゃんが近付いて来て「作家さんがこんな風に私たちの土地を見てくれているなんて嬉しいねぇ」と。そもそも、農家のおじいちゃんの口から『作家さん』というアート用語が飛び出たのにも驚きましたが、何よりもその日に焼けた笑顔がとても印象的でした。普段、自分たちが住んでいる場所に「何かを感じるか」と言われたら特段何も感じないでしょう。作家さんの目を通して自分たちの土地の本来の美しさだったりするものを、このおじいちゃんは再認識出来たのではないでしょうか。その土地の人と他の場所から来た作家さんが作品を通してお互いに尊敬の念を抱いてつながり合うことが出来ているんだなと強く実感しました。土地、町の人々、作家、作品、それらを取り巻く関係性。私は自分の畑が他者の目からどう見えているのか段々と興味が湧いてきたのです。

他にも山深い廃校などを利用した作品群を色々巡ってみたりして、季節の変わり目で何もない畑の有効活用法のひとつとして、作品展示をするアート畑という新たな価値が見出せるのではないかという考えに行き着きました。

・子どもにアートを触れさせる

直売所では私が制作したレジンアクセサリーやプラバンマグネットを販売しています。子どもたちに少しでも直売所に興味を持ってもらいたいという理由から始めましたが、実は他にも理由があります。

田舎の子は都会の子に比べて美術館や工作ワークショップなど、アート体験出来る機会が少ない気がしています。私は地域で子どもと工作を通して触れ合う機会があるのですが、ハサミなども使い慣れていない様子を多く見受けられ、上手に出来ないからと言って作るのを諦めてしまう子も多いです。なので出来るだけ、みんなが手に入る百均で売っている材料で作り、直売所で子どもたちに作り方を聞かれたときは作り方のワンポイントアドバイスを教えたりしています。そういったモノを手に触れたり見てもらうことで知識を増やし、身の回りにある簡単な材料で自分たちの手でも作れるんだという発見や自信につなげてほしいのです。私が教えたことがその子が親になったときに、また次世代の子どもに教えてあげて上手になればいいな、地域でバトンタッチリレーが出来るといいなと勝手にちょこっと願いを込めていたりもします。 

髪ゴム

マグネット

また直売所に季節ごとに飾りを作って飾ったり、季節の花を生けることによって、直売所に来た子どもや親御さんが花の匂いをかいだり、葉に触れたり、見ることを出来るだけ体験してもらう。子どものころから自分の身体を使った「見る、聞く、触る、描く」などの体験を積み重ねてもらって、物事を多角的に捉えられるよう視野を広げて欲しいと思っています。アートも野菜も心と体を豊かにしてくれるものだと実感してくれたら嬉しいです。今後、野菜を使った工作ワークショップも地元で開催出来たらと計画を進めていますので、おいしい夏野菜が沢山実る時期までお待ちくださいね。(↓お庭で咲く花梅と紅梅を生けました)

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(↑節分のイワシ飾り、我が家の裏森のヒイラギ)

④盗難防止のため

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ネギ

近所の野菜直売所の先輩方から、直売所の盗難被害のお話を直売所をオープンする前々から伺っていたので、土手の上の一番目立つ場所に設置をしました。ですが、お話は現実で悲しいことにたびたび盗難&代金違いが発生します。あんなに目立つ土手の上で、隣が住宅地で人が頻繁に通る場所でも起こるのです。監視カメラの設置&警告文貼り出しも散々考えましたが、直売所が警戒感たっぷりの雰囲気になるのは嫌ですし、何よりお代金をきちんと支払ってくださっているお客様に、自分たちが疑われている印象を与えてしまうのではないかという心配が一番にありました。そこで私が考えた案が直売所を目立たせて周囲の方々の目を直売所に向けさせることで、盗難しにくい環境を作ることでした。クリスマスには我が家の庭の植物でスワッグを作ったり、節分の日には空き段ボールで鬼の面を作って飾り、ネギの特売日には手作り和紙ネギを飾ってネギネギアピール。夜にはイルミネーションをしてみたりと日々試行錯誤して、来てくれたお客様みんなが楽しんでくれる&盗難しづらい環境づくりを心掛けています。ですから、しばざくらマーケットの前を通る際にはチラッと直売所を見ていただけたら農家ムスメの苦労がほんのちょっぴり報われます。(↓手作りクリスマスリース&スワッグ)

クリスマス

以上、野菜直売所の設置場所について長々とお話させていただきました。お付き合いいただきありがとうございました。

最近のできごと

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農家ムスメ、花粉にものすごく敏感な体質でして今年は暖冬のせいなのか、1月から目の痒み&鼻水が止まりません!畑仕事が非常に辛い時期なのです。しかも、裏森にはスギの木がたくさんあり花粉の発生源になっています。春が来るのが待ち遠しいのと同時に花粉シーズンが早く過ぎるのを願ってやまない今日このごろです。







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