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男なら「パスタ巻き筋」を鍛えるべし。

本場イタリアでは、パスタを食べるときにスプーンを使うのは子供だけ、というのは本当なのだろうか。

どうがんばっても、スプーンを使ったほうが楽だ。
なんなら、箸でお願いしたいほど。

今日、奥さんと駅前のパスタ屋へランチに行った。
第一印象で「はずれかな?」と予感した。
入り口を開けても店員さんは出てこないし、昼だというのにやたら薄暗くてムーディーだし、出てきた店員さんもなんかツンケンとテキパキの中間にいるような方だった。

なぜだろう、こういう店に入ると逆にマナー良くしようと思ってしまう。
こちらが注文するときの声もやたらハキハキ、笑顔で。
サラダと一緒に運ばれてきたパンも、ちゃんとちぎって食べる。

小エビとナスのトマトクリームパスタを頼んだが、出されたパスタは塩を入れ忘れたのか、それとも素材の味を優先するこだわりなのか、塩気がほとんどなく望んでもない健康志向な一品。

これはわたしの舌が未熟なのか、やっぱり店がはずれなのか。
食卓に塩があるわけでもないし、仕方ない。
雰囲気だけでも楽しもうと決めた。

当然スプーンは使わない。
奥さんはお構いなくスプーンの中でフォークをクルクルさせ、もっちもっちと食べているが、わたしは「フフン」と気取って巻き巻きした。

しかし、もともとパスタを食すときに家では箸、当然ファミレスでも箸。チョップスティックこそ世界で至高の食器だと思っている。本当は「箸くださーい」と言いたい。
慣れぬ手付きでフォークを巻きつづけていると、次第に手首の筋肉が痛くなってきた。
普段はジムで上腕二頭筋、大胸筋、とさまざまな筋肉を鍛えているわたしの「パスタ巻き筋」が、こんなにも貧弱だったとは。

いたた、いたた、と思いながらも薄味パスタを完食。
皿に残ったソースをパンに塗って食べようかしら、と思った刹那「お下げしまーす」と皿を持っていかれてしまった。
むーん・・・パンで皿のソースを拭いて食べるのはマナー違反とも言われているからかな。

入れ替わりで食後のドルチェが奥さんに運ばれてきた。
まっ白い皿に色の違うプチケーキが4つ並んでいて、チョコレートソースが網の目にあしらわれている。またもっちもっち食べながら「ドルチェはおいしーかも」と言っていた。
・・・じゃあいいか。




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