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当店がお店でペーパードリップをハンドドリップで淹れる理由

皆さんこんにちは!SHIBACOFFEEの柴田です。

先日2021年の新年に初投稿させてnoteの記事が、思いがけずたくさんの反響をいただけて本当にびっくりしています。

生まれて初めてのブログ記事でしたから、読んだ皆さんがどんな反応をされるのか?そもそもわざわざ読んでくれる人は居るのか?いろいろ不安は大きかったもので・・・。まぁ最後は「仮に誰も読んでくれなくても、自分の頭の中の整理になるからいいや」と開き直って投稿した次第ですが。でも大変ありがたいことに好意的なコメントなどまで頂戴できて、張り合いが出ました!「僕が焙煎のコーヒー屋を始めた理由」を読んでくださった皆さま、本当に感謝いたします!!

さて今回、2回目の投稿のテーマに選んだのは「ペーパードリップ(ハンドドリップ)」についてです。

前回に続いて「自己紹介」の続きくらいのつもりで選んだテーマだったのですが、書きながらどんどん伝えたいことが溢れ出て来てしまい・・・気づけば10,000字を超えていましたw。次からはもっとポイントを絞って読みやすい投稿にして行きたいと思いますが、今回はやり過ぎな程にかなりのボリュームです。申し訳ありませんがちょっと心して読み進めていただければと思います。

さて、当店の店内カフェでのコーヒーの抽出に使用してる器具は①「コーノ式ペーパードリッパー」と②「ランチリオ社のエスプレッソマシン」ですが、主軸としているのはHOTでもICEでも『ハンドドリップによるペーパードリッパー抽出のコーヒー』ということになります。

2021年の今には、コーヒー抽出方式ひとつとっても「ペーパードリッパー」「金属フィルタードリッパー」「ネルドリッパー」「コーヒープレス(フレンチプレス)」「エアロプレス」「サイフォン」「クレバードリッパー」「漬込み式水出し(コールドブリュー)」「点滴式水出し(ウォータードリップ、ダッチ式)」「モカエキスプレス(マキネッタ)」「エスプレッソマシン」「パーコレーター」etc...とたくさんのタイプが出回っていますが、中でも「1970年(昭和45年)生まれ」の身としては、ある意味『ペーパードリップ』世代ではあります。

ですが、当店が開店時に「ハンドドリップによるペーパードリップ方式」を選択したのは、大きく分けると理由が3つあります。ではこれからその3つの理由をお話ししたいと思います。

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マスター抽出シーン①

1.僕自身がペーパードリップが好き

私がコーヒー屋巡りに熱心だった平成の初期の頃のコーヒー専門店の多くは「ペーパードリップ」を採用していました。まだ「コーヒープレス」は浸透しておらず、「サイフォン」を使うお店はだいぶ少なくなっていました。老舗の名店では「ネルドリップ」も健在でしたね。

実際、喫茶店通いをし始めた高校生の頃(1987年頃)に最初にはまったお店は群馬県太田市の実家近くにある『カフェド セラ』(https://tabelog.com/gunma/A1002/A100203/10004514/)でしたが、「ハンドドリップによるペーパードリップ」でコーヒーを淹れてくれるお店でした。(こちらは今ではフード類も美味しいカフェに発展している大繁盛店です)

そして運転免許を取得してから車で通ったお店、栃木県佐野市にある自家焙煎店『珈琲音』(http://kahian.com/)は、南千住の名店「カフェ バッハ」グループのお店ですが、こちらも「ハンドドリップによるペーパードリップ」のお店でした。(1990年頃の話)

また「家庭用コーヒー器具」の状況も当時は既に「ペーパードリップ」が主流となっていました。その前の時代に家庭用としても席巻した「サイフォン」は正直もうあまり目立たない存在になってましたね。ペーパードリップ用のドリッパーはドイツ発祥の「メリタ」と日本のメーカー「カリタ」が覇権を競っていました。「ペーパードリップ」と言えば「1つ穴(メリタ式)」か「3つ穴(カリタ式)」かで事足りた時代ですね。コーヒーメーカーも徐々に安価なものが出回り始めてましたがほぼその全ては「ペーパードリップ」方式でした。

「コーヒープレス(フレンチプレス)」は実はもうこの時代にも日本にも存在しました。けども当時の国内では「コーヒー用」ではなく「紅茶用」として広く浸透していました。実際共用できる器具ではあるのですが恐らく「国産プレス器具『ハリオール』」を1979年に発売開始した「ハリオ」が、既にサイフォンやネルドリップ、そしてペーパードリップが市場を埋めていたコーヒーの分野よりも「紅茶業界」の方がシェアを拡大し易いと判断したのでしょう。ちなみに当時のハリオさんは社史を見ると「サイフォン」も扱っていたし「紅茶用ティーポット」も扱っていました。

ちょっと話が脱線しましたが、つまり世代的に私は「ペーパードリップ」の洗礼を浴びながらコーヒーライフを歩んでいった訳です。なので結局「フィルターで濾すコーヒー」の味わいがもう馴染み過ぎているとも言えますね。「焙煎のコーヒー」の世界に進むターニングポイントになった『堀口珈琲』もまた「ペーパードリップ」のお店でしたし。

ただし、私個人の好みとして一番好きなコーヒー器具をあえてあげるならば実は『ネルドリップ』ということになります。これは焙煎度合いの好みがどちらかと言えば「深煎り」だからとも言えますかね。「ネルドリップ」は浅煎りよりは深煎り向きだと感じてますから。ただし「ネル=起毛した綿織物」のフィルターの管理がちょっと面倒くさいw。新品を開封したら、1度は糊落としの為に煮沸する必要がありますし、ドリップ後にコーヒー粉を捨てた後、内側にびっしりこびりついたカスをしっかり洗い流さなければならない。それが「ペーパードリップ」ならば淹れ終わったらコーヒー粉も「紙ごとポイッ」で済みます。

また「コーヒープレス」の味わいもも個人的には決して苦手ではなく、ペーパードリップと味わいのニュアンスは変わりますが、これはこれで別の魅力が楽しめると感じてます。大手コーヒーチェーンに勤めていた頃には散々「コーヒープレス」のコーヒーを味わいましたからね。ただしこちらの器具も、淹れ終わった後の洗浄がやはり手間と言えば手間になります。

なので結局マイスタンダードは「ペーパードリップ」になっている訳です。


2.日本人はペーパードリップが好き

ここまでは個人的な指向としての「ペーパードリップ」のお話でしたが、次は【結局日本人の多くは「ペーパードリップが好き」】というお話をさせていただきます。

先程は1980年代~90年代にかけてのマイコーヒーライフを通じて日本のコーヒーシーンの一端をお話ししましたが、その後徐々に家庭用としても広まった円錐型ペーパードリッパーの元祖「コーノ式」も加わり、我が国における「ペーパードリップ」優位の牙城は盤石かと思われました。そんな状況の中の1996年に「スターバックスコーヒー」が銀座に日本初進出を果たし、新たなコーヒー器具の潮流が生まれます。

それが『コーヒープレス(フレンチプレス)』の台頭です。

先程も説明した通り「プレス式」の器具自体は既に国内にも流通していましたが、あくまでもそれは「紅茶用」として認識されていました。しかしスターバックスが「良質なコーヒーの味わいがそのままダイレクトに楽しめて、しかも抽出が簡単な方法」として新たにボダム社製の『コーヒープレス』を「一押しのコーヒー器具」として啓蒙し始めます。

スターバックスの店頭ではコーヒープレスで淹れたコーヒーの試飲を積極的に行い、また常連のお客様を中心に店内の客席を利用して行う「テイスティングパーティー」等の機会でもプレスで淹れたコーヒーを振る舞っていました。

そしてその後に皆さんご存じの通りスターバックスの店舗はあっという間に日本中に広まっていきます。と同時にコーヒープレスも全国津々浦々にまで紹介されて行きます。「スターバックス=ファッショナブル」というイメージの中、雑誌などでも積極的に取り上げられ、ついでに「ボダム」というブランドの認知も広まります。

そして2000年に誕生した『珈琲の味方塾』(「丸山珈琲」を筆頭に、福岡の「ハニー珈琲」や鹿児島の「ヴォアラ珈琲」、東京は八丁堀の「珈琲屋めいぷる」や群馬の「伊東屋珈琲」、札幌の「横井珈琲」etc...が加盟)の一派がまた『コーヒープレス』をメインの抽出器具として積極的に啓蒙をはかります。

更には2010年頃から目立ち始めたいわゆる「サードウェーブ系」とマスコミが名付けた様な「浅煎りを中心としたスペシャルティコーヒーロースター」のお店達も「コーヒープレス」を積極的に取り入れているところが多かったですね。

しかしながら2021年現在、家庭用コーヒー器具の主役はどうなっているでしょう?「コーヒープレス」も一定のシェアは確保してますし、また2010年頃より21世紀のニューカマーとしてマニア中心に広まって来た「エアロプレス」や「クレバードリッパー」等の器具も健在です。しかし同時に「ペーパードリッパー」のメーカーもたくさん登場しています。ハンドドリップ用のポットがこんなにもたくさんの種類が乱立する時代は過去にはありませんでした。

そう、2021年の今も日本における家庭用コーヒー抽出器具の主役はやはり『ペーパードリップ』なのです。

スターバックスも2010年頃より、店頭での器具のラインナップのメインは「ペーパードリッパー」に切り替わってます。(少なくとも日本では)

「ペーパードリップ」と「コーヒープレス」の一番の違いは何でしょう?形が違う?お湯を上から少しづつ注ぐのと注いで4分待つのと方式が違う?豆の挽き具合の粗さ違う?etc...そのどれもが正解ではありますが、「一番の違い」は『「紙のフィルター」か「金属のフィルター」か』の違いと言えます。「紙でコーヒー液を濾す」のか「金属でコーヒーの粉をせき止める」のかの違いです。

つまり結論としては【日本人は「紙で濾した後の澄んだコーヒー液が口なじみが良い】のだと私は考えています。

ここには「和食」と「洋食」の違い、「日本」と「欧米諸国」との食文化の違いが大きくかかわっていると推察しています。

和食の基本は『出汁』です。昆布や鰹節や煮干しなどを湯で温めながら味わいを引き出し、本式としては最後に和紙などで濾します。その澄んだ旨味成分としてのクリアな味わいの状態の「出汁」を料理のベースに使います。そして同時に「油分」や「乳製品の油脂分」はもともとはあまり用いません。

しかし「欧米」ではイタリアのオリーブオイルや、フランスのバターやクリームをを代表例として料理に「油脂分」を多く使います。従って「食後のコーヒー」として口の中をさっぱりさせるのに良くなじむのは、必然的に「金属フィルターで抽出した油分の多いコーヒー」になってくるでしょう。ですから「エスプレッソ」もまさに金属フィルターのコーヒーですし、「コーヒープレス」もしかりです。近年では「ドリッパー」も紙を用いない「金属や樹脂」製が増えています(ただしこの部分については「紙がもったいない」という観点も含むとは思います)。

でも多くの日本人にとっては「油分の多いコーヒー」はちょっと「しつこい」とか「重たい」」とか無意識にも感じる方が多い。プラスして紙で濾してないコーヒー液は若干でも「濁り」が生じます。要するに「粉っぽく」感じてします。ここも無意識に気にしてしまう方は日本人にはかなりいらっしゃいます。個人的にはこの「粉っぽさ」は慣れの問題も大きく、飲み慣れたらさほどは気にならなくなるとも感じてますが、当店のお客様と話していても「どうしても気になってしまう」という方が多いのも事実です。

結果としてやはり日本人の多くは「紙で濾した後の澄んだコーヒー液が口なじみが良く感じる」のだと思っています。

そしてまた、近年にこの仮説を裏付けることになったのが『コンビニコーヒー』です。2011年の「ローソン」、2012年の「ファミリーマート」に続き2013年に「セブンイレブン」が『セブンカフェ』ブランドの全自動マシンの全店設置を行い「コンビニコーヒー戦国時代」に突入しました。その結果、覇権を握ったのが「セブンイレブン」のコーヒーでした。

それは何故なのか?

当時のこのコンビニ大手3社に設置されたマシンを比較すると「セブンイレブン」だけ方式が異なるタイプだったのです。「ローソン」と「ファミリーマート」はいわゆる「エスプレッソマシン」タイプでした。だから両店では初めから「カフェラテ」がラインナップにありましたが、反面普通の「HOTコーヒー」「ICEコーヒー」はエスプレッソをお湯や水で薄めたもので、いわゆる「アメリカーノ」タイプでした。

しかし「セブンイレブン」は違いました。当時のマシンは、「カフェラテ」を捨ててでもこだわったのは、限りなく「ペーパードリップ」の味に近づけることでした。しかも一杯だてで、挽きたて淹れたてで提供する。でも当時はそんなマシンは世界中どこにもありませんでした。ならばどうするか?セブンイレブンは富士電機に依頼してオリジナルで作ってしまったのです。このマシンの蓋を開けるとロール状の紙がセットされていて、一回ごとに紙が送り出されて常に抽出したコーヒー液が最後にペーパーを通過し濾される構造になっていました。

結果消費者の反響はどうだったか?カフェラテ好きな若者はローソンやファミマを利用したでしょう。でも彼らはせいぜい一日一杯です。でも一日何杯も飲むヘビーなコーヒーユーザーは自然とセブンイレブンのコーヒーをリピートするようになり、ライバル2社を圧倒して利用頻度を高めます。

そしてついにファミリーマートも2018年秋にはエスプレッソマシンタイプを諦めて、「ペーパー方式」を採用したNEWマシンに順次切り替えて行きました。

この「コンビニコーヒー」の結果を見てもやはり、日本人の多くは「紙で濾した後の澄んだコーヒー液が口なじみが良く感じる」の裏付けになっているのは明らかではないでしょうか。

〈参照〉

★【セブンカフェがコンビニコーヒー戦争に勝った背景には富士電機が】http://crea0314.com/2019/03/31/sevencafe/

★【セブンカフェに高専の力、技術のブレンドで50億杯】https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38119590S8A121C1X11000


3.日本人はハンドドリップが好き

そして、上記の様に、多くの日本人にはペーパーフィルターで濾したコーヒーが馴染むのだとしても、2021年現在の日本においては優秀なコーヒーメーカーが数多く販売されています。

20世紀の頃はコーヒーメーカーは「楽で良いけど沸騰したての熱すぎるお湯がどんどんと注がれるので、繊細な味わいを引き出すことは出来ない」というのが相場でした。

しかし、スペシャルティコーヒーのムーブメントが徐々に浸透していくに従い「最初に粉全体が湿る程の湯が出た後に一端抽出をストップし数10秒後に再び注湯を開始する」といういわゆる「蒸らし機能付き」とか、お湯が粉面全体にまんべんなく注がれる「シャワーヘッド付き」とかどんどん進化していきました。「お湯の温度設定が可能」といったタイプもありますね。

そんな中で、2017年に「無印良品」が「高性能コーヒーミル付きの全自動タイプのコーヒーメーカー」を発売すると、3万円を超える価格にもかかわらず生産が追い付かない程の大ヒット商品になりました。

そうなると、たくさんの家電メーカーがこぞって「ミル付き全自動タイプコーヒーメーカー」を開発してくるようになりました。「カフェ バッハ」創業オーナーの田口護氏監修の「ツインバード」のものなども話題になりましたし、2021年現在では挙げれば切がない程に発売されています。

つまり「家庭で手軽に美味しいコーヒーを飲みたい」というコーヒーユーザーの中で、インスタントコーヒーや「カプセル式コーヒーマシン」(ネスプレッソ等)では満足しない層のコーヒーユーザーも、「良質なコーヒー豆」さえ手に入れれば手軽に簡単にコーヒーメーカーで美味しいペーパードリップコーヒーを淹れられる時代になった訳です。

しかしながら、それでもなおかつ「自分で【ハンドドリップ】で美味しいコーヒーを淹れたい」という方が、こと我が国においては驚くほどたくさんいらっしゃることは純然たる事実なのです。

ちょっとGoogleやamazonで調べてみれば、本当にたくさんの「ペーパードリッパー」やお湯を注ぐ「コーヒーポット」が出てきます。正直言って、開店当初から「ハンドドリップの楽しさ」を普及したいという想いを持っていた私自身ですら「まさかこんな時代が来るとは」の気持ちです。

でも、冷静に見てみると「ハンドドリップ」という行為は実に面倒くさいものですw。お湯を沸かし、フィルターをセットし、豆を適量入れて3~4分の時間を掛けて、お湯を上から少しづつ注いで行く。豆をコーヒーミルで挽くところから始めたなら軽く5分は掛かります。

実際に欧米諸国ではもう「ハンドドリップ」は、少なくとも家庭用の器具としては全く主流ではなく、せいぜい一部マニアが楽しんでるくらいだそうです。これは私自身が見てきた情報ではないのですが、当店のお客様で仕事で海外で暮らしてた方の何人もの方が口を揃えて言われてたことです。「メリタ式コーヒードリッパー」生んだ国であるドイツですら、家庭用の主流はどんどん「カプセル式」に置き換わって来ているそうです。もはや一般的なコーヒーメーカーですら面倒くさいものになって来ている訳です。

ただし日本に進出してきたアメリカの「ブルーボトルコーヒー」やノルウェーの「フグレン」もそうな様に、21世紀に店舗を拡大してきた新しいスペシャルティコーヒーロースターは「ハンドドリップ」も取り入れています。ただし彼らはハンドドリップとは言わず「Pour Over(プアオーバー)」という呼び方をしますが(Pour Overとは直訳でPour=注ぐ Over=上からの意味ですかね)。

でもこれはあくまでも「お店側」が「あなたの為の特別な一杯のコーヒーを丁寧に注ぎ淹れます」というメッセージを込めたパフォーマンスを行うことで、「1杯200円」のエスプレッソコーヒーの売上ではなく、ハンドドリップで「1杯500円」を稼ぐために広まったと言ったら言い過ぎでしょうか?

いずれにしても欧米諸国では既に家庭用のコーヒー器具の主力ではない「ペーパードリッパー」が2021年の令和時代の日本においては、変わらず「主役」張り続けている理由は何なのでしょうか?

個人的な考察の中では、1つは「多くの日本人は手先が器用だし一見面倒な作業も楽しんでしまう質である」と捉えていますが、そういう国民性はもそも『茶道』という文化に表れていると考えています。

そう、我が国にはもともと、ただ「お茶を淹れて(点てて)飲み、味わい、楽しむ」という行為・様式が、「人の道」つまり一種の「人生哲学」とも言える『芸道』の領域にまで高められていったという歴史・文化があります。しかも、昭和の時代にはその様式美の習得を目指すことを「花嫁修業」とよぶくらいには庶民の生活に密接に関わるようになっていましたね。つまり日本人は一杯の飲み物を味わう為に様々な手順をこなすことを、決して面倒とは厭わない国民性があるのだと捉えています。

我ながら、たかが「ハンドドリップ」に対しちょっと大袈裟な結び付けかもと思わなくはないですが、先に挙げた「濾した澄んだコーヒーが好き」だけではここまで「ハンドドリップ」が普及する理由にはならない訳で。しかもコーヒーマシンもどんどん進化している状況の中でも「自らの手で淹れる」ことにこだわり続けるのですから、これはもう「精神性」のところまで掘り下げないと説明はつきにくいのかなとw。

まぁでも、個人的に声を大にして言いたいのは、上記の様なちょっとめんどくさい考察は脇に置いて置いておいたとしても、結局は「ハンドドリップは楽しい」という事なんです♪

何度も言いますが、ただ「家でも美味しいコーヒーが飲みたい」というだけならば別に「コーヒーメーカー」で良い訳です。何なら手で淹れる方が、いつもお湯の温度も時間もバラバラで適当にドリップしている位なら「美味しくない」コーヒーになる可能性も高いです。それなら機械の方が、湯の温度や注湯スピードはいつも安定した設定になっている訳で、その条件に合わせて「自分好みな味わい」になる様に「豆の量」や「挽き具合」を調整すれば、毎回ほぼ安定した美味しさを楽しめる訳ですから。

でも、それでも、人は「ハンドドリップ」をするのです。

水を入れてお湯が沸くまでの間に、ドリッパーにペーパーをセットし、コーヒー豆(粉)を量り、お湯をコーヒー粉に注ぎ始める・・・挽きたての鮮度の良い豆ならむくむくとハンバーグの様に泡が膨らみ始めます。それと同時に立ち上るアロマ。その香りを嗅ぐだけでもフワッと気持ちがほぐされます。泡がしぼんできたら少し湯を足しまた泡を膨らます。まるで呼吸をしているかの様に大きさを変える泡を見ているだけで、どこか心の柔らかいところを押されます。心を無にしてただただコーヒーを淹れる事に対峙する数分間。そこにはただ「美味しいコーヒーを飲む」ことでは得られない充足感が得られる貴重な時間。

忙しい日々の生活の中に、その数分間を貴重なアクセントとして取り入れる方が増えているという事なのでしょう。実際ある種「心を無にする」時間は、たとえほんの短い数分だとしても驚く程に気持ちをリセットしてくれます。どこか「座禅」にもつながる境地と言うのは大袈裟でしょか?でもそういう数分は意識的に作らないとなかなか取れるものではありません。特に「コロナ禍」で自宅時間が増えてる中では、なおさら「コーヒーを淹れる」ことで気分転換をしている方が増えている印象です。

しかもその後には湯気が立ち上る香り高い「コーヒー」というご褒美が待っているわけですからね♪

4.まとめ

当店SHIBACOFFEEは『美味しいコーヒーでたくさんの人に笑顔になってもらいたい』と思っているお店です。

より多くの人に「最高品質のコーヒーの味わいの魅力」を知ってもらう為には、よりたくさんの人が好きになる可能性が高いコーヒーを提供するのが近道だと思っています。

だから当店では『ペーパードリップのコーヒー』を提供します。

そして『ハンドドリップで抽出する』のは一杯づつ心を込めるということだけでなく、「こうすれば自宅でも美味しいコーヒーを淹れられますよ」というデモンストレーションの為でもあるのです。

当店では開店2年目から「コーヒーセミナー」をずっと開催し、そのメインプログラムの一つは『美味しく入れるペーパードリップのこつ』というタイトルでした。残念ながら今はコロナ禍でセミナーはお休みしていますが、「自宅でも最高品質のコーヒーの味わい」を味わってもらうと共に、ぜひ「ハンドドリップの楽しさを知ってもらえたら」という想いも持ち続けています。

今はセミナーは開催できていないですが、もし店内カウンターをご利用頂けたなら、コーヒーの注文時にぜひ気軽に「ドリップのコツを教えて」とおっしゃってください。喜んでその場でコーヒーを淹れながらご説明させていただきますよ!!

・・・以上で第2回目の投稿は終了です。ここまで頑張って読み進めてくださり本当にありがとうございます。自分でもびっくりしているのですが、テーマを絞ったつもりが、あれも言いたい・これも伝えたいがどんどんでてきてしまい。これでも削った部分もあるくらいでw。でも、次からはもっとポイントを絞って短いスパンで投稿して行けたらと思っていますので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

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