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香りたい絵画 -オフィーリア-

幼い頃から西洋絵画が好きで、絵画に描かれる場面の内容をもっと知りたくて、世界史を学んだり、神話や聖書に出てくる物語も積極的に学んだ。
背景を知ると描かれた絵はその前の場面やその先の風景まで見せてくれる。
それが面白くてたまらなかった。

昔から変わらず好きなものの中で絵画以外に『香り』がある。
「好きだから」とハーブや精油について学んでいるうちに、ふと、「絵画に描かれている草花の香りがビジュアルと一緒に香ってきたらもっと印象的で立体的に絵画の実際のサイズ以上の奥行を感じて楽しめるんじゃないか・・・」そんな風に思った。

「この世界を香ってみたい。」そんな気持ちで、実際に描かれている草花をヒントに精油をブレンドしてその場面に香っていたかも知れない香りを表現してみました。


【オフィーリア/ジョン・エヴァレット・ミレイ】
シェイクスピア歌劇「ハムレット」に登場するオフィーリアは父も恋人も失い、精神錯乱を起こし沢山の草花を手に最後は水死してしまう。
そんな彼女を描く際には彼女が手にしていた沢山の草花が共に描かれる。

ミレイのオフィーリアに描かれているとされる草花のうち、香りに特化した草花を中心に香りをブレンドしてみた。

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■描かれている草花
パンジー、ケシ、デイジー、ネトル、ローズ、プリムローズ、ヘンルーダ 
ウィロー、ニオイスミレ、ローズマリー、忘れな草、ヒヤシンス等

このうち、ローズ・ローズマリー・ニオイスミレ・ヒヤシンス・ケシを表現可能な香りとしてピックアップ。

ローズはローズが本来持つ多くの香り成分で表現したいのでアブソリュートを、ローズマリーは野性味あるローズマリーを表現したいのでシネオールを、ニオイスミレはバイオレットリーフで緑の香りを、肝心の花の香りは・・・
残念ながらニオイスミレとヒヤシンスは、フラワーの精油もあるけれど、今回入手不可能だったのでそれぞれの香りはフレグランスオイルで、
ケシは・・・ケシそのものではないですが、ポピーの香りが「コーヒーをほんのりとイメージさせるような香ばしくて少し乾いたような香り」とのこと、なのでコーヒーの精油で代用することに。

■香りのブレンドレシピ
ローズマリー 8滴
バイオレット 8滴
ローズ 8滴
ヒヤシンス 6滴
バイオレットリーフ 1滴
コーヒー 1滴

若く繊細な彼女にふさわしく、ヒヤシンス・バイオレット・ローズで可憐さと華やかさを表現し、それらを取り囲むグリーンの香りといったイメージでブレンド。
甘い香りにスッキリしたローズマリーの香りが瑞々しさをプラスしてくれているようで、フローラルの女性らしい香りだけど、大人すぎない感じの香りになりました。
今回のブレンドに何か加えるなら、苔の香りとしてほんのちょっとのオークモスなのかな。

劇中にオフィーリアが歌いながらガーランドを手に現れる場面がある。
彼女が現れた場面や彼女が去った場所にはこんな香りが漂っていたのではないだろうかと想像する・・・そしてもちろんこの絵の場面でも。
こんな華やかな香りをまとって水に浮かぶ彼女は、さぞかし見る者を魅了したのだろう。
情景も香りも美しい。

香りと一緒に鑑賞することで、読んでいただいているあなたが、この絵のこの物語の世界に前よりほんの少し深く入り込むことができたとしたら幸いです。

ついでに、この作品は香りとは違った角度で、草花の効果・効能にフォーカスしてみるのもまた違った奥行が出てくるようです。

それでは、そのお話はまた今度。

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