共同展示「娘と母の刻」を終えて / 絵の解説
7月頭から19日まで行っておりました母娘共同展示、「娘と母の刻(とき)」を無事終えることができました。
先ず、観に来ていただいた皆さま、関係者の皆さまにお礼を申し上げます。
今回、西部公民館開館40周年記念のリレー展示に参加するという形で展示をしました。
馴染みのある場所で、こうして自分と母の作品を飾ることができるのは本当に嬉しいことです。
今回私は合計8点の作品を展示いたしました。
作品とタイトルを飾り、説明は書かないというスタンスを取りました。
こうすることで、皆さまそれぞれの受け取り方ができるかな、また時間が空いて私の考えを示すことで様々な角度から鑑賞していただけるかな、と思ってのこの形式です。
では早速、私の展示した作品たちの紹介をします。
真ん中の赤い丸・青い三角が事実だとします。
その他三方向にはそれぞれ人がいます。
たとえばある人は、真ん中のものを見ても水色の丸・オレンジの三角、なんなら形のバランスも異なって捉えてしまう。
他方は空洞の三角だったり、丸がほぼ無いように捉えたり。
つまり、誰もが自分と完全に同じ捉え方はできないというわけです。
事実が1つでも、真実はそれぞれにある、といったところでしょうか。
これを心に置いておくだけで、他者との関わりに良い変化が起こるように思うのです。
この世の中の事象はそれぞれ、シンプルなものだと思います。
それが難しく絡まり合って、動きが取れないような、悪習になるような所がある。
お金や権力を一旦忘れ、いま一度立ち止まってそれを解いていきたい。
物事をシンプルに捉えよう、ということです。
そうすれば、思わぬところにある美しいものと出会えるかもしれない。
男女をシンプルに表現しています。
過去でも、未来でもなく、ただ目の前にあるこの状況、目の前のこの人を受け入れること。それだけで良い。
恋愛以外にも言えますが、無駄な詮索はせずただ今を生きるスタンスでいたいです。
高瀬正昌著、『岡潔 数学の詩人』(2008)を読んでインスピレーションを受け、描いた作品です。
当人が亡くなり、彼の巡った広大な数学の世界の多くはこの世に記されることがなく肉体と共に失われてしまいました。式にして解明されるどころではなく、辿った軌跡もその後誰も探し出すことはできないのです。
肉体と魂が一体なことで起こる事象ですが、これが世の原理なので我々はどうすることもできない。
これを改めて考え、私は自分の思索を文字や絵にしてなるべく残そうという結論に至ったのです。
絵では、生の世界から落下して肉体と魂が共にばらけてしまう瞬間を表現しようとしています。
よくよく見るとうさぎとねこの耳にものさしが刻まれています。
同じものさしでも、メモリの間合いなどは同じとは限りません。
何かを伝えるにも、必ずしも自分と同じ感覚で相手は受け取らないことを頭に入れておくこと。親しい人だとしても。
また2匹の腕があり得ないほど捻れているのは、一筋縄ではいかない関係を表しています。でも結果的に背景の◯に収まっているのです。
上記2作品は、前回の共同個展に引き続いての展示です。
前回版はこちらからどうぞ。
母とそれぞれの『娘と母』を1枚に表現しました。
真ん中の3人の絵が母です。
私の部分に関して説明すると、まず上の大きなピンクが母。そして赤2つが私と妹、それを繋げるベージュ色の絆。『娘と母』ということで父に関する記述はないですが、私たちを支えてくれる存在として青色で表現。宙に浮く緑色の物体は、わたしたちを繋ぐ存在です。
こうして今回、普段は思考が至らない点までもを描き出し、1枚に残すことができて嬉しく思います。
また今回は母のアイデアで、ポストカードを配布しました。
これがかなり喜んでいただけて、実は途中でこれ以外の別バージョンも置いてみたり…!
また機会があれば皆さまにお渡しできれば、と思います。
実は今回、私ひとりの展示で進める予定でしたが公民館の方に提案いただき母娘での展示となりました。
制作の上でいい刺激にもなりましたし、たくさんの方が観に来てくださるきっかけにもなりました。
何より絵以外の展示を母は多くしていたので、展示全体を飽きずに見ることができました。
機会があればまた一緒にやりたいです!
今回常駐という形を取らず、自身の展示を観にいくという初の経験をしました。
同じ目線で観ることができ、新鮮で楽しかったです。
振り返ると準備から展示までの全ての時間が愛おしいです。
今後またこのような展示であったり、常設展示、また全然異なるクリエイティブなど、やりたいことも多々あるので決定次第お知らせできたらな、と思います。
展示に試験にバタバタの6、7月だったので、8月はゆっくり休むつもりです!
本当に暑さが厳しい日が続くので、皆さまも水分補給をしつつご自愛くださいね。
最後にもう一度、ありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?