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個展:FREEINGを開催して

絵を描くようになったのは、うつになってから。
うつになっても、自分を嫌いにならないように、生きている意味がわからなくならないように、無理はしないけど1日ひとつはなにか生み出そう、そう考えていた。
文章だったり、小物だったり、映像や画像等編集して生んだものも多くあったが、1番わたしにぴったりはまったのが絵だったのだ。
自分の思考するものや、無意識のうちにでてきたものを絵にする日々だった。
そうしてできた作品たちをSNSにアップしていた。

また友人のイベントに行き、そこでひとりクレヨンで絵を描いていたりもした。(みんな結構褒めてくれる。あたたかい人の集まりだ)
そこで、同じサークルで元々踊っており、最近は絵を描く人になっていた後輩から一緒に個展を開きませんか、とお誘いをいただいた。間に双方と深く関わりのある、これまた同じサークルで踊っていた友人を含め開催する運びとなった。

イベント開催などは経験があるが、個展となると全員にとって初の試み。スタート時は何から手をつけていいか分からず、電話越しに試行錯誤を繰り返した。

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イベント名【FREEING】は【解放する】という意。
自己の解放=表現。絵ないしはダンスがわたしたちの共通項となることから、これをイベント名とした。
また、初回となる今回、テーマもダンスに絞り、各々が感じるダンスを表現することで上手く対比を産むことを意図した。

今回のために作成したもののなかで、数点ピックアップして以下に解説とする。

ダンス・ダンス・ダンス(2023)
Acryl

今回ダンスというテーマに絞った際、パッと思い浮かんだのが村上春樹の小説、『ダンス・ダンス・ダンス』。
父の影響で昔から村上春樹小説に馴染みはあったが、これは読んだ覚えが無いに等しかった。
何か今回の表現の足しになれば…と思いつつ読み進めていたが、あっという間に読み終わってしまった。
わたしが考えるに、この本にとってキーポイントとなるセリフが2つある。そう、絵の上にも2枚付箋が貼られている、それだ。

踊るんだ。
何も考えずに、できるだけ上手く踊るんだよ。
あんたはそうしなくちゃいけないんだ。

ここでのおいらの役割は繋げることだよ。ほら、配電盤みたいにね、いろんなものを繋げるんだよ。ここは結び目なんだ────だからおいらが繋げていくんだ。ばらばらになっちまわないようにね、ちゃんと、しっかり繋げておくんだ。それがおいらの役目だよ。配電盤。繋げるんだ。あんたが求め、手に入れたものを、おいらが繋げるんだ。わかるかい?

ともに『ダンス・ダンス・ダンス』(1988)村上春樹

この2つのセリフを軸に、最後まで読んで得た感覚を一枚に落とし込んだ。
ぜひこの本を読んでから、またこの絵を観ていただきたい。また見方が少し変わると思うから。
この本は村上春樹初期4部作の最後にあたるものなので、興味とお時間がある方は『風の歌を聴け』(1979)から読み進めていただきたい。

p.s.村上春樹作品の中で個人的に1番好きなのは『羊男のクリスマス』(1985)。中学生の読書タイムで繰り返し読んでいた記憶がある。何回読んでも不思議な気持ちになれる、私にとって大事な一作品。


ゆれる(2023)
Acryl

私の脳内を踊るように漂う少年。
お皿に乗って、気持ちよさそうに体育座り。きっと、いい音楽が聴こえているのは確か。
いったい彼はどこへ向かうのだろうか?


DANCER(2023)
Acryl

ダンスといえば、でパッと思いついた5つ。
それぞれに曲線、直線の形を変えながら踊る中、一瞬の姿を記した。


景色を描きつつ考える振り(2023)
Acryl

サークルで、hiphopのジャンルリーダーを担っていた時代に、数分間にわたる振り(コレオ)を考える機会が多々あった。大学3年生のとき、学祭ステージで披露するためにReckless - Healyの曲を準備した。この曲自体が持つ色として、夕暮れの砂浜にピンク色の夕焼けが当たるシーンを想定した。それを念頭にして振り付けをしたことを思い出し、わたしの脳内にあった海を描き出した。


司(2023)
Acryl


以下付箋部分

私の心の中。このおじいさんが描く絵を司る。琴線に触れるものがこのおじいさんをつたい、脳内にイメージとして形成される。おじいさんは寡黙なので、言葉は殆ど使用しない。おじいさんには柔らかい光で、スポットライトが当てられている。真っすぐに。このおじいさんだって、他の誰だって、みんなそれぞれの人生の主人公なのだ

She know.(2023)

このおじいさんはあくまで概念であり、物語である。


心が踊る(2023)
Acryl

ダンスをテーマと決定してから、1番初めに描きあげた作品である。
心が躍ってこそ、ダンス。見る人の心を踊らせてこそ、ダンス。 
またナンバー練習の際、師匠が緩急をつけて踊る方法の一環で、とある練習をしてくれた。心臓の中でちいさーく押し込んで押し込んで踊る(⇔全て解放してとにかく大きく踊る)ことだ。この時の姿勢をキャンバスに落とし込んでいる。


神は細部に宿る(2023)
Acryl,Pen

ダンスは、動きが流れるように繋がる。
その中でも、手。手が動くことにより、繊細な表現や大きな舞が可能となる。
自分と重ね合わせてしまう曲、マイペース - 田我流&B.I.G JOEから着想を得て。
なお、この絵については少し手を加える可能性がある。


共作『Ντανσου(ダンス)』(2023)
by manato &She know.
Pen,Acryl

今回共同で個展を開催するにあたり、2人で行う意味やシンボルとなりうるもの等を考えた結果、共作を作成するに至った。
今回のテーマであるダンスを引用し、それぞれのダンスをこの1枚に表現した。
右上から伸びるわたしの絵が意味するのは、ダンスはジャンルであったり人毎の形があり、それは自由であっていいしカラフルである、ということ。
私たちが所属したサークルには、9つのジャンルがあるが、丁度9色、9個の塊で纏まった。
特に制約も設けず自由に、同時にお互い描き始めたのだが、いざ完成すると一体感もあり、それぞれの個性もある面白い作品となった。
なおタイトルは遊び心からギリシャ語でのダンスと名付けてある。

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今回販売したグッズ類

飾った作品とは別に、グッズのコーナーも準備しました。
じっくり見ていただけて、ご購入もいただけて嬉しかったです♡
なお今回の絵やグッズは引き続き販売可能ですので、ご興味のある方は個別にお声がけ下さい!

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今回初めて個展を開催するにあたり、右も左もわからず手探りで進みました。
ご来場くださった皆さんから頂いた感想だったり、差し入れまで頂いたしまったり…開催できて本当に良かったと思うことばかりでした。
改めてわたしの周りの人がみな友好的で思慮深く、素敵な人の集まりなんだなと実感しました。
すごくあたたかい空間となり、嬉しい限りです。
また今回はほぼ半日という短い時間であった為、ご来場いただけなかった方もいらっしゃると思います。次回開催するならば、数日間開きたい!と意気込んでおりますので、開催が決定した際には是非お越しください。

最後に、今回声をかけてくれたまなと、監督してくれたひろと、改めて本当にありがとう!
いつもクリエイティブな刺激を受けています。これからもよろしくね!いったん社会人頑張れ!

最後に写真だけ置いて。

お花🌼
並んでるのを見ると、少し感慨深いような。

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