挑戦者が現れました

戦いましょう。

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最近の記事

無の解説あるいは考察

 皆さんお久しぶりです。あの時助けていただいたカメです。とことこ……(荒廃した大地を、わずかばかりの歩幅で這って進んでいる。ここは太陽が消滅した世界。水も草木もなく、あるのは干上がってやせこけた土だけであった。)  この記事において、気が向いたら書くなどと言ってから約二年が経過しました。短いようでいて、この二年間のうちにこれを書いた主体、のようなものは消滅したか、鳴りを潜めているような感じがします。ですが今はなんだかうまく説明らしきもの仮説1が書けそうな気がします。ちなみに

    • 割れる存在

      気づけば木製デスクが視界に入ってきたようだ。ここはどこで、僕は誰なんだろうと自明の問いを発する。答えを理解していながら、問うことをやめない。 いつもこうなのだ。ふらっと世界に崩れ墜ちるように、意識が問いを生む。やわらかい肉塊を二枚に裂くと、世界が浸み込んできて、僕は安心する。そして僕は人間の言葉を話して、笑って、この世界で交流する。デスクの裏に手を当てると、そこだけちょっとひんやりと感じた。でもやがてその冷たさも頭にわずかな刺激を与えたきり、それは塊となって形を失い、網膜

      • 鏡の世界の料理店

        店主に誘われて入ったその空間は、鏡の裏の世界のようだった。表通りからは中の様子を窺うことはできない。扉の向こうは奥行きがあってり、カウンター席とテーブル席がいくつか並んでいる。 カウンター席の天井には毛糸のような素材で編まれたカラフルな紐が店内を彩っている。顔立ちの似た店主が2人、ネパール語とヒンディー語で会話している。 テーブル席に座ると2種類のラジオ番組が流れていることに気づいた。注文を終え、料理を待っているとき、2人の店主は何を話しているのか分からないが、ずっと独り

        • 反転世界のペテン師

          誰もいない高架下のベッドに横たわっていない。足元には靴と、着古した服が落ちていない。高架の上から滴が垂れてくることもない。よいしょ、と言いながら身体を起こそうと思って活動を開始しない。 思考に集中しよう、と脳内ベッドから認識世界地図を広げない。クリアに整序された思考が開始しない。 ふわふわメロンパンの夢が支配的なdream cityを闊歩しない。売り子の目は金魚のようで、スマートボール台のようではない。売り子のエンゼルは虚無空間にテニスボールを投げていない。赤と黒のルーレッ

          言葉にしてしまうことの虚しさと喪失感

          皆さんこんにちは!今日は言葉にしてしまうことで生じる虚無感について書いていくよ!皆さん、言葉、使ってますか〜??? (防御シールドを折りたたむ) はい。 人間は言語を習得し、それを用いて非言語的思考を言語的形式で表現し、思考を認識し、また他者と共有している。 言語によって表すもの、それは天気や動作、要求などごく一般的で簡単な受け答えから世界認識の一端に至るまでかなり幅がある。 一般的に(書きながら一般的って何...となっているが)年齢が上がるにつれ、思考内容や表現形式はレ

          言葉にしてしまうことの虚しさと喪失感

          ジャバランジャバラン

          暖かい風が頬を撫でた。都会の中で穏やかな空間を求めた人々が川にやってきている。俺もまたそのうちの一人だ。川辺には砂浜が広がっている。 ザクっ、ザクっと一歩踏みしめるたび歩いているんだという感覚がひろがる。 足があって、ちゃんと歩けているんだ。左、右、左、右、左足より前に、右足より前に。 歩くということが何か分かっていないが、歩けているんだということは分かる。 地面を見て歩いている。落ち込んでいるわけではなく、確かなものとして道を舗装している。 ざくざく......ざくざく

          ジャバランジャバラン

          2022年8月23日

          身体は実体を空中に溶かし、私の意識は文字と同化するようである。 私は世界だ、今、世界と合一化している。押し寄せる世界に同化して一人の人間としての記号を失い、全体性に飽和する。 ここでは私を隔てるあらゆるものがなかった。生身で没入している。 深く、深く、意識の底に沈静している。水面が本質を映す。 音のない、鍾乳洞のような静謐な空間だった。

          ふとした瞬間に思い出す人

          もう細部の記憶はバラバラになっているが、まだ鮮烈な感情だけは昨日のことのようにじんわりと胸を刺す。 以前にも言及したことがあったかもしれない。他者とかかわる上で、衝突は避けられないものだと思う。衝突した時、どうすればいいんだろう。誰もが一度は通る道じゃないかな。 謝って、許されて、またもとの形に戻っていく。 こんな感じの儀式めいた過程を経て、関係は修復されてきた気がする。 それがうまく機能しなくなるのはいつ頃からだろうか。 「罪を罰されないことが何よりの罰に思われた」と

          ふとした瞬間に思い出す人

          日常系の

          二十五メートルプールが二つほど横に並べて入りそうな空間に、その空間は無である、人が詰め込まれている。規則的に配された白い机、椅子がそれぞれの個体に与えられ、我々は任意の席につく。みな俯いては世界の中に沈静している。機械的に進行する講義、ここには誰も乗っていない。虚無に沈み神経を侵されていく。忙しなく震える空気に、耳を塞ぐ柔らかなクッションはなく、鋼鉄の壁を構築する。ふと視線を感じて顔を上げる。女だった。 なに? 目で問いかける。 彼女は何も発さなかった。代わりに悪戯っぽく

          日記をつけて起きたことn選w

          本屋に寄った。書棚には多くの本が納められている。 派手なポップが書店を覆っている。 やっぱ本を探すの、やめようか。 文具コーナーに目をやると、丁寧な装飾が施された日記帳が売っている。 パラパラとページをめくると、日付と曜日が指定され、すこし窮屈な感じである。 「こういうの、1日書き忘れるとやめちゃうんだよなー」 一般的なことを言うなって?いやたまに“共感”を喚起したくなるんだよ。noteって”そういう”場所な気がする。アイコンも記事のヘッダーも、タイトルも全部…… いま、私

          日記をつけて起きたことn選w

          互いを消し合う

          私がAという選択をした時、同時にAをしないという選択をしている。そうした選択の連続の結果が今の私を作っている、ということになるわけだ。しかし果たして私は私なのか。どうして選びとられた側だと私は判断できるのか 選ばれなかった側だという可能性を無意識に否定しているよな。 選びとる「私」とは誰なんだよ。いやそもそも私ってなんだよ。っていう私ってなn…… 帰ってこれません。。迷子になりました いや、だからなにって話だけどさ。それ言ったらおしまいだけど、気にならない?選ばないと

          裁き

          すべては自分の軽率さが招いたことだった。 もう何度目になるだろうか。かれこれ1000回近く自らの行動を振り返る。 焼き付いて離れないあなたの悲しそうな、失望にも似たすべてに見放されたような表情。ほかでもない僕があなたにそのような顔をさせてしまった。いてもたってもいられなかった。一刻も早くその場所から離れたかった。どのように帰ったのか覚えていない。 次に彼女と会うのは三日後。僕は連休を恨んだ。いや、いっそもう連休なんて明けなくていい。明らかに自分のキャパを超えた罰を望むこと

          雑記

          何かを探すように視線を地面に彷徨わせ、時折かがんでは何かを拾っている女性を道端で見かけた。 あまりにもその様子が必死だったので、大事なものをなくしたのだろうかと声をかけようと思った。 その視線の先に何があるのか見てみると、タバコの吸い殻だった。 それを素手で拾っていたのだった。飲食店でバイトしていたときに床に落ちた他人の飲み終わった空のカップとかを素手で触ったりしてたんだけど、そのときすごく惨めな気持ちになった。(ゴミを袋の外に捨てたり、家庭ゴミを持ち込んだらダメだぞ!

          ヒーロー

          深く、深く沈んでいく。 深い藍色の海の中で、僕は誰にも見つけられない孤独な身を流れにゆだねた。光の届かない深い場所で僕はもう抵抗する気力さえ失って、行き場のない気持ちを泡に託した。人は一人では生きていくことはできないが、結局自分の人生の責任は一人で負うしかないのだ。そう誰かが言ってたのを思い出した。 そのうち、息が苦しくなった。酸素を求めて必死に地上へと顔を向けるが、その甲斐もむなしく、大量の水が入ってくる。だれか……と叫ぶ声なき声は暗い海の中に消えていった。 どれほど

          人形

          「私の家族を探しています」というツイートが私の趣味垢に流れてきた。内容を見てみると、どうやらその「家族」というのはぬいぐるみのことらしかった。なるほど、ついにぬいぐるみも家族に含まれるようになったか。まあ別に他人の価値観をどうこう言うつもりはないし、軽くスルーした。 それから数日後のことだ。このツイートの影響かどうかはわからないが、無性にぬいぐるみを見に行きたくなった。近所にぬいぐるみを売っている店はないか調べると、テディベア専門店というのがあった。行くしかない。私は自転車

          僕、田中太郎。大学一年生。趣味のない平凡な人間だ。 僕はかつて、おびえていた。もしも僕の中身が別人に乗っ取られてしまったらどうなってしまうのだろうと。 どうしてこのような思考に至ったか話そう。大学に入学してから、一週間がたった日のことだ。早くも第一回目の講義が始まった。席が近くの人とまず自己紹介をする。「えと僕、田中太郎っていいます。趣味は……え~……え~と……ありませんが、よっ、よろしくお願いします」 ひどい自己紹介だ。でも、思うんだ。こんな自己紹介何の意味があるんだよ