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藤子F「子供の日」作品集・全14作(Qちゃん、ドラ、パーマンetc...)

5月5日は子供の日。端午の節句。鯉のぼりにかしわ餅、菖蒲の湯によろいかぶと・・・。キーワードの豊富な祝日です。

子供の世界を描き続けた藤子F先生の作品には、「子供の日」関連のお話がかなりの数あるので、確認できた作品をババッと掲載していくことにします。


まずは藤子作品の原点である「オバQ」から・・。

「オバケのQ太郎」『こいのぼりになったQちゃん』
「小学一年生」1965年5月号/大全集6巻

こいのぼりを初めてみたQちゃんは、大きなめざしと表現する。まだ外に飾る前のこいのぼりにQちゃんが潜り込んで、人を驚かしたり、空の散歩をしたりする。自由気ままなQちゃんにほのぼのする一作。


「オバケのQ太郎」『こいのぼりをおいかけろ!』
「幼稚園」1965年5月号/大全集12巻

こいのぼりを揚げた大原家。しかし括っていた紐が切れて、空へと飛んで行ってしまう。Qちゃんは、正ちゃんを背負って後を追うのだが、雲の中に入ってしまい、正ちゃんを落としてしまう・・。

最後はこいのぼりの中に入ったQちゃんに跨って空を飛ぶ正ちゃんの満足な姿で終わる。こちらもほのぼのした作品となっている。


「オバケのQ太郎」『たのしいこどもの日』
「幼稚園」1966年5月号/大全集12巻

まずはみんなで丈比べ。Qちゃんは宙に浮いて、背の高さの計測のズルをする。次はみんなでかしわ餅。Qちゃんは葉っぱを剥いて、内側の餅を捨ててしまう。

伸ちゃんに新聞紙でかぶとを作ってもらうQちゃん。しかしその新聞紙は今日届いたもので、まだパパが読んでいない。壊しちゃ嫌だということで、かぶとを被った状態で新聞を読む羽目となる。

子供の日あれこれが良くまとまった作品である。


「オバケのQ太郎」『こいのぼりがほしい』
「よいこ」1967年5月号/大全集12巻

大原家ではこいのぼりは二匹だけ。伸ちゃんと正ちゃんの分だ。Qちゃんは自分も欲しいと落ち込むのだが、それを見たP子がドロンパに頼んでこいのぼりに化けてもらって、お兄さんにプレゼントする。

ドロンパこいのぼりは、かしわ餅をバクバク食べ、一人で揚がって、風も無いのにフワフワと泳ぐのであった。

兄思いのP子、P子のお願いをすんなり聞くドロンパが印象的。


「新オバケのQ太郎」『かしわもちを守れ』
「小学一年生」1971年5月号/大全集1巻

「新オバQ」では、弟のO次郎が登場し、Qちゃんの兄貴っぷりが微笑ましく描かれるのが一つの特徴となっている。

本作ではかしわ餅が一残ったので、これを出掛けているO次郎のためにQちゃんが取り置いておこうと考える。しかし、余った一個ということで、伸ちゃんやらママやらが狙ってくる。

しまいには全ての人がかしわ餅を取ろうとしているかと疑心暗鬼になるQちゃん。厳重に管理するのだが、O次郎に化けたドロンパにとうとう食べられてしまう。

大泣きするQちゃんだったが、O次郎がかしわ餅をたくさん買って帰ってきてくれ、弟に慰められるのであった。


続けて「パーマン」。

「パーマン」『こいのぼり そらをとぶ』
「めばえ」1967年5月号/大全集6巻

こいのぼりが空を飛んでいる。パーマンが近づくと中からはブービーが・・。


「パーマン」『まいごのこいのぼり』
「めばえ」1968年5月号/大全集6巻

揚がっていたこいのぼりが風に飛ばされてしまう。それを見たパーマンが空を飛んで捕まえて、そのままこいのぼりの中に入って、飛ばした少年の元へと戻ってくる。

パーマンの2作は「めばえ」の1ページの作品なので、とってもかわいいお話なのである。


お次は大本命の「ドラえもん」。

「ドラえもん」『こいのぼり』
「小学三年生」1974年5月号/大全集5巻

いつものスネ夫の自慢パターンから始まる。特大のこいのぼりを誇るスネ夫は、「僕はつくづく幸せ。こいのぼりも買ってもらえない子は哀れだよ」などと口走ったのだが、なぜか一緒にこいのぼりを見上げていた幼児が、スネ夫の発言を聞いてショックを受けて泣いてしまう。

この子の名はてつや。母子家庭で貧しい暮らしをしていて、こいのぼりなど買う余裕はない。てつやは買う約束だったと大泣きして母親を困らせる。

その様子を聞いていたのび太、ジャイアン、しずちゃんは、口々にスネ夫の発言がいかに残酷かを非難する。しかし、一方的に責められたスネ夫は「わかったよ」とキレてしまい、ハサミでこいのぼりを切って分けてやると正気を失う。

そこでドラえもんが登場。いい方法があると、こいのぼりを一匹借りて帰る。部屋の中で雲を作り、こいのぼりを操縦させる機械を取りつけ動かすと、ヒラヒラと泳ぎ出して、こいのぼりの赤ちゃんを大量に生む。

こいのぼりのエサはかしわ餅(贅沢!)ということで、バンバン与えていくと、ドンドン大きくなっていく。そして、てっちゃんの家までこいのぼりを飛ばし、部屋いっぱいのこいのぼりとなるのであった。

こいのぼりの赤ちゃんが抜群に可愛い、「こいのぼり」関連の藤子作品の頂点と言える作品ではないだろうか。


「ドラえもん」『げんきえさ』
「小学一年生」1979年5月号/大全集12巻

こいのぼりが元気に泳ぎ出す「げんきえさ」。これによってのび太のこいのぼりだけが元気がいい。羨ましく思ったジャイアンは、げんきえさを借りていく。3粒で十分なところ、「どんどん食べろ」とたくさん食べさせたので、元気余って空を飛んで行ってしまう。

タケコプターで追いかけるドラえもんとのび太。雲の中に逃げ込んだり、捕まえても動き回っていたりと、元気百倍の様子。

何とか少しは落ち着いたのでジャイアンの家へと連れ帰るが、紐に繋ぐのは無理ということで、ジャイアンの部屋に放し飼いにすることに・・。



それでは、その他の作品をダイジェストでご紹介。

中には聞きなれない作品もあると思いますが、詳しい解説はまた個別の作品の記事でたっぷりと行います。(多分)

「ピロンちゃん」『ガムのみがわり』
「小学一年生」1961年5月号

少し前に完全解説を行った「ピロンちゃん」の事実上の最終回となる作品。内容は以下の記事の下の方に出てくるので、もしお時間あれば・・。


「スーパーじろう」『こいのぼりつり』
「幼稚園」1963年5月号

こいのぼりが泳いでいると強風が吹いて綱が切れて飛んで行ってしまう。じろうは、空飛ぶくつを履いて追いかける。ところがまるで意志を持ったかのように勝手に飛び回り、雲の中へと隠れてしまう。

そこでかしわ餅をエサにこいのぼりを釣りあげるのだが、中からカラスが二羽現れてかしわ餅をついばんで飛んで行ってしまう。こいのぼりを動かしていた犯人はカラスだったのだ。

その後に登場する「こいのぼり」ネタが詰まって、アイディアの原点的作品と言えるだろう。


「ベレーのしんちゃん」『こいのぼりのヘリコプター』
「ディズニーランド」1966年5月号

発明家のパパを持つ、ベレー帽がトレードマークのしんちゃんのSF(すこしふしぎ)日常系作品。

こいのぼりヘリコプターを作ってもらい空を飛びまわるが、それを羨ましがるライバルのこんの親子(子供の名はずるこう)。ずるこうもこいのぼりメカを用意してもらい、競争となるのだが・・。

藤子作品の二大パターンは、何者かがやってくるパターンと、何かを自分たちで作り出すパターンがあるのだが、本作は後者の原点的な作品である。


「ウメ星デンカ」『こいのぼり』
「幼稚園」1969年5月号

こいのぼりを初めてみたデンカは、「泳がせてみよう、スッパッパ」と空へこいのぼりを飛ばす。しかし風に乗ってしまいどこまでも飛んで行ってしまい、後を追うが見失う。

太郎もデンカも泣き出すが、たまたま釣りをしていたパパが、落ちていたこいのぼりを釣りあげて、持ち帰ってくる。


「Uボー」『まいごのこいのぼり』
「毎日こどもしんぶん」1976年05月01日号

Uボーとは、円盤型の生物(宇宙人)と、すすむちゃんが織りなすほのぼのとした日常の物語。Uボーは色んなことができるのだが、その守備範囲は「ドラえもん」級に広いので、詳細の解説はまたいずれ。

本作では初めてこいのぼりを見たUボーが、「さかなのおばけが来たよ」と大騒ぎ。それはどこからか風で飛ばされてきた誰かのこいのぼりだった。

持ち主を探そうということで、Uボーは「アニマライト」をこいのぼりにあてて、本物の生物に変身させる。遠いところから来たのだが、空腹で動けないということで、食事にかしわ餅を食べさせる。

藤子ワールドでは、こいのぼりのエサはかしわ餅ということになっているらしい。何とも贅沢なお話・・。

元気が出たということで、すすむを乗せて、元の家へと飛んで行く。持ち主に感謝されて帰宅すると、パパはたい焼きを買ってきてくれる。今日の出来事をパパに説明するすすむだが、Uボーは調子に乗って「アニマライト」をたい焼きに照らしてしまい、せっかくのたい焼きが飛んで行ってしまうのだった。



以上、「子供の日」関連14作を一挙紹介しました。

こいのぼりをテーマとした作品が多く、14本を一気に読んでいくと、かなりの共通項があることがわかります。

幼児向けタイトルを中心に、マイナーな作品までざっと目を通しましたが、おそらくは、まだまだ見落としがありそうです。是非漏れの情報がありましたら、コメント欄でお知らせください。



藤子作品、マイナーからメジャーまで考察しています。


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