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人的資本①23年3月期からの開示義務、ユニーク開示が人材を惹きつける

こんちは!副業社労士まさゆきです
「人的資本」の開示が2023年3月期の有価証券報告書から上場企業に義務化されます。2023年3月6日の日経新聞朝刊に「人的資本、ユニーク開示続々(上級論説委員;西條都夫さん著)」が掲載され、面白かったので紹介します。

その前に、法令で決まっている開示義務項目に触れてみます。

1)人材育成方針;研修の時間や費用、参加率など人材育成方針を示す。
2)社内環境整備方針;多様な人材に対応できる社内環境の整備方針(いつまでにどのレベルまで)を示す。
3)女性管理職比率;管理職全体に占める女性比率を示す(301人以上の企業対象)。
4)男性育休取得率;対象企業は1,001人以上の企業です。
5)男女間賃金格差;金額ではなく男性の賃金に対する女性の賃金の割合を、企業単体で、正規・非正規別に公表します(301人以上の企業対象)。
6)人的資本や多様性の測定可能な指標と目標;育児休暇取得率、育児休暇後の復職率・定着率などを示す。育児休暇取得率の公表義務は1001人以上の企業。

では、本題。日経記事では、ユニークな開示例として3つ挙げています(日経新聞さんには著作権相談済)。

[地方銀行;北国ファイナンシャルホールディングスの“職場の推奨率”]
社員に「あなたの職場で働くことを、親しい友人や知人にどの程度お薦めしますか」と質問し、「お薦め」から「絶対薦めない」まで何段階かで回答してもらうのだそうです。
22年の結果は△52%とネガティブだったそうですが、改善施策を実行中で直近では改善してきているようです(会社の企業風土改革への姿勢が解りますね~私の感想)。
[ダスキンの“世代別エンゲージメント”]
エンゲージメントは多くの企業で実施されていますが、公表は稀、ましてや世代別公表はさらに稀だそうです。ダスキンの結果では、25~29歳でエンゲージメントが低かった模様。ダスキンは若手を大胆に抜擢する制度を導入したそうです(行動が早いですね~私の感想)。
[伊藤忠商事の“出生率”]
女性社員の合計特殊出生率の推移を公表したそうです。05年度0.60、10年度は0.94と極めて低かったが、21年度は1.97と大幅に改善したとのこと。仕事と育児の両立に努めた結果だそうです(両立を目指す女性の募集が増えるだろうな、と感じます~私の感想)。

人手不足で求める人材を採用できないと悩む企業が、有価証券報告書に「自社が求める人材を示し」「人的資本に対する姿勢をPRする」ことで採用活動を有利に進める、そうであれば人的資本開示の意味は大きいと思います。求職者にとっても、企業がどんな人材を求めているか解るのでミスマッチを防ぐ効果があるのでは。
有価証券報告書が就職活動に必須になるまで人的資本開示が充実すればいいですね。

最後に、政策提言を2つ。

1)「人的資本」というからには、この費用は当然原価償却すべきですよね。最初は明確な材教育費用・研修費用等限定でいいので、早く制度化し、徐々に対象を拡大していけば企業も投資しやすいのではと思います。

2)女性管理職比率は、現在5,000人以上の大企業では6.7%の割合で、全体の12.3%に比べ遅れています(2021年厚労省調べ)。
GSDsでは「ジェンダー平等を実現しよう」が達成すべきゴールとして設定され「政治、経済、公共の場でのあらゆるレベルの意思決定において、完全で効果的な女性の参画と平等なリーダーシップの機会を確保する」とターゲットが定められています。日本政府も「女性活躍推進法」等注力していますが、この大企業の状況はよろしくない。
「女性管理職比率10%以下の大企業は法人税を1%上げる」等、促進政策を採ってもいいのではと思います。多様性はアイデアの源泉、人的投資と考えれば将来的には悪くないのでは。暴論は承知していますが即効性は高い、私の意見です。

ではまた次回。

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