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医療通訳者ってすごい!~新規医療通訳者研修に参加しての学び~

はじめまして。今年5月より、シェアの在日外国人支援事業で医療通訳の調整を担当している永島です。
今回は、7月に行った新規医療通訳者研修&選考会に初めて参加しましたので報告します。

シェアの医療通訳について

シェアでは2006年から15年間、東京都の委託にて外国人結核患者の支援場面への医療通訳派遣に取り組み、2021年からは助成金をいただきながら母子保健分野の医療通訳の活用を進めています。その活動を支えているのが、17言語の医療通訳者の方々です。
新規医療通訳者の募集はしばらく行っていませんでしたが、増加する医療通訳ニーズに応えるため、昨年数年ぶりに新規通訳者研修・選考会を行い、新たに10名の医療通訳者を迎え、54名体制となりました。

新たに新規医療通訳者研修・選考会を開催

今回は、ここ1年通訳依頼が増加しているフランス語と、最も依頼の多いネパール語の医療通訳者を募集するため、新規医療通訳者研修・選考会を行いました。研修にはフランス語・ネパール語あわせて7名の方々が参加してくださいました。
研修では、午前中に、シェアについての説明やシェアの医療通訳の特徴や派遣の流れ、母子保健サービスの基礎知識などの説明を行い、午後は、医療通訳のルールについて説明した後、シナリオを使った演習を行いました。

シェアの在日外国人支援事業について説明中

正確に訳すということの難しさ

医療通訳の通訳ルールに関しては、守秘義務の徹底や基礎的な医学用語の学習のほかに、正確な言葉のやりとりが基本ということや、自分の意見を混ぜない、自分の限界を知る、話しやすい態度を心がけるなどの説明がありました。
一見すると、そうだよなぁと思うことですが、これを実際にやるとなるとかなり難しいことだと改めて思いました。医療の現場では、きちんと伝えられないことが医療事故につながってしまうという可能性もあります。症状が一つ抜けるだけで誤った診断につながったり、患者さんがボソッと言ったことでも、それが重要なことだったりすることもあります。医師や患者の言葉は“変えない、足さない、引かない”で伝えること。それは、シンプルでとても簡単なように感じるけれど、実際に医療現場で目の前で話している言葉をメモしながら正しく通訳するというのは、とても技術や経験を要することだと感じました。

医療通訳のルールについて副代表の沢田と一緒に演じながら説明中

どんな状況でも冷静でいることの大切さ

午後の演習では、スタッフが医療者役と妊婦・母親役に分かれて、妊婦健診などの場面のシナリオを読みながら、参加者が通訳していくという実践練習を行いました。
参加者は、緊張の中、聞きなれない医療用語に苦戦しながらも、懸命に取り組まれていました。その中で、審査員が、緊張している参加者へ「どんな状況にいても落ち着いて冷静でいることが大切」とアドバイスしていました。毎回、違う現場で、違う対象者(疾患)、違うスタッフ、と状況が変わる中で、医療通訳者として役割を果たすために冷静に自分を保つのは、すごいことだと、シナリオ練習を通して知ることができました。そして、私は医療者役をしながら、実際に現場で通訳さんに入ってもらう時には、円滑にやりとりが行えるように、現場のスタッフの理解や歩み寄りもとても重要なことだと感じました。

シナリオを使った通訳の演習の様子

研修に参加して

私は普段、地域の保健師さんや病院のソーシャルワーカーさんから依頼を受け、通訳さんとの日程や内容の調整に携っています。
この研修を終えて、通訳調整時には、通訳者が準備やイメージをしやすいようになるべく詳しく情報をお伝えすること、同行される保健医療従事者には、わかりやすい言葉を使うことや場の調整などをしていただくことを、きちんと伝えていかなくてはならないと気が引き締まりました。
通訳さんがきちんと役割を果たせるように、それが妊婦さんやお母さんの安心へとつながるように、これからもサポートさせていただきます。

在日外国人支援事業 永島美有紀

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