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#279 お札に肖像画が描かれるのはなぜ?

世界で発行されている紙幣のうち、約7割に肖像画が描かれているそうだ。

日本で肖像入りのお札が初めて発行されたのは1881年。描かれていたのは古事記や日本書紀に登場した「神功皇后(じんぐうこうごう)」だ。

それから現行の紙幣まで、日本では17名が紙幣に描かれてきた。
2024年には1万円札は今の福沢諭吉から渋沢栄一に、5千円札は樋口一葉から津田梅子に、千円札は野口英世から北里柴三郎に、変わる予定なので、20名がお札に描かれることになる。

世界で初めて肖像画が描かれたお札が作られたのは18世紀のヨーロッパ。最初は女神や守護神などが描かれていていたが、次第に国王や政治家など実在の人物になっていったという。

では、なぜこれほどまでに紙幣に肖像画が描かれるのか。
一言で言うと、「偽造防止」である。

人間の脳は、「顔」を認識する能力に長けているらしい。

「間違い探し」がゲームとして成立するように、私たちは建物や風景、動物のイラストなどの間違いを探すのは目を凝らして苦労する。

それに対し、顔つきや表情、ほくろ・ひげ・髪型の変化など、顔の間違いはかなり正確に気付くことができる。

もちろん、世界最初の肖像画の紙幣をつくった人たちはそれが分かっていてつくったわけではないだろう。

しかし、肖像画が描かれたお札を使用していくうちに、いつしか肖像画は偽造に気付きやすいということがわかっていった。

お札に肖像画が描かれ続けるのは、わたしたちの脳の構造が原因だった。

無論、技術の進歩によってキャッスレス決済がさらに普及していけば、「偽札」という概念がなくなる。
かわって、ブロックチェーンのようなデータの信頼性を保証する技術が台頭してくるのかもしれない。

肖像画どころかお札自体がなくなる日も近いのかもしれない。

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