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私を育ててくれたもの⑨          図書室のはなし

私が初めて訪れた図書室は、入学した小学校の図書室だった。
まだ木造二階建ての校舎で、2階に図書室はあった。
幼稚園の頃から絵本を見るのも、本を読んでもらうのも大好きだった。
初めて入った図書室にたくさんの本がならんでいたことにわくわくした。

翌年、私が転校した小学校には図書室が2つあった。広い図書室はふつうの学校と同じくらいで、もう1つのほうは低学年用の絵本などが多くそろえられた部屋になっていた。
この学校は読書教育に力を入れており、図書室の利用方法をていねいに教えてくれた。児童一人ひとりに台本板というものをを持たせ、
棚から本を抜くとその場所に自分の台本板を置いておくシステムになっていた。だから、本の返却は正しい位置に戻すことができた。
本の背に貼ってある図書ラベルのことも教わった。
本の分類番号で、本が棚に整理されて並んでいることも理解した。

3年生になると課題図書ができ、
教室には読書数を競う紙が貼り出された。
本を読んだら先生から赤いシールをもらい、自分の欄に貼っていくのだ。
子どもはなぜかこんな単純なことに夢中になってしまう。
乗せられて、私も3年生のときに数十冊は読んだのではないかと思う。

本が好きになってしまえば、自分でおもしろい本を探すようになる。
やはり課題図書はおもしろいものが多かった。
4年生のときにはドリトル先生シリーズなどを読んだように思う。
先生が勧めてくれた本で失敗したこともあった。
それは樋口一葉の「たけくらべ」。
6年生にはなっていたけど、一葉を読むには早すぎた。
私は読んでもまったく理解できなかった。
私の図書室通いは中学生になっても続き、
『三国志』、『水滸伝』、『紅楼夢』などの中国文学にはまった。

ディズニーの「美女と野獣」では、
本を読みながら通りを歩くベルが登場。それほど本が好きなのだ。
ベルが野獣の暮らす城の中で、
どこまでも高く積まれた本棚いっぱいの本に歓喜するシーンは、
その映像の美しさとともに、
城から一歩も出られなくてもなんとかやっていけると
明るい気持ちになれたベルの表情が印象的だった。

出版界は低迷し、WEBへの移行が著しい昨今。
でも私は、人々は決して「言葉」からは離れないと思っている。
この note がその証明でもある。みんなが言葉を書き綴っている。
おしゃべりするように、思い思いのことばで、自分のことを書いてくれたらきっとその言葉につながる人たちがいると私は思っている。


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