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新卒で「マーケティング職」になるためには

 はじめまして、私は現在、新卒で入社した会社でマーケティングの仕事をしているものです。

 最近、大学の後輩や知人から「マーケティング職の就活ってどうすればいいの?」と聞かれることが増えてきました。毎回同じ話をするのもめんどうになってきたので、noteでマーケティング職を志望する就活生に向けた情報をまとめてみようと思います。当初の想定よりも長くなってしまったのですが、「リアルなマーケティング職の仕事内容」や「マーケティング職就活で必要なこと」など、わりと重要な情報を入れ込めている気がしています。

 マーケティング職の就活は、様々な業界・職種がある就活市場の中でも難易度は高いと思います。志望する学生が多い一方で、総合職ではなくマーケティング職として募集をかけている企業が少なく、また1社あたりの枠が少ないからです。1社の採用人数は、たいてい1桁。マーケティングの仕事は労働集約的ではない(人数が増えれば業績が上がるわけではない)ので、年に何十人も採用されません。

 さて、ここで簡単に私の自己紹介をさせてください。以下にざっくりと経歴をまとめてみました。

学歴:国公立大学 理系学部
学外活動:
・体育会部活動
・人材系サービスのインターン
・バイト(家庭教師、飲食店、イベント)
・就活支援団体 など
志望:マーケティング職、広告業界 など
内定先:
・大手企業マーケティング職1社
・ベンチャー企業マーケティング職2社
※早めに就活を終わらせたため内定は少ないです
インターン先:
・大手消費財企業マーケティング職
・大手食品企業マーケティング職
・大手IT企業マーケティング職
・大手広告代理店2社
・ベンチャー企業複数社 など

こんな感じです。理系の学部出身のため、大学でマーケティングを勉強していたわけではありません。サマーインターンシップを経てマーケティング職を志望するようになりました。

 まえがきの最後に、このnoteの構成について説明させてください。前半ではマーケティング自体やマーケティング職についてを解説し、後半で就活についてを解説しています。この構成にした理由は、本当にマーケティング職を目指すのか、よく考えてみてほしいからです。マーケティング職は就活性の中でも人気ですし、「なんとなくかっこよさそう」「会社の花形として活躍できそう」「市場価値の高い人間になれそう」という動機で志望する人もいるかと思いますが、そんなに都合のいい職業はありません。たった2年ではありますが、私が新卒マーケターとして経験してきたことを知っていただいて、そこから本当に志望するのかを考えてみてほしいと思います。ちなみに、私は1年目から新卒採用活動にも関わっていたので、企業側が見ている観点などはわりと正確だと思っています。

※余談ですが、このnoteを書くにあたって就活生向けのマーケティング職記事をいくつか読んでみたところ、ほとんどが実際の現場を知らない人が書いたんだろうなという内容でした。noteの最後に参考資料を載せているので、ある程度信頼のできるところから情報収集をすることをおすすめします。

マーケティングについて

 まずはじめに、「マーケティングってそもそもどういうものなんだっけ?」という話です。このnoteはあくまでも就活情報メインでマーケティング講義をしたいわけではないのですが、マーケティング職選考を受けるにあたって必要最低限の知識・考え方は知っていただいたほうがいいのではないかと思っています。

 また、なんとなくマーケティングという分野に興味を持ち始めた人にとっては、最初にある程度マーケティングがどのようなものかを知ることで、今後の志望を考える機会にもなれるのではないかなと思っています。

- 戦略とはなにか

 さて、マーケティングについて説明する前に、ビジネスにおける戦略について説明させてください。戦略とは、いったい何を指す言葉なのでしょうか。この定義を知らないままいきなり「プロジェクトの戦略を考えろ!」と言われても、なんとなく計画や方針をまとめるだけになってしまい、ビジネスとして意味のある戦略を考えることはできないと思います。

 ビジネスの文脈では、戦略は次のように定義されます。

戦略の定義:
目的を達成するための適切な資源配分

 ややこしく聞こえるかもしれませんが、大切なのは達成すべき「目的」があること、それに対して「資源」の制約があること、そしてそのギャップを埋めるために「戦略」が必要だということです。

 目的について。ビジネスには常に必達の目的がつきものです。目的がなければ成果を上げようが上げまいがどちらでもよく、したがって戦略は必要ありません。例えば、趣味で本を作って売っている人がいるとして、その人に売り上げなどの目的がないのであれば、ただ自分の好きなものを書けばいいのだと思います。もし「赤字を出さない程度に売れる」という目的があれば、ようやく戦略の出番になります(この目的には適切な設定の仕方もあるのですが、長くなるので割愛します。気になる方は「目的 SMART」や「目的 SMAC」で検索してみてください)。

 次に資源について。企業の経営資源としてよく語られる、人・物・金・情報。それに加えて、ブランドも重要な経営資源になります。例えば、スタジオジブリは強大なブランドという資源を持っています。『君たちはどう生きるか』がプロモーションをほとんどしていないにも関わらず集客できているのは、ブランドという資源が潤沢にあるからです。目的に対して余裕なほどに資源があれば、この場合も戦略は必要ありません(もちろん『君たちはどう生きるか』は無策でプロモーションをしなかったわけではないのでしょうが)。

 しかし、実際問題、ビジネスの現場で達成すべき目的に対して資源は常に不足しています。このままでは目的が達成できない……ということがほとんど。そこで、今ある資源を上手く配分することで勝ち筋を見出す、「戦略」が必要になります。ちなみに、戦略を考える時はよく「選択と集中が大事だ」という言い方をされますが、資源の投下先を明確に選択し、分散させずにそこに集中投下できると良い戦略になりやすいです。(桶狭間の戦いで織田信長がとった行動は、まさに戦略だと思います。歴史好きの方は、戦略の理解を深めるために思い返してみてください。)

 また、戦略と似た概念で戦術があります。戦術とは、戦略を基にどのように目的を達成していくかという具体策のことです。戦略が飛行機の飛ぶ向きを選ぶようなものだとすると、飛行機の燃料や整備、操縦などが戦術です。それでは、以下のパターンのうち、ビジネスで最も成果を出せるのはどれでしょうか。

①良い戦略、良い戦術
②良い戦略、悪い戦術
③悪い戦略、良い戦術
④悪い戦略、悪い戦術

 当然ですが、①が成果を最大化できます。では、最も成果が出せないのはどれか。実はこれは④ではなく、③のパターンになります。間違った方向に進んでいてもスピードが遅ければ引き返せますが、間違った方向に一直線に猛スピードで向かっていると、引き返してくることができなくなります。(少しずれますが、炎上するようなプロモーションなどは③のパターンであることが多いと思います)。

 多くの企業・ビジネスでは、戦略と言いつつ具体策・アイデアである戦術が先に立つようなことがあるのですが、それには上記のようなリスクがあります。マーケターは常に戦略を正しく策定し、ビジネスを正しく導いていく必要がある職業なのです。

- マーケティングとはなにか

 では、戦略についてある程度ご理解いただけたところで、続いてマーケティングについての説明をしていければと思います。戦略と同じくマーケティングも言葉としては広まっているものの、正しい理解はあまりされていないように思います。広告を作るプロモーションのことだと思われていたり、最近ではWebマーケティングやMA(マーケティングオートメーション)ツールの台頭により運用面のイメージが強かったりします。またマーケティングを習い始めの時に知る4Pや3C、SWOTなどのフレームワークだけで、マーケティングを理解したと思っている人もいるかもしれません。

 まとめると、世間一般的でのマーケティングのイメージは以下のようなものなのではないでしょうか。

一般的なマーケティングのイメージ:
商品や広告によって消費者に影響を与えて購買を促す活動

 これもマーケティングの大事な役割ではありますが、全てではありません。マーケティングとはもっと広い範囲(ほとんど経営に近い)ような活動です。私が新卒入社した会社では次のようにマーケティングが定義され、全員が共通の理解を持って仕事にあたっています。

マーケティングの定義:
消費者の課題解決を通してブランドが選択される必然性を作り出す活動

 なんだか抽象的な説明になっただけように思われるかもしれませんが、ポイントは、消費者の「課題解決」をしなければいけないこと、そしてブランドが選ばれる「必然性」を作るということです。

 マーケティングは、消費者の課題を解決しています。よくビジネスでは「ターゲットを決める」といった言葉が使われますが、ターゲットを決めるだけでは不十分で、彼ら/彼女らの課題が何かまでセットで考えなくてはいけません。BeReal.を使うティーンエイジャーは何を求めているのか。日本のアイドルではなくKPOPアイドルを応援する心理は。なぜ他のカフェチェーンではなくスタバに行ってしまうのか。表面的な行動や言動の先には、隠された本音(Insight)があり、その課題を解決するのがマーケティングです。マーケティング=プロモーションだと思っているうちは、いつまで経ってもスターバックスを作ることはできません(私の記憶の範囲では、スターバックスの広告を見た覚えはありません)。

 そして、マーケティングにはブランドが必然的に選ばれること、すなわち再現性が求められます。たまたまいいアイデアが出て製品が売れる、というのではなく、確実に選ばれるような仕組みを作っていかなければなりません。データなどを用いてターゲットのボリュームや切り口としての効率性を検証したり、需要予測を立てたりするのも、ビジネスとしての再現性を担保するためです。

 またデータ活用だけではなく、マーケティングでは適切なフレームワークを用いて思考することで、再現性をもって選ばれるようなブランド作りをしています。代表的なフレームワークはWHO-WHAT-HOWいうもので、WHO(誰をターゲットとするか)-WHAT(どのような便益を提供するか)-HOW(どのようにして便益を確実に届けるか)を上から順に考えてコンセプトを開発していきます。マーケターは、日々こういったフレームワークやデータを用いながら戦略を考え、ブランドが選ばれる必然性を作り出しています。

 ここで実務レベルのマーケティング講義をしたいわけではないので、より踏み込んだ内容は参考資料をご覧ください。

- なぜマーケティングが必要なのか

 ここまで説明してきておいて今さらではありますが、なぜマーケティングが必要なのでしょうか。そして、なぜマーケティング職は就活生に人気なのでしょうか。

 前述の通り、マーケティングの本質は、消費者(to Bの場合は企業)の課題を発見して解決することを言います。マーケティングが体系化される前はこの課題がシンプルでした。物もサービスも足りないので、とにかくいい製品がほしいというのが消費者の課題であり、それを解決するために様々な企業が技術力を競ってきました。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の時代です。

 しかし技術の発展による機能のコモディティ化が進み、物もサービスも飽和した現代においては、消費者の課題は顕在化しなくなってきました。消費者が口に出せるような課題は、すでに誰かによって解決されているか、到底解決できないような課題かのどちらかです。しかし課題がなくなったというわけではなく、消費者も自分では気がついていない(あるいは気がついていないフリをしている)ところに課題が潜在化しています。消費者に選ばれるブランドを作るには、消費者の課題を発見し、解決し、信頼を得る必要があります。その0→1の仕事はAIにはできない人間の仕事であり、だからこそマーケターが必要なのです。

 とはいえ、こんな話はなにも最近言われ始めたことではありません。にも関わらず今マーケティング職が人気なのは、日本にまだマーケティング文化が根付いていないからだと思います。日本はマーケティング後進国だと言われています。ジャパン・アズ・ナンバーワンの名残が強く、ユーザーではなくサプライヤーのロジックで物事が進みがちだからだそうです。メーカーがテレビをより薄く、より薄くしたところで、消費者の求めているものはそんなことじゃないのは、ここまでの読んでいただいた皆さんにはご理解いただけるでしょう。

 私はマーケターの中でも新人ですが、ふとテレビを見た時に「このCM(そもそもの製品も)何の意味があるんだろう」と疑問に思うことは多々あります。それくらい正しくマーケティングができていない企業が多いからこそ、マーケティング職は人材として貴重であり、新卒で就く価値があるのです。

マーケティング職について

 ここからは、現場のマーケティング職についてお話しできればと思います。前段のマーケティングについては様々な本や記事でも知ることのできる内容かと思いますが、実際に新卒でマーケターになってどんな仕事をするのかはそこまで知られていません。OB/OG訪問や企業説明会で語られる仕事内容は、企業にとって都合にいいように編集されています。私は、リアルなマーケティングの現場の仕事を知ることで「自分がやりたいこととは違うかも」と感じたのであれば志望を変えてもいいと思いますし、逆により興味を持ったのであれば全力で応援するつもりです。後者の場合、ここからの話は仕事への解像度の点で他の志望者に対するアドバンテージにもなると思います。

- リアルな仕事内容

 マーケティングと一口に言っても、領域は多岐にわたります。データ解析に優れたチームもいれば、いわゆるWebマーケティングやSNSマーケティングといったある領域の運用に特化したチームもいますし、広報・PRのような仕事もあります。その中で、私はブランドマーケティングという仕事をしています。ブランドのリーダーを務め、市場調査・製品開発・プロモーション・効果検証といった包括的なマーケティングを行うブランドマーケティングは就活生が想像するマーケティング職に一番近い仕事だと思うので、この領域をベースにお話しできればと思います。

 ブランドマーケティングの仕事は、大きく分けると「プロダクト」についてと「コミュニケーション」についてに分かれます。

 プロダクトというのは、そのまま製品のことです。どのような製品(やサービス)を作り、市場に売り出していくか、その戦略を考えます。商品企画なんかに近いですが、私たちはいい味やいい性能の製品を作ればいいのではなく、消費者の課題を解決し、確実に売れるプロダクトを作らなくてはなりません。自分たちのブランドではどのような課題を解決できるのか、機能だけでなくブランドとしての付加価値はどのようなものか、競合に対する優位性はなにかというようなことを考えています。そのために、ブランドのカテゴリを使用している人へのインタビューや使用シーンの視察をしたり、定量的な調査結果を分析したり、世の中のトレンドにもアンテナを立てて見聞きするようにしています。

 また、このプロダクト業務は戦略を考えるだけでなく、しっかりと実現までリードしていくプロジェクトマネジメントの役割も担います。実はブランドマーケティングの仕事時間のうち戦略立案をしているのは2割ほどで、あとの8割近くはプロジェクトマネジメント業務です。開発・制作部門と連携して起きている問題への対処をしたり、ファイナンス部門とP/Lを良化させる方法を考えたり、法務部門とリスクの想定をしたり。プロダクトを世に出すまでに立ちはだかる壁に対して、プロジェクトリーダーであるマーケティング部門が先頭に立って対応していなければなりません。

 もう一つの業務がコミュニケーションについてです。これはプロダクトを売れるようにする活動全体のことを言います。あえてプロモーションという言葉を使っていないのですが、広告・販促だけではなく、PRや営業など、「いかにして売れるようにするか」を考える活動全てがコミュニケーション業務になります。コミュニケーション社内だけでなく、広告代理店と共同で進めていくような場面も多々あります。例えばCMを制作する場合、マーケティング部門から代理店に戦略を伝えるオリエンを行い、広告代理店のチームから上がってくるクリエイティブに対してFBを返します。広告代理店に正しくブランドの戦略を理解してもらう必要があるのでオリエンはものすごく重要ですし、代理店が制作するクリエイティブは最初から戦略通りではなかったりするので、戦略に基づいた正しいFBを返す必要があります。

 またコミュニケーションの戦術段階では、AIDMAや5Aのようなフレームワークで知られているような、ファネル全体を管理していかなければなりません。つまり、ブランドの認知だけでなく、興味を持ってもらい、購入意向を高め、最終的にしっかりと購入するところまで消費者を導かなければならないということです。CMだけでこれら全てを達成することはできず(CMなどの広告は認知に強い)、各ファネルにアプローチするために様々な施策を行っています。例えばWebサイトやSNSの活用であったり、営業部門と連携した配荷率の向上や店頭での販売戦略などもコミュニケーションの一部です。

 このように、ブランドマーケティングが携わる業務は多岐にわたります。これら全てを少人数で管理するため、業務内容は必然的にマルチタスクになりますし、会議設定や資料作成、社内の承認作業、現場の視察など、かなり泥臭い仕事も多くなってきます。

- 若手マーケターの本音

 ここから実際に新卒でマーケターをしているからわかるリアルな部分を、いくつかに分けてお話します。しかし正直なところ、これにはかなり私の主観が入ってきます。一応良し悪しのラベリングはしていませんが、書き方で私がどう思っているかは一目瞭然だと思います。変にフラットに書こうとして嘘くさくなるのも嫌なので、ご自身の価値観と照らし合わせて、本当にやりたい仕事なのかどうかを考えてみてください。

1)1年目から裁量が大きい
 マーケティング職を志望する就活生が最も求めているであろう裁量権。これは、実際にものすごく大きいです。私は4月に入社して、1か月ほど研修を受けた後すぐにマーケティング部門のチームで業務が始まり、半年後には複数の担当のプロジェクトを持つようになりました。部長やそれ以上の役職相手にプレゼンすることも多々あり、グローバルな企業では海外のExecutive相手にプレゼンすることもあるでしょう。私のいる会社では新卒3年目はもうベテランという扱いになるので、若手からかなりプレッシャーがかかります。しかし、その分成長は間違いなく感じられると思います。

2)常に仕事が変化し続ける
 マーケターが相手するのは日々変わり続ける市場であり、決まりきったマニュアルはありません。マーケティングのベースとなる考え方、フレームワークはあっても、プロダクト自体や物事の進め方は常に新しくアップデートされていきます。また向上心のある人が多かったり、転職などで人材が流動的だったり、常に人が足りていなかったりするのでマニュアルを残す文化がなく、自分で考えて動くことがほとんどです。刺激がある仕事をしたい人には向いているかもしれませんが、正解がどこにもなく「これどうしたらいいんだ」と途方に暮れることも何度もあります。

3)長期スパンのプロジェクトが多い
 毎月の達成目標があるような営業職(全てがそうではありませんが)とは違い、マーケティングの仕事は1年とかもっと長いスパンで進むものも多いと思います。そうなると、途中で「なにやってんだこれ」という虚無のターンに入ったりします。ビジネス自体にモチベーションがある人はいいのですが、「プロダクトを作りたい!」とか、「この業界が好き!」みたいなモチベーションだと、常にそれを維持するのは難しい場合もあります。一方で、実際にプロダクトは世に出た時や、ビジネス目的を達成した時の達成感は、他の職種よりも大きいでしょう。これはプロジェクトの最上段の戦略を決めることができるマーケティング部門の特権だと思います。

4)意見の対立が日常茶飯事
 マーケティングの仕事は、日々が戦いです。上司(もちろんポンコツではなく超敏腕)に対して自分の提案を通していかなければならないのはもちろん、関係部署(営業、開発、制作、経理、法務など)や、外部のステークホルダー(広告代理店、パートナー企業)を巻き込んでいかなければいけません。ここで難しいのが、関係者全員が全員同じ目的で動いているわけではないということです。ビジネス目的はマーケティング部門の数字であって、他の部門は(場合によってはトレードオフになるような)別の目的を持っていたりします。対立の中で議論を重ねていくような仕事を日々やっているため、マーケティングを経験すると独立しても事業を回せるくらいの下地がつくのですが、胆力がないとかなり苦労すると思います。

5)戦略業務はかなり少なく調整業務が多い
 上記のように関わる人・ステークホルダーが多く、場合によっては100人以上の規模でプロジェクトを進行することもあります。そのため先にも少し触れましたが、マーケティングの仕事は世間で思われているような華やかでキラキラしたかっこいい仕事ではなく、かなり地道な調整・交渉業務がほとんどです。マーケティングのスマートなイメージは、様々なメディアでマーケティングについて語る経営者・実業家の悪い影響だと思います。そもそもいい面を伝えているというのもありますし、上位の職位になると仕事内容も変わるので、それが魅力的に見えてくるのは当然です。会議資料を作って上司の細かいFBを基に何度も修正していたり、海外の本社に確認するために資料をひたすら英訳していたり、なかなか進まないプロジェクトのために1日に会議が5本も6本も入っていたり。若手マーケターの仕事には、こういうものもあるということは知っておいてほしいなと思います。

6)世間のイメージよりも報酬は少ない
 マーケターは給料が高そうなイメージを持たれているかもしれませんが、正直なところ給料はそこまで高くありません。平均的な水準より低いわけではありませんが、コンサル・商社・金融などと比べると低い方だと思います。事業会社の場合、他の職種もあるためマーケティング職だけ高い給料にはされなかったり、そもそもビジネスモデル的に大儲けは難しかったりします。また外資系企業では多少給料がよく見えても、福利厚生が日系企業よりなかったりするので要注意です(家賃補助なしとか)。一方で、コンサル・商社・金融などと比べると働き方はマシだったりすると思いますし、何を重視するかは人それぞれだと思います。

マーケティング職の就活について

 ここまで「マーケティングについて」と「マーケティング職について」を説明してきましたが、ようやく就活についての話をしていこうと思います。マーケティング職の対策情報も巷に流れていたりしますが、ここで書く内容はけっこう私の個人的な話で、だからこそ価値があるのではないかと思っています。特に選考対策や各企業へのイメージはけっこうぶっちゃけた話になっているので、ある程度偏見もある前提で読んでいただきたいです。またマーケティング職採用をしている企業でも各社特色があるので、志望する企業がどんな選考をしているかはご自身でも調べてみてください。

- 選考スケジュール

 マーケティング職採用をしている企業では、選考の過程にジョブ/インターンシップが入る場合がほとんどだと思います。後述するようなマーケティング職に必要な資質をESや面接だけで測るのは難しいので、実際のビジネス課題に対して取り組むプロセスを通して資質を判断しています。

 そのため、サマーインターンシップ経由でしか採用していない企業も何社かあります。そうでなくてもマーケティング職採用は、早期勝負です。まえがきでは「本当にマーケティング職に就きたいか」と言いましたが、ここまで読み進めるくらいマーケティングに興味がある人は、とりあえずサマーインターンシップを受けてみましょう。もし最終的に志望を変えるとしても、マーケティングのインターンシシップ経験は後々の就活だけでなく、社会人になってからも役に立ちます。

 とはいえ、早期といえどコンサルやベンチャーほどの早期スケジュールではなく、サマーインターンシップ自体は日系企業と同じようなタイミングで実施されることが多いと思います。多くの日系企業と違うのは、そこで落ちたら本選考にも進めない可能性があるという点です。慎重に準備をしてから、サマーインターンシップに臨みましょう。

スケジュール例
・4~6月:企業説明会
・7~8月:面接・GD先行
・8~9月:サマーインターンシップ
・10~12月:最終面接

- 求められる資質

 マーケティング職を募集する企業が新卒に求めている資質は、大きく分けて2つです。それは、戦略的思考力とリーダーシップ。採用サイトではいろいろ書かれたりしていますが、ここに集約されると思います。

 戦略的思考力は、マーケティングをやる上で必要不可欠な資質です。マーケティングの仕事はまさに戦略担当。調整業務も多いと言いましたが、やはり重要なのは戦略の立案です。ビジネス全体の方向性を決めていくには、筋のいい戦略を策定する思考力が資質として必要です。どういったターゲットを狙っていくのか、どれくらいの収益が見込まれるのか、どのように予算配分をするのか。マーケターは常にロジックを用いて思考していくことになります。

 また戦略的思考力には、消費者の心理を深く掘り下げいく力も含まれます。消費者の課題を解決するには、彼ら/彼女らの深層心理、Insightを発見する必要があります。そのためには、消費者心理を深く読み解いてく洞察が必要不可欠です。現役のマーケターも最近流行りのコンテンツや流れているCMを分析したり、SNSの投稿なども見ながら消費者の解像度を上げたりして、洞察力を磨いています。マーケティング職に求められる戦略的思考力というのは、左脳と右脳をバランスよく使って思考できることだと思います。

 もう1つの求められる資質がリーダーシップです。マーケティング部門はプロジェクトをリードしていく立場なので、様々な関係者を巻き込んでいく力が必要になります。リーダーシップという言葉はかなり抽象的ですが、私は人をポジティブに巻き込めるか、そして適切なタイミングで判断を下せるかが重要なリーダーシップの要素だと思います。プロジェクトリーダーには、関係者を巻き込むポジティブなはたらきかけが求められます。それは決して協調性が大事というわけではなく、あくまでも自分が正しいと思う考えは貫きつつもチームをエンゲージする必要があるということです。前述の通りプロダクトを進めるうえで各ステークホルダーの意見はよく対立するのですが、優れたプロジェクトリーダーはビジネス目的や戦略を魅力的にプレゼンし、余裕を持った振る舞いをし、相手の目的をも達成できる(ように見せる)立ち回りをしています。

 またプロジェクトを前に進めるにはモチベーションの観点だけではなく、適切なタイミングで判断することも必要です。事業会社の仕事はコンサルとは違い、AとBのどっちが正しいかわからない(どっちを選んでも正しい)時でもどちらかを選び、選んだ方を正解にするようなものだと言われています。関係者を巻き込めていても、それぞれの思惑や意見を聞きすぎてぐだぐだと決定が遅れてしまい、タイムアップになってしまうこともあります。プロジェクトリーダーは、ここはしっかり考えた方がいいという時と、ここはとにかく決めてしまうことが大事という時の違いを理解していなければいけません。

 このように戦略的思考力とリーダーシップの2つの資質が問われるのですが、どちらかというと戦略的思考力の方が重視されると思います。なぜなら、圧倒的に強い戦略は自然と関係者をリードしていくからです。正しい戦略を立て、それが正しいことを周囲に説明できると、人柄や巻き込み方に関わらず人がついてきます。新卒でマーケティング職を志望するなら、いかに自分の戦略的思考力をアピールできるかを意識しましょう。


 ちなみに、「大学でマーケティングを学んでいる必要はありますか?」と聞かれることもよくあるので、こちらにお答えしておきます。

必須ではないが、知っておいた方がいい。

です。実際私のいる会社の新卒マーケティング職のうち、大学でマーケティングを学んでいた人はほとんどいません。私のような理系学部出身の人も多いですし。しかしこれは、マーケティング理論と実務マーケティングは違うというだけのことであって、勉強せずとも選考を勝ち抜けるというわけではありません。自分の資質に100%の自信がある人以外は、GDやインターンシップで結果を出したり、面接でマーケティング的な観点の質問をされても答えられるように、ある程度勉強しておきましょう。最後に参考資料を載せているので、ぜひ活用してください。

- 各種選考対策

 ここでは基本、選考過程としてサマーインターンシップがある前提でお話します。マーケティング職のサマーインターンシップは、各社何度も開催せず1日程のことが多いと思います。そのため多くて50人ほどしか枠がありません。まずはここに残る必要があります。また面接があまりなく、選考の段階自体が少なかったりするので、一つ一つの段階でかなりの数が落されることになります。そのため、全ての選考に本気で取り組まなくてはいけません。以下では各選考で気を付けるべき点を解説していきます。

1)ES
 多くのマーケティング職選考では、ESでリーダーシップ経験を聞かれます。ざっくり「学生時代に力を入れたこと」という問いはあまりなく、「多くの人数を巻き込んで成果を出した経験」や「意見が対立した時にどのような前に進めたか」など、具体的な指定をされるようなこともけっこうあります。

 まずはリーダーシップ経験でESを1本完成させましょう。そして、要素としては「多くの人をリードできていたか」または「巻き込みにくい人を巻き込めていたか」があるといいと思います。仕事の性質上、自分と同じ意見の少人数の人をリードするようなことはほぼないので、上記どちらかの要素が必要です。そのあとは「ポジティブに(周りにもメリットがある形で)巻き込めていたか」と「結果を出すためにリードできていたか」が分かれば十分。あとは一般的なガクチカ同様に構成を練ってみましょう。

 また偏見ですが、化粧品等の感性が重視されそうな企業ではESに志望動機が必要だったり、最近のマイブームなどの考え方を問われる質問があったりすると思います。マーケティング職の志望動機は、「なぜマーケティングか」→「その中でなぜ○○カテゴリか」→「その中でなぜ貴社か」という構造がシンプルでおすすめです。字数制限が厳しい場合は、マーケティングへの志望かカテゴリへの志望かをどちらかに絞り、プラス貴社への志望という構成でOKです。

 最近のマイブームなどへの回答は、志望する企業製品に限定する必要はなく(むしろ私は媚びてない方が好印象)、本当に好きなものをマーケティング的観点で考察するのがいいと思います。直接WHO-WHAT-HOWという言葉を使うのもあざとい気もするので、「この製品は私のような○○をターゲットにしているのが嬉しい。」とか、「単に○○という価値だけでなく、○○というベネフィットを提供しているのが好き。」など、文脈に沿った言い回しができるといいのかなと思います。

2)Webテスト
 多くのマーケティング職選考では、Webテストがかなり重要な選考になります。まえがきの通り、マーケティング職は採用枠に対する応募者がかなり多く、また戦略的思考(≒地頭の良さ)が必要な仕事のため、効率的に選考をするためにもWebテストでけっこうな人数が落とされるからです。

 とはいえ私が解説できることは少ないので、ここはご自身で対策してください。代行や回答集などもあるかと思いますが、後々のことを考えると自力で受けておくことをおすすめします(私は普通に自分で受けました)。

3)GD
 インターンシップ本番の前に、GDや1Dayインターンシップのような形で短めのワーク選考が入ることもあります。GD選考は一般的な対策とあまり変わりませんが、私が実践していた立ち回り方をご紹介しようと思います(合う合わないはあるので、必勝法とは言いません)。

 GDの難しさは、時間が短いから積極的に話さないといけないのに、お題への理解が足りていない時点で話すとボロが出る可能性があるという点にあります。しかし、多くの就活生は前者を恐れて、われ先にとファシリテーターの役を取ろうとします(この時点であまり戦略的とは言えません)。私は、序盤は二番手になるようにして、その間に自分の考えを整理し、議論が停滞したところですかさず「一度全体を振り返って考えてみましょう、こういう方向性はどうですか?」と投げかける立ち回りをしていました。そうすると最終的には自分のリードで議論が着地します(ちょっとずるい気もしますが)。ただし、お題が簡単な時(超あるあるのカフェ売り上げ向上)とかは議論が停滞することもないので、その場合は最初から表に立って戦います。

 またマーケティング職のGDの場合、一般的なGDのように「ネガティブスクリーニング(明らかにダメな人を落とす)だからよっぽどのへまをしなければ大丈夫」と考えているのであれば、甘いです。前述の通りマーケティング職選考は選考段階が少なく、したがって各選考でけっこうな人数がしっかり落されます。GDであっても、インターン本番くらいの覚悟で臨んでください。なんなら、マーケティング職選考においては、集団の中で短時間でアピールしなければならないGDが一番難しいと思っています。

4)面接
 面接は比較的少ないと思います。なぜなら、マーケティング職のにおいては人柄や熱意よりも能力が重視されるのですが、面接ではそれが測りにくいからです。基本的にはESで書いたことの確認であったり、GDやインターン等のワークで判断しきれなかった資質の確認がメインだと思います(ただし、最終面接は人柄や熱意も見ている場合があるので要注意)。

 そこで重要なのは、ありていに言うと「いかに賢そうに話すか。」だと思います。堂々とした振る舞いでハキハキ喋れているとそれだけで賢そうに見えますし、話す内容そのものもそうですが、質問で詰められたときに即座に筋のいい回答ができると思考力への評価につながります。要は他の面接とあまり変わらないのですが、その企業への熱意や志望度を強く推していくというよりは、多少ドライでもスマートな印象を残す方がいいと思います(何度もいますが、最終面接は別です)。

 またコンサルのようなケース面接が必ずあるわけではないですが、ESでもあったような最近のマイブームや好きな商品などについて質問されることはあります。その場合、ESと違ってその場で回答しなければならないので、まず何をトピックとして持ってくるかで情報感度が問われています。古いケースでもいいのですが、最新のトレンドを抑えていると、マーケターとしてはプラスの評価になります。またターゲットやベネフィットについて答えるだけでなく、ビジネスモデルに対する考察などもあると、より広い視点でビジネスを見れているという印象を与えることができます。ここは準備していくというより、普段からCMや新商品を見た時にちょっと考えてみる癖をつけるのがいいと思います(現役マーケターのほとんどが職業病のようにこれをやっています)。

5)ジョブ/インターンシップ
 さて、最後にジョブ/インターンシップです。実際の選考の流れでは、この後にも面接があるかと思います。ジョブ/インターンシップは企業理解を深めたり、自分の成長の場になるだけではなく、しっかりとした選考の場でもあります。それも社員がベタ付きで2~4日間くらいかけて見ていくので、ここではごまかしのきかない実力/資質が問われると思っておいてください。

 ジョブ/インターンシップでは基本的に最初に会社の説明やマーケティング講義があり、その後実際にワークをやってみるという流れがほとんどだと思います。ここでは、変に自己流を出さず、その企業のマーケティングのやり方をインストールすることをおすすめします。事前知識を披露したくなる気持ちはわかりますが、企業からそれを評価されることはあまりありません。というより、新卒に求められていることではありません。マーケティングの考え方の根底は共通しているかと思いますが、用語やフレームワークは各社のものを使いましょう。

 またジョブ/インターンシップではGDよりも時間があるので、自分に合った(そしてチームに合った)リーダーシップの取り方を考えるといいと思います。特にお題が難しく時間も長いワークでは前に立って進めるだけではなく、様々な方法で議論を推進することが必要です。ザ・リーダーというような学生がチームにいれば、自分は後ろ側からチームの不足を補ったり、議論についていけていないメンバーをサポートするなど、自分なりの方法でプロジェクトを進め、かつ自分なりの方法で自分の意見を反映させます。案外こういった動きもしっかり評価されるのです。

 私はとある企業のインターンシップで担当社員さんに「筋のいい意見を言うだけなら高校生でもまぐれで言える。その意見を周囲に納得させて、チームを前に進めるのが仕事だ。」と言われたことを今でも覚えています。ただ肩書としてのリーダーをするだけでは不十分だし、ただいい意見を言うだけでは不十分なのです。

 また、社員からFBを受けた後の行動は、どこの企業でも必ずみられていると思います。基本的に学生がお題に対して最初から適切なアプローチをとることは不可能で、社員もそれをわかっています。そのため、自分のやり方にこだわり続けるよりも、社員からのFBを受けた時に素早く理解し、即座に軌道修正していくような柔軟性は評価されます。

 最後に、これは偏見かと思いつつ外資の企業にはありがちなのではないか思っているのですが、過度な志望度や熱意のアピールはマイナスにはたらく場合があります。そもそもそういうタイプの人が少なくいっしょに働くイメージがつかなかったり、ミーハーっぽく見えて「自慢するための内定実績がほしいのかな?」と思われたり、入社するのがゴールで入ってからモチベーションが下がりそうという印象がついたりします。あくまで私の肌感の話ではありますが、社員さんのタイプや温度感に合わせていくといいのではないかと思います。

- マーケティング職を募集している企業

 全てを網羅しているわけではありませんが、マーケティング職を募集している有名な企業の紹介をしていきます。説明書きは、完全に私の偏見です(といいつつ多少就活で関りがあったり、現役/元社員に話を聞いた企業を並べています)。気になる企業については、ぜひご自身で各企業の社員さんに聞いてみてください。

・P&G
 馬車馬のように働いていそう。成長はするし市場価値は断トツで高いが、ここで生き残れる人はかなりタフ。ドラゴンボールの世界くらい日々バトルしてそう。自分の意見で相手をねじ伏せるという、野心の塊のような精神性が必要。

・ユニリーバ
 P&Gよりはマシなイメージ。P&Gがボクシングだとしたら、ユニリーバは武道。環境意識や社会問題、ダイバーシティへの意識も高い企業なので、単に成長したいというりかはビジョンを持って仕事にあたるような人が多いと思う。

・日本ロレアル
 キラキラしている人が多そうだし、実際多いと思う。女性比率は高いが、男性もいるらしい。P&G的なロジック至上主義ではなく、どちらかというと感性のような右脳的アプローチも重視されていそう。フランスの文化がベースになっている。

・USJ
 元CMO森岡さんの印象が強くP&G文化なのかと思いきや、わりかし日系的なチーム主義らしい。野心家とバランサーが混在しているイメージ。そこまでゴリゴリは嫌だと思う人は向いているが、最速で成長したい人には合わないかもしれない。

・資生堂
 マーケティング職の中では珍しく、企業理解やブランド理解とかも必要なイメージ。ベースは日系文化だと思う。日系企業と外資企業のいいとこどりができそうではあるが、今が変革期なのかもしれない。

・日清食品
 かなり右脳的なアイデア派が多そう。変わったこと、新しいこと、おもしろいことにチャレンジする文化はあるが、一方で他社に行っても通用する力がつくかはわからない。独特。

最後に ~就活生へのメッセージ~

 まずは、最後まで読んでいただきありがとうございます。2万字近いnoteになってしまったので、ここまで読んでいただけただけでも嬉しいです。

 ずっとマーケティング職について書いておきながらあれですが、私は入社後2年経ったところで「マーケティング向いてないんじゃないか」と思うようになりました。しかし、別の会社に行った知人に相談しても「マーケやめるなんてもったいない!」とか「絶対向いてるから大丈夫!」と言われ、なんだかんだずるずるとまだ続けています。

 励ましてくれる知人には感謝する一方で、世間でのマーケティング職のイメージはかなり良いとこ取りされていて、実情はなかなか伝わりづらいんだろうなと思うようになり、それがきっかけでリアルな話を就活生に伝えた方がいいのではないかと思うようになりました。また、キャリア自体についても、就活中は仕事一直線な生き方に憧れたりもしましたが、本当に自分がそうしたいのかは分からなくなってきました。

 今私は就活相談を受ける時、必ずフラットに自分自身について考えたり、フラットに業界・職種を見ることができるようにアドバイスすることを心がけています。就活中はどうしても頑張っている人をも見ると自分も頑張らなきゃと思うし、就活時の見栄があることもものすごくわかります。でも、そんなことは入社したとたんにおしまい。あとは現実の仕事だけが目の前に残るだけです。

 マーケティング職に限らず、就活の本質は学生の間にしてこなかった内省だと思っています。学歴社会の中で、特に自分のやりたいこと・向いていることなど考えずに大学まで進学した人も多いのではないでしょうか。そんなキャリアについてはじめて考える機会としての就活。どこどこに受かる受からないなんてのはだいぶ後の話です。

 「納得のいくファーストキャリア」というのは、就活終了時に納得できるのではなく、働き始めて何年も経って振り返った時に納得できる状態のことをいうのだと思います。そうでないと意味がありません。みなさんが本当の意味で「納得のいくファーストキャリア」を選択できるように、少しでもそのサポートができればなと思います。

 就活、頑張ってください!応援してます!

・このnoteは私の経験と私の考え方を基に執筆しているので、世の中のマーケティング職すべてがこうというわけではありません。

・もし「こういうことも知りたい!」というご意見があれば、このnoteのコメントか、プロフィールに載せている連絡先・SNSまでお気軽に送ってください。

参考資料

 以下に私が就活時~現在まで参考にしてきた書籍・記事の一部を載せています。直接引用していないものもありますが、私の考え方のベースにはなっているかと思います。

音部大輔『なぜ「戦略」で差がつくのか。』
前半で触れた「戦略とは」について分かりやすく解説されています。

石井賢介『【1時間で分かる】P&G流マーケティングの教科書』
「マーケティングについて」の詳しい内容は、ほぼこちらのnoteでカバーできます。

森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
マーケティング職の志望者は、ほぼ全員読んできます。

森岡毅『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
こちらも半分くらいの人は読んできます。

大松孝弘, 波田浩之『「欲しい」の本質』
マーケティングフレームワークの中でも理解の難しい「Insight」について、かなり掘り下げて書かれています。

長谷川晋『P&Gで学んだビジネスの戦闘力「1ページをなめるな!」』
マーケティングについてのnoteではないですが、インターンなど実務に近い場面で活用できます(長谷川さんのnoteは社会人として勉強になるものばかりです)。



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