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小原晩を読むと、人生が、足りていない気がする。|『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』

小原晩を読むと、人生が、足りていない気がする。|『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』

 人生が、足りていない。そう思わされた。

 筆者の小原晩さんは、1996年生まれだそうで、この本の初版が2022年3月5日。誕生日までは存じ上げないので、26歳の時にこの本を書かれたとする。

 まだ何者でもないわたしは、もう24歳になってしまった。つまり、あと2年でこの本を書かなければならない。

 人生が、足りていない。

 エッセイなんかの生活を元にした表現は、生きてきた人生のポイント貯蓄

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【読書記録】他人事とは思えずにいた。|川上未映子『黄色い家』

【読書記録】他人事とは思えずにいた。|川上未映子『黄色い家』

 私は、今の今まで、自分が「ちゃんと」生きてこれたのは普通のことだと思っていた。裕福ではないが貧乏でもない家庭で育ち、大学まで学校に通い、地元の会社に入社したごく一般的な人生。もちろん、そうできない人がいることを知っているし、可能であれば力になりたいとも思う。しかし、花たちを見ていると、自分はきっと経験するようなことではなかったのに、不思議と「あり得たかもしれない」人生の一つのようにも思えてくる。

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【読書記録】どうやら私もいい人だったらしい。|『いい人すぎるよ図鑑』

【読書記録】どうやら私もいい人だったらしい。|『いい人すぎるよ図鑑』

 SNSで話題になっていた『いい人すぎるよ展』。行ってみたいと思った頃には、時すでに遅し。

 東京会場は2023/12/4に終わっており、ギリ大阪から行けそうな愛知会場も2024/1/14に終わっていました。大阪会場は無し、悲しい。ちなみに東京会場のくだりで予測変換の第一候補が東京海上だったことは言うまでもありません。

 SNSで『いい人すぎるよ展』のレビューが流れてくるたび、どの展示にも心惹

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