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ビリーアイリッシュに救われて——これまで語らなかったわたしのこと

夢を見たんだ
欲しいもの全てを手に入れる夢
君が思ってるようなのじゃないよ
それに正直なとこ
悪夢だったかも
私を気にかけてくれる人にとっては

Billie Eilish - everything i wanted

everything i wanted


わたしは、あるいはわたしたちは、この身に降りかかる不幸を認めて、受け入れなければいけない。
だけど、なぜ自分たちだけがそのような困難に直面しなきゃならないのだろう——死にたくて死にたくて死にたくて、そのくせ外には吐けなくて、色彩は変わらないのに #灰色 とハッシュタグのついた毎日を生きている。

誰からの着信も、LINEもない。
いつかそんな深夜に息を殺してベルトを片づけた。
あの夜もすでに遠くなり、傷は白く過去のものという顔をしている。

最近は、そんな自分の境遇と現実についてようやく腑に落ちるところまで来た。
だからこそ、誰にも……本当に誰にも。
仲のいい友人や、心を開いた医療者にも言ってないことを、ここに書こうと思う。

ちなみに、わたしがビリーアイリッシュに本当に救われたのは、
このeverything i wantedという曲を聴いてからだ。

飛べると思ったんだ/だからゴールデンゲート・ブリッジから飛び降りた
/誰も泣いてなかった/気づいてさえいなかった
みんなそこにいたのに/気にかけてくれると思ったのに

こんなふうに、こっそりと死ぬ想像をして泣き明かした夜は数えきれない。AppleTVのドキュメンタリーで17歳まで生きられるとは思っていなかったと述べた彼女だが、その痛みをこうやって歌にしてくれたから、曲を聴いて、泣いて、夜を越えられる。

君自身に対する考え方を/僕が変えてあげられたなら
どうして「お前にはふさわしくない」なんて声が聞こえてくるのかなんて
君は思わなくなるのに

こちらのフレーズはたぶん、兄のフィニアスがビリーに言ったこと(もしくはビリーがファンに伝えたいこととのダブルミーニングかも)だと思うけど、実際に幻聴じゃない声ってあって。
これは自閉症スペクトラム生き方ガイドという本にも「批評家の声」として記述がある(この本自体は洋書の専門的な本という典型でめっちゃ読みにくいのでおすすめはしない)のだけど、
あえて表現するなら「自己批判的な自動思考が声っぽい感じで感じられる」
ということかなという感じだろうか。
もしくは超ネガティブな考えが聴こえるくらいリアルに感じられるって感じだ。
イヤーワームを含めた様々な特性も、敏感すぎる気質も、希死念慮も。
生きづらい要素はあいにくたくさん持っているわけだけど、わたしにはもうひとつ、難しい要素があった。

Who is はちどり

はちどりは、一人称こそ「わたし」だけれど、生物的には男性である。
このことは、ずっと一人称をわたしとしているため、読者の方を欺いてしまっている気分になって、とても心苦しくなってきたので、正直に告白しておく。
しかしながら、生物学的には男性という表現を用いることもまた心苦しいことだ。
わたしはゲイでなく、またバイセクシャルでもないからだ。
(ネットで調べてみると、トランス女性のレズビアンではないかという意見もあったけれど、かなりややこしいのでその可能性は除外しておく)
しかし、生まれてからずっと、男性が持ちうる男性的な部分が好きではなかったし、男の子が好きなものを好きでなかったし、そういうことで性別から弾かれてきた。男性の恋愛的なところからも。(みんなに好かれるタイプの子の良さが真剣にわからなかったし、それはやっぱりコミュニティではそれなりに困る)
男性にも文化圏らしきものがあって、そこに入ることで認められ、ひとつの秩序として生活をしていくから(そして、それは中高生が顕著だと思う)
そこに入れないと変に見られるし、マウントも取られるし、いじめられそうになることだってある。

とはいえスラムダンクは読んだことがないし、ドッジボールは嫌いだし、ドラゴンボールは内容を忘れたし、車にもバイクにも興味がないし、アクション映画も、ラーメンも、アイドルにもぶりっ子にも清楚系にも惹かれない。というようなことは、素でそのじぶんなので変えようがない。
好きなものはファッションと恋愛映画と甘いものとカフェなのだ。

実際に、こういうことが原因でか、これはトラウマのひとつだけど、高校生の頃クラスメイトに局部を押し付けられたことだってあった。
(ふざけたつもりかもしれないけど、めっちゃ嫌だったのだ…)

実際の性自認

生物学的に男性であることは疑いようのない事実だし、恋愛対象は女性だ
だけど男性文化圏にあるマッチョさや、いかにマッチョであるかを競うような感じが受け入れられないし、望むと望むまいとそういう面が自分に流れていることも嫌だった。そういう人間でいると、思春期に居場所がない。
まだ幼い十代には、わかりやすさが好まれるからだ。
わたしは無理をして笑ったりすることで、かろうじて仮の居場所を確保できていたので、まだ運がいいほうだったと思うが、偽ることに抵抗を強く覚えれば覚えるほど、生きづらいものになっていくだろう。

ただこの性自認が不明、というのはコミックエッセイでもそういった記述がなされていたりもして、、ペス山 ポピーさんの女(じぶん)の体をゆるすまでや、永田カビさんのさびしすぎてレズ風俗に行きましたレポに詳しく書かれているので、生きづらいひとは読んでみてもいいと思う。まず単純に漫画
としておもしろいし。
また、その他文献から見るに、発達障害のひとのなかにはある程度ありうることなのかもしれないし、
ペス山さんのようにじぶんの体をゆるせていないのかもしれない。
しかし、ジェンダーがどうであれ、これからのEMDRの治療ではもっと深い領域を掘り下げ、そしてnoteにれぽを公開している以上は晒さねばならない。そう思って、8回目のれぽの前にこの記事を公開しようと決めた次第だ。これからはジェンダーがクィアとなるややこしいわたしだけど、応援したりしなかったり記事を読んだり読まなかったりしてくれるとうれしい。
つまり、変わらないでいてくれるとうれしいです。

時々、じぶんがべつの衛星にいる気分になることがある。
イオとガニメデみたいに同じところを飛んでるけどべつの星で、でもおなじところに生きているように振舞っているだけじゃないかって。
なにかが違うためにおなじ人になれなくて、それが心を削り続けて、、、

飛べると思ったんだ
だからゴールデンゲート・ブリッジから飛び降りた
誰も泣いてなかった
気づいてさえいなかった
みんなそこにいたのに
気にかけてくれると思ったのに

Billie Eilish - everything i wanted



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