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数学月間

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社会と数学の架け橋=数学月間(7月22日--8月22日).この期間は,π(22/7=3.142..) とe(22/8=2.7..) に因んでいます.この期間に,数学への関心を高め…
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2023年5月の記事一覧

★ケーニヒスベルクの街歩きからゲノムの再構築まで

★ケーニヒスベルクの街歩きからゲノムの再構築まで

現代の生物学では,大きなDNA分子を本のように一文字ずつ「読む」ことはまだできません.その代わりに,科学者はゲノムのどの部分から切り取られたのか分からない短いDNA断片の配列を解読しています.このような大量のDNA断片からゲノムを組み立てるプロセスをシークエンシング(sequencing)と呼びます.
 
10億個のジグソーパズルを組み立てるようなもので,これは3世紀以上前に開発された数学的理論に

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ロバチェフスキーの「狂った」幾何学からGPSナビゲーターまで

ロバチェフスキーの「狂った」幾何学からGPSナビゲーターまで

最も抽象的で思索的な科学理論が,しばらくして(時には相当な年月!)非常に実用的な事例の基礎となることがある.たった一つの応用からの恩恵が,科学史におけるオタク数学者のコストを賄って何倍にもなるような多くの例から一つを挙げよう.
19世紀前半.カザン大学学長ニコライ・イワノビッチ・ロバチェフスキーは,「仮想幾何学」を提案した.ユークリッド幾何学が2千年存在しているというのに,この幾何学では三角形の内

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四元数と宇宙船姿勢制御

四元数と宇宙船姿勢制御

アイルランドの首都ダブリンのブルーム橋には,「1843年10月16日,この場所で,ウィリアム・ローワン・ハミルトン卿が散歩中に,天才的な洞察力で,四元数の乗法を決める公式、$${i^2 = j^2 =k^2 =ijk =-1}$$ を発見し,橋の石に書き込んだ」という石版がある. この規則は,実数の4倍体である四元数(クオータニオン:ラテン語でクオータとは「4」という意味)の掛け算を決定することが

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19世紀の科学業績ーマクスウェル方程式

19世紀の科学業績ーマクスウェル方程式

20世紀の科学的発見で,最も偉大な業績とされるべきものは何でしょうか.おそらく,量子力学の誕生でしょう.量子力学は,ミクロの世界(原子や粒子のレベル)で起こることを説明するだけでなく,トランジスタやレーザー,超伝導や原子工業など,新しい技術を生み出したのです.
ちなみに,数学者は,量子力学を記述するための適切な数学ツールを開発し,量子力学に大きく貢献しました.水素原子に関する最初の量子方程式は,シ

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4月の米国「数学統計学啓発月間」AI

4月の米国「数学統計学啓発月間」AI

米国の4 月は,数学と統計に対する理解と評価を高める月間MSAMでした. MSAM = Maths & Statistics Awareness Month

1986年4月にレーガン大統領宣言でスタートした米国の数学月間MAM(Maths Awareness Month;ただし,スタート時は週間)は,2017年から「数学統計学月間」となりました.インターネット・ セキュリティ,持続可能性,病気,

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多面体

多面体

上記ウエブサイトはロシアの多面体模型のウエブサイトです。そのサイトの主旨は次のように語られます:科学はショーとして提示できますが,数学のショーは難しい。数式は一般の興味を惹かないからです。数学のショーを成り立たせる有力テーマは,多面体です。多面体の紙模型は,空間の性質や対象物の幾何学を認識させるのに有効です。 紙模型は,曲面でなく平面とエッジで構成され,厚紙で作れます。

2022年11月26日(

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数学月間懇話会(第19回)のお知らせ

数学月間懇話会(第19回)のお知らせ

毎年暑いさなかですが,7/22ー8/22の1か月は「数学月間」です。
3年間リモートばかりでしたが,今年は久しぶりに集会ができそうです。
会場でお待ちしています。お気軽にご参加ください。
しかし,状況が変わることもあるかも知れませんので,最新の情報は
数学月間の会ウエブサイトhttps://sgk2005.org/をご覧ください。

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