物流業界の再編を整理しました。

A:今日は、物流業界における再編を整理したいと思います。

T:直近では今年の9月17日。物流大手のトランコム(9058)がMBOを発表。米ベインキャピタル(Bain Capital)と組んでTOBを実施する。総額1,000億円規模のMBO。

A:トランコムは名古屋地盤ですよね。確か、主要取引先はユニ・チャームグループ。大株主にノルウェー政府もいましたよね。

T:同日、中堅物流のエスライングループ本社はMBOで上場廃止になった。同社のMBOに関しては、取得価格がPBR0.6倍台にもかかわらず、TOBへの応募契約を事前に多数の機関投資家および個人投資家と結んでいた。そのため、米Curi RMB Capitalの細水政和氏は「公開買い付け制度の抜け穴を利用した脱法行為ではないか」と批判されていた。

A:本年6月には、セイノーホールディングス(9076)が三菱電機の物流子会社(三菱電機ロジスティクス)の買収を発表。66.6%を約570億円で取得し、ロジスティクス事業における中核会社にする方針。但し、三菱電機ロジスティクスはパワー半導体や防衛装備品などの特殊な製品も扱うため、三菱電機は33.4%を継続保有し、株主総会での単独拒否権を確保します。

T:セイノーホールディングスは、企業間物流の業界最大手である西濃運輸を傘下に持つ。とりわけ、複数荷主の荷物を混載する「特積み」を主力とする。国際物流ではドイツのDBシェンカーをパートナーと位置付けている。また、阪急阪神エクスプレスと資本業務提携を行っている。ヤマト運輸、佐川急便、福山通運、日本郵便とも連携している。

A:米KKR傘下のロジスティード(旧日立物流)は本年5月にアルプス物流(9055)のTOBを発表し、8月からTOBを開始。筆頭株主はアルプスアルパイン。同社の持分法適用関連会社。TOB成立後はロジスティードが80%、アルプスアルパインが20%を保有。アルプス物流は上場廃止の予定です。

T:2024年問題に伴う、業界再編が凄まじいスピードで進んでいるね。

A:はい。本年7月にはSBSホールディングス(2384)が日本精工の完全子会社で物流事業を手掛けるNSKロジスティックスの買収(66.61%を取得)を発表。SBSホールディングスは、SBS東芝ロジスティクス(2020年買収)、SBSリコーロジスティクス、SBSロジコムを中核とする物流サービス会社。これまでも様々な物流企業を買収。傘下には自動車・車両輸送会社のゼロ(9028)もあります。

T:本年5月31日に、佐川急便を傘下に持つSGホールディングス(9143)が、C&Fロジホールディングス(9099)への対抗TOB(全株取得予定)を発表。もともと本年3月にAZ-COM丸和ホールディングス(9090)がC&FロジホールディングスへのTOBを発表していた。1株3,000円での買収予定も、SGホールディングスは1株5,740円。事実上のホワイトナイトであるSGホールディングスが競り勝った。

A:C&Fロジホールディングスは、食品物流の名糖運輸とヒューテックノオリンを中核とする物流会社で、低温物流に強みがあります。SGホールディングスは国内屈指のコールドチェーンをつくれるとのことです。

T:昨年末に、第一生命ホールディングス(8750)がベネフィット・ワン(当時はパソナグループ傘下)への対抗TOBを発表。そしてエムスリーに競り勝った。これ以降、対抗TOBさえもはや当たり前になったね。

T:まさかのJTCによる歴史的な事件。それほどの衝撃でした。本年3月には、MBOを予定していたローランドディージーに対して、同意を得ないTOB、いわゆる敵対的TOBをブラザー工業(6448)が提案。TOBは不成立でMBOが成立。昨年8月の経産省のM&A指針が効いていると思います。

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