新宿御苑ブックカフェ

IRの現場で活動している方に役立ちそうな情報を対話形式でお伝えしています。 また、アクティビストや業界再編など、時事ネタも取り扱いします。 さらに、海外投資家についても、これから紹介していきたいと考えています。

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最近の記事

アクティビストに振り回されないために

A:シンガポールのアクティビスト3D(3D Investment Partners Pte. Ltd.)が本年7月17日に提出した変更報告書では、ワコールホールディングス(3591)の10.76%を保有しているとのことです。 T:ワコールは2期連続の最終赤字。矢島社長は11月7日の日経で「聖域なく不動産の売却を進める」と述べられていた。11月から3度目の希望退職の募集も開始。2023年以降すでに国内で2度の希望退職を実施している。 A:ワコールは全国に不動産を保有し、また

    • 経済指標よりも注目したい、とある企業の時価総額。

      A:本年10月に事業会社で最低のPBRになった日産自動車(7201)が火の車ですね。 T:11月7日に、中間決算を公表。連結純利益は前年同期比93.5%減の192億円。同時に多数の開示を行った。「業績予想の修正に関するお知らせ」「人員削減等の合理化に関するお知らせ」「三菱自動車の株式の一部売却について」を公表。具体的には、営業利益を70%の1,500億円へ下方修正。グローバル生産能力を20%削減、グローバルで約9,000人を削減。また、販管費、製造原価も削減し会社資産も合理

      • 2024年10月末からのTOB、MBOを改めて整理してみました。

        A:10月末から、企業再編が続いていますね。 T:10月29日に豊田通商(8015)が上場子会社(58.63%保有)でエレクトロニクス商社のエレマテック(2715)へのTOB(完全子会社化)を公表。エレマテックは東証プライム市場に上場。時価総額はTOB公表前で約700億円。 A:同日、NEC(6701)は上場子会社のNECネッツエスアイ(1973)へのTOB(完全子会社化)を公表。こちらは、前回この場で取り上げました。 T:10月31日に外為どっとコム(非上場)がマネー

        • IR担当者なら、アシックス、フジクラから学びたい

          A:株価指数算出大手のMSCI(Morgan Stanley Capital International)が、11月初旬に再び、新たな発表を行いましたね。 T:代表的な全世界株指数「MSCI All Country World Index (ACWI)」から、J-REITを除く7社を除外。一方でフジクラ(5803)のみを追加。11月25日の取引終了時から反映される。 A:MSCI指数に連動するパッシブ運用資金は巨額です。MSCI指数に採用されるか除外されるかは、個別銘柄の

          2024年11月における2件のTOBに関して

          A:2024年11月に入り企業再編が再び増加していますね。 T:11月1日(金)に世界最大手の工作機械メーカーであるDMG森精機(6141)が連結子会社(議決権ベースで50.8%保有)でスタンダード市場上場の太陽工機(6164)の完全子会社化を発表。研削盤の専業メーカーである太陽工機の時価総額はTOB発表前で約80億円台。DMG森精機は約5割を取得する予定で、買収総額は54億円程度になる見込み。 A:プライム市場上場のDMG森精機は好きな会社ですが、驚いたことに時価総額は

          2024年11月における2件のTOBに関して

          海外投資家の資金を呼び込めていないのはなぜか。

          A:東証が株式取引の終了時刻を30分延ばした2024年11月5日(本日)の時点で東証には3,958社が上場しています。内訳は、プライム市場に1,644社、スタンダード市場に1,593社、グロース市場に596社、TOKYO PRO Marketに125社です。 T:本日時点の時価総額ランキングをみるとプライム市場のトップはトヨタ自動車(7203)で約41.6兆円。10兆円以上は17社。17位にKDDI(9433)で約10.5兆円。1兆円以上は175社で、175位に東京電力ホー

          海外投資家の資金を呼び込めていないのはなぜか。

          IRのプロを目指す方は独立系企業にいきましょう。

          A:ソフトバンク グループ(9984)の有価証券報告書(2024年3月31日現在)を見てみました。同社の時価総額は本日(2024年11月5日)時点で約13.1兆円。その大株主は、孫正義29.11%、孫コーポレーション合同会社1.30%、孫アセットマネジメント合同会社1.26%などが確認できます。但し、名寄せできるものだけを記載しているとあり、ほかにもあるのかもしれません。 T:同社の関係会社(子会社および関連会社)は、主なものだけでも相当な数があるよね。 A:本日は、同社

          IRのプロを目指す方は独立系企業にいきましょう。

          海外アクティビストによる初の追加型公募投資信託に関して

          A:日本で活発に活動する代表的なアクティビストの米ダルトン(Dalton Investments)が2024年12月から、日本の個人投資家を対象にした追加型の公募投資信託の運用を始めるそうですね。 T:海外アクティビストによる個人向けの公募投資信託は初めてだと思う。 A:国内では、マネックス・アセットマネジメントが委託会社、カタリスト投資顧問が投資助言を行う「マネックス・アクティビスト・ファンド(MAF)」が有名ですよね。運用資産残高は約216億円。マネックス証券など14

          海外アクティビストによる初の追加型公募投資信託に関して

          クロスオーバー・ファンドを組成する新興運用会社

          A:最近、非上場・上場の垣根を越えて投資する「クロスオーバー投資」あるいは「クロスオーバー・ファンド」に関する記事が目立ちます。大手だけでなくfundnote(旧社名はKxShare)という新興の資産運用会社も。2024年12月にも非上場株式にも直接投資する公募投資信託を世に出すそうですね。 T:fundnoteの非上場株の投資対象は、2年以内のIPOを視野に入れる「レイターステージ」のスタートアップ。組入割合は運用資産の5〜10%。残りの運用資産は中小型の上場株。もしかし

          クロスオーバー・ファンドを組成する新興運用会社

          独立系ファンドの第3世代(後編)

          A:前回、独立系ファンドの第3世代として、武士道アセットマネジメント、トライヴィスタ・キャピタル(TriVista Capital)、ありあけキャピタルについて教えてもらいました。今日は、その続きをお願いします。 T:今日は、ソラリス・マネージメント、パイ・ラディアン・キャピタル、日本橋バリューパートナーズの3社を取りあげたい。まず、ソラリス・マネージメント(SOLARIS FUND MANAGEMENT)。2019年11月設立。創業者は戸矢博明氏でCEO兼CIO。戸矢氏は

          独立系ファンドの第3世代(後編)

          TOPIX改革の結果、TOPIXの対象から外れるかもしれない企業の対策に関連して

          A:東証株価指数(TOPIX)の対象企業から外れるかもしれない企業に注目が集まっていますね。 T:TOPIXの対象企業数は現在、約2,100社。まず、流通時価総額が100億円未満の企業を除外することで、2025年1月末に約1,700社まで減らす。これが「第1弾」の見直しと言われるもの。 A:いま注目が集まっているのは「第2弾」ですよね。 T:第2段では、浮動株ベースでの時価総額が重要な判断基準になる。上位97%以内などの基準を満たさない企業に関しては、TOPIXへの組入

          TOPIX改革の結果、TOPIXの対象から外れるかもしれない企業の対策に関連して

          なぜ、新しい資産運用会社が求められているのか。

          A:本日は「独立系ファンドの第3世代(後編)」について、お話をする予定でしたが、第1世代のとある運用会社に関するニュースについて、少し話をしたいと思います。 T:第1世代だと、スパークス・アセット・マネジメント、さわかみ投信、シンプレクス・アセット・マネジメント、あすかアセットマネジメント、あとレオス・キャピタルワークス、このあたりでしょ。 A:今朝『さわかみ投信社長「日経平均3万円割れも」「実質伴わず」』という記事を見つけました。 T:さわかみ投信は創業者の澤上篤人氏

          なぜ、新しい資産運用会社が求められているのか。

          IRの分野でプロになりたい方が転職しないほうがよい会社。

          A:本年10月29日、日本電気(NEC、6701)は上場子会社のNECネッツエスアイ(1973)の完全子会社化を発表しました。 T: NECが保有するNECネッツエスアイの株式は2024年3月末時点で38.48%。でも、議決権ベースでは51%のようだね。 A:持分法適用関連会社かと思っていました。 T:持分法適用関連会社といっても、20%程度の保有割合から、50%に近い保有割合までばらつきが大きい。持分法適用関連会社といいながら、実質的には連結子会社と同じと言える会社も

          IRの分野でプロになりたい方が転職しないほうがよい会社。

          上場廃止の可能性が迫った企業の選択肢

          A:少し古いデータですが、2023年末において、東証グロース市場に上場する企業のうち、177社の時価総額が40億円を下回っていたそうです。しかも、そのうち27社が上場後10年経過しても、40億円未満だったそうです。 T:東証のHPには、グロース市場の上場維持基準は40億円以上(上場10年経過後から適用)とあるよね。 A:東証が2022年に現在の市場区分へ再編を行った際に、このようなルールが設けられました。 T:2025年3月に市場区分の再編に伴う経過措置が終了するよね。

          上場廃止の可能性が迫った企業の選択肢

          二束三文になったマツダ

          A:KKRやBain Capitalなど、PEファンドが日本で大活躍していていますが、先日、とある総合商社の方とお話をしたら、PEファンドに負けるつまりはない、という趣旨のお話を頂きました。 T:それは頼もしい。そうであってほしいよね。もちろんPEファンドにも活躍してほしいけど。 A:それで今日は、いつもとはちょっと趣向を凝らして、時価総額が小さな企業ばかりの日本市場において、1兆円以上の時価総額を増やすにはどうしたら良いかを、我々が妄想力を全開に発揮して考えてみたいと思

          二束三文になったマツダ

          東証プライム上場企業は時価総額を最低1.5兆円(100億ドル)を目指しましょう

          A:カナダのアリマンタション・クシュタール(ACT:Alimentation Couche-Tard)によるセブン&アイ・ホールディングス(3382)の買収提案は、総額6兆円だったものが7兆円規模になりました。海外では、この規模の買収は珍しくないですよね。 T:うん。石油開発業界の事例を見てみたい。日本円での金額はいずれも1ドル150円で換算する。 まず2023年10月。ExxonMobil(NYSE:XOM)が米シェール大手のPioneer Natural Resour

          東証プライム上場企業は時価総額を最低1.5兆円(100億ドル)を目指しましょう