IRのプロを目指す方は独立系企業にいきましょう。
A:ソフトバンク グループ(9984)の有価証券報告書(2024年3月31日現在)を見てみました。同社の時価総額は本日(2024年11月5日)時点で約13.1兆円。その大株主は、孫正義29.11%、孫コーポレーション合同会社1.30%、孫アセットマネジメント合同会社1.26%などが確認できます。但し、名寄せできるものだけを記載しているとあり、ほかにもあるのかもしれません。
T:同社の関係会社(子会社および関連会社)は、主なものだけでも相当な数があるよね。
A:本日は、同社子会社のソフトバンク(9434)とその傘下の企業群に絞って見ていきたいと思います。
T:ソフトバンクの時価総額は本日時点で約9.1兆円。有価証券報告書(2024年3月31日現在)をみると、筆頭株主はソフトバンク グループ。株式の保有割合は40.41%。50%未満だけど親会社はソフトバンク グループと明記されている。ソフトバンク グループの有価証券報告書をみると、ソフトバンクの議決権の40.7%を所有とある。実質基準で連結子会社ということだね。
A:はい。次にソフトバンクの連結子会社であるLINEヤフー(4689)です。本日時点の時価総額は約3.0兆円。同社の有価証券報告書(2024年3月31日現在)をみると親会社は4社です。ソフトバンク グループ、ソフトバンク グループジャパン、ソフトバンク、Aホールディングス(ソフトバンクとNAVER Corporationがそれぞれ50%保有)。筆頭株主はAホールディングスで保有割合は64.4%。上場会社なのに親会社が4社もあり、うち2社が上場企業です。
T:LINEヤフーの連結子会社には、本日時点の時価総額が約1.4兆円のZOZO(3092)、約1,800億円のアスクル(2678)、約370億円のバリューコマース(2491)。ほかにPayPay、一休などがある。
A:ZOZOの有価証券報告書(2024年3月31日現在)をみると親会社は6社もあります。ソフトバンク グループ、ソフトバンク グループジャパン、ソフトバンク、Aホールディングス、Zホールディングス中間。子会社には上場子会社は見当たりません。驚くのはアスクルです。同社の有価証券報告書(2024年5月20日現在)をみると、LINEヤフーは議決権の45.3%を保有する「その他の関係会社」とあります。そして、ソフトバンク グループ、ソフトバンク グループジャパン、ソフトバンク、Aホールディングスは、LINEヤフーの親会社として記載されています。
T:つまり、LINEヤフーはアスクルを子会社と位置付けている一方で、アスクル側は、LINEヤフーを親会社と位置付けていない。今日の本題ではないから、この点に深入りしたくはないのだけど、LINEヤフーとアスクルが適用している会計基準の違いから、このような相違が生じているらしい。この辺り、経緯も複雑。LINEヤフーも日本基準ではアスクルは連結子会社ではないとしながらも、IFRSでは連結子会社に該当すると判断したみたい。いずれにせよ、LINEヤフーはアスクルの45.28%を保有する筆頭株主。実質基準で判断するほうが適切なような気がする。
A:まだ続きます。アスクルの連結子会社には東証スタンダード市場のアルファパーチェス(7115)があります。2022年12月に上場。本日時点の時価総額は約100億円です。アルファパーチェスの有価証券報告書(2023年12月31日現在)を見ると、筆頭株主はアスクルで62.87%。傘下には上場企業はありません。どこまで続く芋ずるなのかと思いましたが、ようやく終わりです。
T:親(ソフトバンクグループ)、子(ソフトバンク)、孫(LINEヤフー)、反抗期のひ孫(アスクル)、玄孫(アルファパーチェス)。無限連鎖のような親子上場こそ、東証はどうにかすべきだよね。
A:同感です。GMOグループの芋ずるも、近いうちに掘り起こしてみたいものですね。
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