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#133 それ違法かも?派遣社員との関わり方を知ろう

今日は「人材派遣の仕組みと注意点」についてアウトプットしていきます。人材派遣とそれに似た業務形態について紹介し、違法にあたる派遣についても紹介していきます。

現在、HR業界の理解を深めるために勉強中です。インプットした内容をアウトプットすることで、より理解を深めたいと思っています。

またこの記事は、派遣社員の方と接する機会がある方にも読んでいただけると嬉しいです。

派遣って聞いたことはあっても具体的にどんな仕組みなのか理解している人は少ないと思います。派遣の仕組みを理解し、派遣における違法行為を知ることで、派遣社員さんへの正しい仕事の任せ方を知ることができます。

それではアウトプットしていきます!

~目次~
・「人材派遣」とは、他社に労働力を派遣すること
・「業務請負」とは、他社の業務の一部を請け負って仕事を任せること
・「人材紹介」とは、企業とユーザーをつなげて雇用関係締結を助けること
・違法となる「人材派遣」は「日雇い派遣(※例外あり)」「多重派遣」「専ら派遣」
・まとめ

「人材派遣」とは、他社に労働力を派遣すること

人材派遣の仕組みを表した図がこちらです。

My First Board - 人材派遣とは

労働者派遣法では、「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定義されています。

ここで大事なポイントは3つです。

①派遣会社とユーザーの間に「雇用契約」が結ばれています。ユーザーに給与を支払うのは派遣会社です。

②派遣会社と派遣先企業の間には「人材派遣契約」が結ばれています。派遣先企業は、人材派遣を受けた対価として、派遣会社に派遣料金を支払います。

③派遣先企業はユーザー対して仕事上の指揮・命令権を持ち、ユーザーは派遣先企業のもとではたらきます。

つまり、派遣社員と正社員の最も重要な違いは「社員であるか否か」です。派遣社員は派遣先の企業の社員ではなく、派遣会社の社員です。

「業務請負」とは、他社の業務の一部を請け負って仕事を任せること

「人材派遣」と似た業務形態に「業務請負」があります。「業務請負」の仕組みを表した図はこちらです。

My First Board - 業務請負とは

ここで大事なポイントは3つです。

①請負会社とユーザーの間には「雇用契約」が結ばれています。そして、請負会社はユーザーに対して指揮・命令権を持ち、ユーザーは請負会社のもとで働きます。

②請負会社と企業の間には「請負契約」が結ばれています。 請負会社は企業から業務を発注して、企業は請負会社に業務請負料を支払います。

企業とユーザーの間には契約は存在しません。もし、業務を発注した企業が請負会社の従業員に指揮・命令を行うと、「偽装請負」となり違法行為にあたります。

「偽装請負」とは
「人材派遣」契約をしていないのに、「人材派遣」のような業務形態をしてしまうことを指します。「人材派遣」を行う場合、労働者派遣事業の許可を取得する必要があります。派遣期間の制限や、その他派遣元・派遣先が講ずべき措置として様々な事項を遵守しなければなりません。「偽装請負」の場合、このような派遣法に定める手続を履践していない違法な労働者派遣事業ということになります。ユーザー(従業員)は不安定な雇用関係となり、労働者の雇用を守る責任があいまいになる恐れがあります。

「人材紹介」とは、企業とユーザーをつなげて雇用関係締結を助けること

「人材派遣」と似た業務形態に「人材紹介」というものもあります。「人材紹介」の仕組みを表した図はこちらです。

My First Board - 人材紹介とは

ここで大事なポイントは4つです。

①ユーザーは人材紹介企業に求職申込をし登録を行います。この間に契約関係は存在しません。

②企業は人材紹介企業に求人依頼をします。

③人材紹介企業は、ユーザーと企業の紹介を斡旋します。

④求人企業が人材の採用を決めた場合は、直接人材との間で雇用契約を結びます。そして求人企業は人材紹介企業に紹介料を支払います。

つまり「人材紹介」の場合、ユーザーは求人企業の正社員として働きます。企業とユーザーとの間で雇用関係を締結した後は、人材紹介企業とユーザーとの関係は終了することがほとんどです。

違法となる「人材派遣」は「日雇い派遣(※例外あり)」「多重派遣」「専ら派遣」

ここからは現行法上は違法となる人材派遣について3つ紹介していきます。

違法となる要因は主に「労働者の保護」です。不安定な雇用形態は、労働者に不当な労働を課すことにつながりかねません。

それではひとつずつ見ていきましょう。

<日雇い派遣(例外あり)>

1日単位の仕事にスタッフを派遣することを原則禁止しています。これは派遣期間があまりにも短すぎると派遣スタッフの生活が不安定になるということで、雇用期間が30日以内のものについては禁止されました(2012年10月施行)。アルバイトやパートのような直接雇用のお仕事の場合は、30日以内の労働契約をすることが可能です。

日雇い派遣の例外について
・「適正な雇用管理に支障を及ぼす恐れがないと認める業務」の場合
ソフトウェア開発、秘書、調査、研究開発、受付・案内、広告デザインなど。
働く人が以下のいずれかに該当する場合
60歳以上の方、雇用保険の適用を受けない学生、年収500万円以上で副業として日雇い派遣に従事する方、世帯年収の額が500万円以上の主たる生計者以外の方。
※詳細はこちらから

<多重派遣>

「多重派遣」の仕組みを表した図はこちらです。

My First Board - 多重派遣とは

「多重派遣」とは、派遣スタッフを受け入れた派遣先の企業が自社ではなく、さらに別の企業に派遣スタッフを送り込むことです。

前述の「偽装請負」も「多重派遣」となります。

「多重派遣」の場合、労働者の雇用に対する責任がどの企業にあるのか不明確になるという問題が発生します。また、手数料を二重で取られる、雇用継続を理由に勤務時間などの労働条件が守られないなど、派遣スタッフにとっての不利益が出てくる場合もあります。

<専ら派遣>

「専ら派遣」とは、特定の企業や企業グループに限定して行う人材派遣のことです。

自社で正社員を雇いたくない企業からすれば、専ら派遣の利用によって人件費を下げることができ、不要になったら解雇できるというメリットがあります。

派遣会社にとっても一定の枠が確保されるため、苦労して営業活動を行うことなく売り上げを確保できるというメリットがあります。

しかし、それではユーザーに過酷な労働条件を強いることになります。労働力の搾取は適切な労働環境の提供を阻害するため、法律で禁止されております。

ただし、特定企業や企業グループに対する派遣の割合が80%以下であれば規制の対象とはならないという条件が付いています。

まとめ

「人材派遣」とは自社の労働力を他社に派遣することです。「人材派遣」を行う場合、労働者派遣事業の許可を取得する必要があります。

なので、業務を委託した企業が請負会社の従業員に指揮・命令を行うと「人材派遣」のような形となり「偽装請負」という違法行為にあたります。

また、派遣社員を別の会社に派遣すること(「多重派遣」)も法律で禁止されています。

すべては「労働者を守るため」です。

これで派遣社員に対する違法行為について理解できたと思います。派遣についての正しい知識が広まり、派遣社員と正社員の間にある差別や不和がなくなることを願います。

SezakiN




<関連資料>
・日本の人事部 1.人材派遣の基礎知識
https://jinjibu.jp/f_haken/article/detl/outline/834/
・派遣社員と正社員の違いとは?それぞれのメリット・デメリットを解説!
https://www.manpowerjobnet.com/haken_guide/basic/haken-regular/
・それ、偽装請負じゃないですか?業務委託締結の際の留意点
https://sairu.co.jp/doernote/0077
・日雇い派遣の例外事由とは? どんな人が日雇い派遣で働けるか解説!
https://haken.en-japan.com/contents/column/%E6%97%A5%E9%9B%87%E3%81%84%E6%B4%BE%E9%81%A3%E3%81%AE%E4%BE%8B%E5%A4%96%E4%BA%8B%E7%94%B1%E3%81%A8%E3%81%AF%EF%BC%9F-%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA%E4%BA%BA%E3%81%8C%E6%97%A5%E9%9B%87%E3%81%84%E6%B4%BE/
・二重派遣とは?押さえておきたい基本・罰則・予防法https://www.staffservice.co.jp/client/contents/knowledge/column004.html
・【専ら派遣の判断基準とは?】内派遣との違いや判断基準などご紹介
https://job-q.me/articles/5092