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ハプニングの神様が、俺に中指を立てている。~in 五島~(2)

 昨日の記事の続きです。

 こちらからどうぞ!


 船に乗り、五島についた後、明日の出口調査の会場下見や昼食を済ませ、ホテルにチェックイン。重かった荷物を置き、「よーし!観光するぞ~!」と意気込み、外に出ると、大雨&大雷。

 結局、その日は唯一のフリーだったんだけど、何もできずにホテルでテレビを見て終了。頼むから明日は雨降らないでくれ、と祈ることしかできなかった。


<出口調査 ~僕に言わないでください~>


 夜が明け、朝になった。

 天気は良好。絶好の出口調査日和である。

 朝8時に現地集合だったので、急いで朝食を済ませ、タクシーに乗車。

 30分ほど揺られて、ついに現地到着。

 選挙スタッフのみなさんに挨拶を済ませ、ついに勤務開始。

 勤務時間は、朝8時から17:30時まで。途中休憩は挟むにしても、やっぱり長かった。


 調査の手順自体はすごく簡単。

 出口調査に協力してもらえるかを聞いて、もし許可が下りたら、質問内容が書いてあるタブレットを渡し、それを答えてもらう。

 それだけ。
 なーんだ簡単じゃん。

 そう思っていた。


 朝8時きっかりになると、会場に一つのグループがやってきた。

 地域の特性上、高齢者が多く、そのグループはおじいさま2人と、おばあさま2人。

 そのグループが視界に入った途端、僕は元気よく、

 おはようございまーす!!


 と叫んだ。耳が遠いかもしれないからね!

 すると、そのグループのうち、一人のおじいさんが、

 おはようじゃねぇぞ!この野郎!!( ゚Д゚)


・・・


 え、、、



 いや、おはようやん、、、(午前8時2分)


 1発目から濃厚だな、、と思いつつ、

 どうされました?と聞こうとすると、僕の発言を押さえつけるかごとく、他の人たちが僕にこんなことを叫んできた。

 お前、去年と会場違うじゃねえか!!!
 そういうのは前々から言わなんでどうすんだ!!!
 お前ら係が言わないとみんなわからんだろうが!!!


 なんで俺に言うんだろ、、、と思ったが、よく考えたら会場の出入り口のドアの目の前に立っている以上、どう考えても代表者だしスタッフなのだ。

 しかし、僕は五島歴、0.9日程度なので、去年の会場がどこかなど知る由もなく、ただただ「すいません、、」と言うしかなかった。

 のっけから理不尽すぎる、、、


 開始2分で、もう完全にやる気をなくした僕は、気持ちがすっかり落ち込んでしまった。


 その後も、いろいろなことがあった。

 例えば、別に調査を断るのは決して悪いことではないと思う。答えたくない人は別に答えなくたっていいのだ。

 そういう人はたいてい、「時間がなくて~」とか言う。

 だいたいは調査員をかわすための口実だし、こっちも嘘か本当かわからないから別にいいんだけど、そうやって言って断った後に、会場の出口付近で、しかも俺の目の前で、たまたますれ違った別のおばあちゃんと世間話するのはできればやめてほしい。胸がきゅってなるから。


 ほかにも、調査をお願いして、「もちろんいいよ~!」と快諾してくれたおじさまがいた。調査を快諾してくれる人なんてほとんどいないから、僕はにこにこしてタブレットを渡した。

 この調査の質問項目は、まずその人の性別と年齢を聞き、そしてたった今投票した候補者の名前を選らぶ。これらすべて当然、匿名である。

 そのおじさんも、性別と年齢までは、ぱっぱと終わらせた。「年齢か~、サバ読んじゃおっかな~~(笑)」とか言いながら。

 しかし、あなたが投票した候補者は?の項目になった瞬間、顔色と声色が変わり、こう言った。

 え、こんなこと聞くの?


 いや、え、だって、

 それが出口調査やん、、、


 そのおじさまは急に早口になって、立て続けに、「これは法律に引っかかる」だとか、「今時こんな調査をするのか」だとか、「匿名かもしれないが、お前は俺の顔を覚えただろ」だとか言ってきた。

 引っかからねぇし、前からしてるし、明日には忘れてるよ、、、


 そんなことを思ったが、言うわけにもいかず、「であればお答えいただかなくてもけっこうです、すみません」と言うと、そのおじさんはぷりぷり帰っていった。ああああああああああああああああ!!!!!!!


 ほかにも、「会場までの道がガタガタ」だと僕にずっとキレてくるおばさまもいた。しかもそのおばあさま、会場の駐車場の奥からずーっとそれを叫んでるし、足が悪くて歩くのがすごく遅かったから、3分ぐらいずーーっと叫んでいた。

 身に覚えのないことでブチギレている人が、3分かけて、向こうからゆっくりと近づいてくる。こんな恐怖、体感したことありますか?

 僕はあります。



 そんな午前が終わり、ようやく昼休憩。

 コンビニに行こうと思い、Googleマップで検索すると、

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 あ、あんまりだよぉ(泣)


 午前中の出来事がフラッシュバックした。

 理不尽なクレームの嵐。

 鳴りやまない怒号。

 こんなはずじゃなかった、と思った。

 もう帰りたい。


 

 午後は人があまり来なかった。

 その分クレームも減った。

 クレームは減ったが、変な人は増えた。


 つい1分前に投票した政治家の名前を忘れ、選択肢は4つしかないのに、永遠に思い出せない人。

 自分が投票した人は答えたくないから、お前の支持してる人を選べって言ってくる人。

 アンケートのお願いを「歯医者がある」と言って断ったかと思いきや、目の前の新聞社のアンケートには満点の笑顔で答えている人。

 マスクを忘れた、と言ったから備品のマスクをあげようとしたら、なぜか口じゃなくて目を覆って突撃してきた人。


 正直、午後はこういう人たちの対応にはまったく困らなかった。

 なぜって?

 心が死んだからです。


 そのうち時間は過ぎ、気づいたら終業の17:30になっていた。

 永遠のように感じた時間はついに終わった。

 選挙のスタッフのみなさんにお礼を言い、会場を後にすることに。


 次は開票結果の報告作業。

 集合は19時だったので、あまり時間はなかった。

 来た時と同じようにタクシーで移動しようと思った。

 しかし、どのタクシー会社に電話しても、「選挙があるから」という理由ですべて断られてしまった。

 これは困った。

 徒歩で行けるか?

 よし、調べてみよう。

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 もう嫌や、もう(泣)


 僕、決めました。

 免許取ります。(真顔)


 おぞましいトラウマ体験によって、まさかの自動車免許取得を即決してしまったわけだが、ここからどうするか?

 もうバスしかない!と思い、最寄のバス停を調べると、開票会場から少し離れた場所に、18:50に止まる便があった。

 これだ!!これしかない!!


 外は段々と暗くなってきて、気温も下がってきた。

 バスが来るまであと30分。

 どうしよう。どうしよう。

 しかし、僕にはもうできることはなかった。

 焦る自分、過ぎてゆく時間、下がる体温、そして目の前を通り過ぎるタクシーの乗客に心の中指を立てる自分、、、

 果たして間に合うのか?


 続きは明日。

小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!