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ジョジョが持つ身体性をミュージカルが明確に可視化、松下優也のまっすぐさと優しさ、宮野真守の破壊力、東山義久の工夫が物語を格調高いものに… ★劇評★【ミュージカル=ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド(松下優也・東山義久出演回)(2024)】

 無国籍な漫画はたくさん生み出してきた日本だが、欧州の歴史の中で生まれも育ちも外国の登場人物たちの、西洋的な教養の上に立つ宿命の物語を、ディティールにこだわって、何代にもわたって描き続ける―。連載開始当時、そんな漫画をかつて見たことがなかった。だから海外のMANGAファンたちがいち早くその価値に気付いたのは当然だとしても、この漫画を支えてきたのは漫画というものの可能性を信じていた日本の多くのファンたちだ。物語や世界観だけでなく、「あしたのジョー」や「北斗の拳」によって飛躍的な進化を見せた日本の漫画の身体性にさらにエポックメイキングな変化をもたらしたのもこの漫画の功績だ。その身体性というものを最もよく表現できる場として、ミュージカルという場所が与えられたことは大きい。ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険」は、宿命だけでなく、善や悪の歓びまでをも包括した唯一無二のテーマ性と、技から格闘に至るまで貫かれたスタイリッシュなプライドとでも言うべき精神性が、その身体性を支え、漫画とは縁のない観客たちもうならせていた。ことに、松下優也の作品に対するまっすぐな向き合い方とジョジョの哀しみに寄り添う優しさ、物語のアウトフレームさえ捻じ曲げかねないディオ役の宮野真守の破壊力、飄々としたキャラクターながらも究極の対抗技を持ち込み、格闘漫画としてもレベルの高いものにするツェペリの宿命との対峙法を明確に演じた東山義久の巧みな演技と工夫が物語を格調の高いものにしていた。(写真はミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」とは関係ありません。単なるイメージです)。

 ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」は2024年3月26~30日に札幌市の札幌文化芸術劇場 hitaruで、4月9~14日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールで上演される。それに先立ち2024年2月6~28日(2月6~11日はスタッフ・キャストの安全確保に努めながらの準備に更なる時間を要したため中止)に東京・丸の内の帝国劇場で上演された東京公演はすべて終了しています。
 
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 なお、ミュージカル「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」は主人公のジョジョとジョジョに波紋法を伝授するツェペリがWキャストであるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、劇評を掲載するのは【ミュージカル=ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド(松下優也・東山義久出演回)(2024)】と【ミュージカル=ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド(有澤樟太郎・廣瀬友祐出演回)(2024)】の2通りのみとさせていただきます。すべての組み合わせをご紹介したいところですが、超人気公演ゆえ、取材機会に限りがございます。ご容赦ください。
 
【ミュージカル=ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド(有澤樟太郎・廣瀬友祐出演回)(2024)】の劇評も既に当ブログで公開済みです。ぜひご一読ください。

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