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【劇団日本カイ 第一回公演】 海が見えたらその先の日本海にあるもの 序文
ザザーンと激しい白波が立つ。ここはそう、日本海。
アタシは帰ってきた。ボロボロになって。
でも誰もアタシがアタシだと気づかない。
10余年の月日がアタシの記憶を風化させたわけでも、アタシの存在価値がなかったわけでもない。
アタシには健康な両親がいて、市役所に勤める弟もいる。
でもアタシにはギリギリ気づかない。
だってアタシは人を殺して、全身整形と脂肪吸引手術を経て別人になったから。
片手で文庫を読む癖だけは変わらない。
だからだろうか、高校時代の彼氏に後ろから叩かれた。
「和子、なにしとんが?」
「…!」
言葉が出なかった。
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