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思いがこもっていなくていいのか

取材・執筆の仕事をしていて、とてもがっかりする時があります。それは、修正を重ねるごとに個性が失われていく時です。

インタビューで大切なのはどこにも載っていない話を引き出すことであり、それによってその人の魅力が詰まったオンリーワンの記事が生み出されます。ところが、引き出した話が先方の「会社としての意向」に合わない場合が時々あります。経営者や研究者など本人の意向が通せる人だとまず大丈夫なのですが、企業の若手社員など立場の強くない人の場合は、けっこう横槍が入ります。そして、いつの間にかありきたりな内容になってしまうこともあるのです。

納得できない時は抵抗を試みることもありますが、成功した記憶はありません。金をもらっている以上、どうあがいてもクライアントにはかなわないのです。そして「こんなんやったらChatGPTでもできるがな」とぼやきながらリライトすることになります。

ChatGPTの文章には、語り手や書き手の思いがこもっていません。それで読み手の心を動かすことができるのでしょうか。こうして自分の文章が面白くなくなっていくのは、ライターとして残念でなりません。

一方で、各人の個性をプライベートも含めてしっかり打ち出していきたいという会社も多くあります。その方が読者は楽しみながら読むことができ、会社に魅力を感じるのではないでしょうか。

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