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【読生感想文】ストーリー・セラー【有川浩】

ひたすら作家という人間を掘り下げて描いていく様はスゲーなと素直に思った。
それすらも売り物にして物語として売るってか、と。

作家を支える近しい人間の描き方は、
リアルというよりは著者にとっての理想のようなものを感じた。
取り巻く親族の様子もリアルのようにも思えたが、
支える人間はイケメン過ぎるし、
親族も、「さすがそんなヤツおらんやろ笑」と言いたくなる程だけど、
物語として売るには、
多少の誇張も必要なんやろなと言われば有り得る範囲かと思わされた笑

作家の持つトラウマのような描写は、
他人事とは思えないようなリアルさを感じた。
出る杭は打たれるという経験は、
悲しいけどどんなジャンルでもどんな環境でも起こり得るのだろうと。

登場人物の会話と心理描写を読んでいるだけなのに、
スルスルと読み進みいつの間にかストーリーが進んでいる。
本書を読み進めることはとても心地よい経験だった。
阪急電車を初めて読んだ時にも感じたが、
本当に他人の会話を漏れ聞いている間に時間が過ぎてしまったような感覚だった。

ストーリーは中編2つ利用したいわゆる入れ子構造になっていて、
さすがお上手、というのが素直な感想。
どこまでメタなのかという曖昧さも絶妙かと。

ジャンルとしては恋愛モノにカウントされるんだろうけど、
そう呼ぶには違和感があって、、、
個人的に本書のジャンルはやはり、
「有川浩さん」である笑


著者:有川浩さん


一緒にカフェラテとか飲みたい笑

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