ボスたちの考えるD&I
こんにちは。セプテーニグループnote編集部の宮崎です。CSR委員会の事務局を担当しています。
セプテーニグループでは、CSR活動の重点テーマにダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を設定し、活動を推進しています。その一環で昨年6月に、当社社外取締役をつとめる(株)プロノバの岡島悦子さんを講師にお迎えし、「D&Iワークショップ」をオンラインで開催しました。
前半は岡島さんからの講義「多様性を活かす組織開発とキャリア開発」、後半は岡島さんとグループ代表の佐藤さんとの対談という構成で、女性が活躍するためのキャリア構築やニューノーマルなD&Iについて、参加したグループメンバーがじっくり考える貴重な機会となりました。詳しい内容は下記に公開していますのでぜひご覧ください!
さて今回は、セプテーニグループの経営陣や管理職メンバーが「D&Iワークショップ」を受講してどのような感想をもち、D&Iについてどのように考えているのかを探るべく、Septeni Japan代表の神埜さん、Septeni Japan河野さんにお話をお伺いしてきました。ぜひご覧ください!
神埜さん:
2006年セプテーニ新卒入社。モバイルやソーシャルメディア、営業など幅広い分野での経験を経て、2018年にグループ執行役員、セプテーニ代表取締役、Septeni Japan代表取締役に就任。
河野さん:
2007年セプテーニ中途入社。営業、モバイル、ソーシャルゲームの企画運営、ソーシャルメディア部門などを経て、現在はアドマネジメント本部の本部長としてバックオフィス部門を統括。
ダイバーシティは全員のもの
─ まず最初に、「D&Iワークショップ」の感想を教えてください!
神埜さん:
あらためて気づいたのは、ダイバーシティは限定的なものではないってことですね。ダイバーシティって聞くと、どうしても女性とか、障害者とか、属性でくくってしまうことが多いと思うんですけど、そうじゃなくて、ダイバーシティって全員のものだなって思いました。全員が多様なわけで、それぞれの価値観って尊重されるべきだし、それを意識しなくちゃいけないなと。コロナで働き方が大きく変わった(※)ことは、それぞれがD&Iを意識するきっかけになっていると思います。
(※)セプテーニグループでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2020年2月末より全社員が原則在宅勤務に移行しています。
河野さん:
そうですよね。ベースにある考え方としては、個の尊重なんじゃないかなと。もちろん、女性だけにある出産のようなライフイベントや、その前後の働き方に対する配慮は大事だと思いますけど、基本的には男女問わずその個人のwantを見逃さないこと、言いやすい環境を提供することが大切なんじゃないかなと思います。
─ なるほど。そのwantを見逃さない、言いやすい環境の実現にむけて、どのような工夫をされているんですか?
河野さん:
1on1などを定期的に実施しています。一人ひとりの思いを聞いて、引き出して、個の成長と企業の競争力がリンクするようにキャリアや働き方を提案したりアドバイスしたり。そんな場として活用しています。従業員それぞれが環境も思いも違う中で一つの会社に勤務しているので、やっぱり本人から発信してもらわないと、こちらで思いをすべて汲み取るって難しいんですよ。なので発信してもらう場所をしっかりセットすることを大切にしています。
─ 同じオフィスで働いていれば雰囲気や表情でマネジメント側が察知できていたことも、いまの働き方で同じように感知するのは難しいですよね。
河野さん:
そうなんですよね。あとコミュニケーションの面で言うと、リモートワーク中心の働き方になったことで、雑談等の他者とのコミュニケーションが減って寂しい、心身に不調を感じる、という声もメンバーからあがってきていたので、そのあたりをケアする意味でも定期的なコミュニケーションの場を設けて、ポジティブなこともネガティブなことも、業務のことでも業務外のことでも話していいんだよって姿勢を見せていくのも大事だなと感じています。
神埜さん:
それからいまの働き方だと、雑談をきっかけにして生まれる新たなチャレンジが出にくくなっているのではないか、ということも懸念点の一つですね。リラックスした状態で社員同士が「素」の状態で会話することから生まれるアイディアを、具体的な施策にしてアウトプットまでもっていく、というのが減ってるんじゃないかと思うんですよね。
いまグループ全体としても、新しい働き方の中では対面を有効に活用したほうがいいんじゃないか、コロナの状況をみながらではありますが、定期的に出社してオフラインだからこそできることにチャレンジしていこうって方向性になってきてるので、そんな取り組みも活用しながら課題解決を模索していきたいですね。
セプテーニ・ホールディングスの社外取締役、石川さんがWell-being(※)についての研究をされてるんですけど、その重要さを痛感しています。石川さんがこちらの中で、健康や生産性に効く重要な体験は「敬意をもって接されること」「雑談の中で笑うこと」とお話されていますが、雑談のようなコミュニケーションを大切にするのもセプテーニグループの文化なんじゃないかと!
※Well-being:身体的、精神的、社会的に良好な状態であることを意味する概念。職場のWell-Being度が高いと、職場におけるWell-Doing度(生産性と収益性)も高い傾向にあるという研究結果も。詳しくはこちらの記事にて。
育休復帰後の活躍のためにも「前倒しのキャリア®」を
─ ありがとうございます。ワークショップ中、岡島さんの講義で「女性活躍推進は、D&I推進活動の第一歩」というお話がありました。お二人は、いまのセプテーニグループの女性活躍推進をどのように見ていますか?
神埜さん:
ここ数年、女性活躍推進に積極的に取り組んできたことで、さまざまな面で整備が進んでいると思います。女性管理職比率の上昇をみても、そのあたりは着実に成果として出ているかなと。とはいえ課題はまだまだあって。よく話にあがることでいうと「ライフイベント後の活躍をイメージしづらい」ってところなんですよ。特に出産後ですね。これって結局、育休から復帰したメンバーが配属される部署や、任される領域の事例がまだ少ないってことだと思うんですよ。
▲セプテーニグループの女性管理職比率(2020年10月時点)
なので僕たちとしても「活躍できる、本人のスキルを活かせるポジション」への配置を推奨していて、一緒にチャレンジしていきたいと考えています。もちろん本人や受け入れ先の部門の意向もあるので、そのあたりはしっかり調整しつつですね。そのためにも、復帰される方は、遠慮せずに自身の意志を伝えてほしいですね。そのほうがお互いのためにもなりますから。
河野さん:
そうですね。でも一方で産休育休後すぐに「これがやりたい」って明確に言える人ってあまり多くないと思うんです。僕らって、変化がものすごく早い業界にいるので、一年で会社の状況ってかなり変わるじゃないですか。復帰される方々もそれがわかってるので、どんな業務であれば自分のバリューを発揮できるのか、具体的なイメージを持ちづらいと思うんです。
─ それは確かにありますね。私自身、一度目の育休から復帰した時、デジタルマーケティング事業の主要配信先デバイスがPCからスマホになっていてびっくりしました。社内で使われている用語も大きく変わっていて。一年でこれほど変化するのかと。
河野さん:
なので僕の担当している部門では、産休育休から復帰されるメンバーとは、まず会社や業界の状況、業務がどう変わったのか、という説明をして、現状の理解をしてもらうことからスタートしますね。それを踏まえて、どんな復帰プランがあるのか、本人の意志、スキル、部門としての思いなど、様々な角度で議論して、双方納得の上で復帰先を決定するようにしています。
今こんなマーケティング手法がすごく注目されているよ、とか、社内では今後こういう分野に注力していきたいと思っているけど人手が足りてないよ、とか、具体的な話をすると、「あ、そこは私の経験活かせそうなのでチャレンジしてみたいです」って感じでイメージを持ってもらえることが多い。
神埜さん:
お休み前の部署や職種に戻るのもいいと思いますし、そうやって経験を活かして新しいチャレンジをするのもすごくいいですよね。
そのためにも、岡島さんが話してくださった「前倒しのキャリア®」(※)って本当に大事だと思います。キャリアっていうと、どうしても昇進のイメージを持つ方もいると思うんですけど、それだけじゃなくて、いろんな経験を積むってことですよね。経験が増えた分だけ選択肢が増えて、ライフスタイルが変わったときにも自分の意志で仕事を選べるようになると思うし、活躍の機会も広がると思う。
※前倒しのキャリア ®:ライフイベントが発生しても「働き方の自由」を自分で選択できるよう、キャリアの早い段階でできるだけ多く「バッターボックス」に立ち実績を重ね、社内での信頼と自己効力感を備えておくこと。
─ ありがとうございます。育休でいうと、セプテーニグループでは男性が育休を取得するケースも増えましたよね。
河野さん:増えましたね。
神埜さん:実は僕も1週間ですけどお休みしました。
─ そうなんですね!
神埜さん:
第三子が生まれたときにね。上の子どもたちの送り迎えとかしてましたよ。1週間程度なので「育休とります!」とは言わずに休んだんですけど、よく考えたら宣言したほうが良かったですね。そのほうがみんなもっと取りやすくなったかもしれない。でも1週間くらい育児のために男性が休むのって、社内では全然珍しくないと思いますし、長期で取得するメンバーもどんどん増えてますね。
育休って、1週間・1か月・3か月・半年・1年と、環境や状況によって、必要な取得期間がさまざまだと思います。育休の取得期間含め、自分なり、自分たちなりの家庭と仕事の両立スタイルを一人ひとりがカスタマイズしてほしいですね。そのためにはチームの仲間の理解と助けが必要になるので、ぜひ積極的な支援をしたいですね。
▲セプテーニグループでは、たくさんのパパ社員たちが活躍しています。
セプテーニグループにはダイバーシティを推進しやすい風土がある
─ セプテーニグループで今後「ひとりひとりの強みが発揮される働き方」を実現し、D&Iを推進していくためには、どんなことが必要だと思いますか?お二人の考えをお聞かせいただけると嬉しいです。
▲セプテーニグループの行動規範の一つ「Diversity」
神埜さん:
これは個人的な見解なんですけど、セプテーニグループは、全員がダイバーシティに向き合いやすい環境にいると思っているんです。理由はいくつかあるんですけど、一つ目が、僕たちが変化の激しいIT業界にいる、という点です。本当に変化の早い業界なので、固定観念にとらわれていたら勝てませんよね。だから変化への意志も、順能力も高い。「当たり前」にこだわりすぎず、柔軟にいろいろな考え方を尊重できる土台があると思うんです。
二つ目が、グループミッションに「ひとりひとりのアントレプレナーシップで世界を元気に」を掲げていること。僕、アントレプレナーシップって、一人ひとり違うものだと思うんですよ。多様な視点や経験や思いがあるからこそ、これまでになかった新しい事業が生まれるし、いまある事業をさらに進化させることができる。あと「世界を元気に」って、その元気にしたい人や産業もそれぞれ違いますからね。ミッションの実現を目指すには、多様さは前提なのかなと。
─ たしかに。「ひとりひとり」の「アントレプレナーシップ」ですしね。
▲こちらの記事の中でも佐藤さんから『みんなでやっていくんだよ、という思いを込めて「ひとりひとりの」というフレーズを使っています。民主化されたアントレプレナーシップを目指そうと。』というコメントがありました。
神埜さん:
三つ目は、デジタルマーケティング事業だからこそなんですけど、僕たちは普段から業務の中で多様さにダイレクトに触れている、という点です。以前はデモグラ(※)でのターゲティングが主流でしたけど、近年はユーザ一人ひとりにカスタマイズしたマーケティング手法が主流になってきていますよね。効果的なマーケティング実施のために、一人ひとりのユーザにしっかり届くよう設計しようと。つまり、顧客ビジネスの成長のために、ユーザの多様性に向き合ってるってことだと思うんです。
(※)デモグラフィック。性別、年齢、居住地域、収入、職業、学歴など、人口統計学的属性を表す。
─ なるほど。これは考えたことなかったですね、確かにそうかもしれません。
神埜さん:
これまでお話してきた通り、ダイバーシティを推進するうえでの環境は、けっこういい条件が揃っていると思うんですよね。なので、あとは一人ひとりに、ダイバーシティを推進していくことが個人にとっても会社にとってもすごくメリットがあることなんだっていうのをいかに実感してもらうか、そうマネジメントしていくかってことが必要なんだと思います。
ダイバーシティ推進は、顧客への貢献につながる
─ ワークショップの中で佐藤さんから「D&Iに取り組むことで、組織成長や売上拡大、企業価値の向上などの実感がわいてくると、自走型で有無を言わさず、D&Iが勝手にグイグイ進むと思う」という意見がありました。そうなるのが理想ですよね。ちなみに神埜さんの考える、「ダイバーシティを推進するとこんないいことがある」って、どんなことでしょうか?
神埜さん:
僕は「"いい組織"からしか、"いいサービス"は生まれない」と思っています。"いい組織"の定義についてここでは詳細には触れませんが、ダイバーシティ推進を通して、ひとりひとりが自分のパフォーマンスを最大限に発揮することは必要条件の1つです。その結果、顧客への貢献度をもっと上げられる、というのがD&Iを取り組むことでの大きなメリットだと思います。
顧客企業が抱える課題や世の中に届けたい思いって、本当に多様なんですよ。彼らの先にいる生活者がものすごく多様になってるので。なので、顧客に伴走する立場の僕たちが多様な視点や経験をもつことで、よりいろいろな形で顧客ビジネスの成長に貢献できるようになる、これもD&Iにしっかり取り組むメリットですね。
wantを言い合える環境が、より重要になった
─ ありがとうございます。では河野さん、「ひとりひとりの強みが発揮される働き方」を実現し、D&Iを推進するためにはどんなことが必要だと思いますか?
河野さん:
リモートワーク中心の働き方の中で「ひとりひとりの強みが発揮される働き方」を実現するには、個々が思いを溜め込まないこと、つまりメンバー・上司共にwantを言い合える環境が、これまで以上に重要になると思ってます。対話量を増やして、心理的安全性を強化する。
それってマネジメントに求められるレベルがいっそう上がったということでもあると思うんですよね。個の努力やスキルアップやアプトプットなど、同じ空間で働いていたときは見えていたものが遠隔になり視覚的に見えづらくなったからこそ、マネジメント側の力量が試されるというか。対話においては、傾聴に加えて、聞き出す力・個のポテンシャルを引き出す力がより一層必要になっていると感じます。
神埜さん:
僕たちが今まで磨いてきたマネジメントスキルって、リアルで会うことの良さを活かしたマネジメントスキルだと思うんですよ。直接会うことで、無意識のうちに会話以外でも情報をやりとりしていたんだなと。一方で、期初のチーミングとかは、やっぱり対面のほうが短時間で効果が出やすいとも思うんです。なので、オンライン・オフラインのハイブリッドな形でどうマネジメントを進化させていけるか、というのも「ひとりひとりの強みが発揮される働き方」を実現するためには必要なことだなと思っています。
─ 神埜さん、河野さん、本日はありがとうございました!
*編集後記*
社歴の長いお二人とは、昔のセプテーニグループについての話にも花が咲きました。『「ダイバーシティ推進」という形で力を入れ始めたのってここ10年くらいだけど、それより前から、いろんな意見や視点を大事にしたほうが成果上がるよって考え方、セプテーニグループの中に根付いてたと思うんですよね。たとえば行動規範のPartnershipも「みんなで創ろう」、つまりあなたの主張も大切にしたいってことじゃないですか。そういう意味でもセプテーニグループってダイバーシティと相性いいと思うんですよね。』などなど。
今回のインタビューは、事業会社のマネジメント層が経営戦略としてD&Iを意識し、推進してくれていることを再認識する機会にもなりました。事業を推進する立場だからこその視点や考え方など、二人から得た気づきを今後の取り組みに活かし、これからもセプテーニグループのD&Iを進化させていきたいと思います。
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