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交際後、5年間姓について話し合った結果、お互い改姓したくなくて、名字を3年交代にして結婚した話①

夫婦別姓について本を読んだ話や、ニュース記事を見た話などいろいろと書いてきたのですが、自分たちの話をあまり書いてきませんでしたので、ここらへんで自己紹介の続きをしたいと思います。

私たちは現在事実婚状態ではなく名字を3年交代にするという条件で結婚しています。婚姻届けを出したときに姓を決めなければなりませんが、そのチェックを「夫の氏」にするか「妻の氏」にするかを婚姻届けを出すごとに変更しています。

結婚している状態で婚姻届けは出せないため、望ましくはないのですが、離婚歴があります。他の方法を取ろうと家裁審判申立てをしたこともあるのですが、それはまた別の機会に。

育ってきた環境が違うから

結婚観が大変異なるのです。

阿座上は共働きの公務員家庭、水落は働く父と専業主婦の母の家庭に育ちました。

私たちは結婚前提で交際を始めたので、最初の段階で「価値観があわないぞ」と思いました。そして、結婚前後含め最大の喧嘩を付き合って1か月ほどでしました。

結婚した女性は家庭を守り、男性は外で仕事をするというのが普通だと水落は思っていましたし、阿座上は男性も女性も同じように働き、少しくらい家事は手抜きしてもよいという結婚が普通だと思っていました。

名字も両者ともに相手の名字にする気はさらさらなく、どのようにして自分の名字を変えないか、相手に変えてもらえるかだけを考え、相手を打ち負かすべく、お互いの弱点を狙って論を戦わせました。

もちろん議論は完全な平行線で大荒れでした。決着はつきません。

どう終わったかというと「空気が悪くなるからこの話はいったんなし」ということに決めたのです。変な話ですが、大学生だったので、結婚前提とはいいながら、結婚は遥か先と思っていました。そのため、まだ現実味がない話題として、いったん横において交際を続けることができました。

このなあなあにするという方針は結果としてはよかったと思います。価値観に関する話し合いは長く一緒にいるうちに重ねることができました。4年たって社会人になるころには、お互い相手を自分と価値観は違うが、人格を持ち、意志のある人間であることが分かるようになっていたと思います。結婚が現実的になったときには、価値観や育ってきた環境の違いは大きな問題ではなくなっており、お互いを違った人間として受け入れられる関係になっていました。

自分が嫌なことは相手も嫌なこと

しかし、相手をよく知り人間として尊重できるようになっても、一向に低くならない障壁がありました。名字の問題です。

日本の婚姻制度は夫婦に同一の姓を選ぶことを強制します。

阿座上は結婚しても阿座上のままでいたかったですし、水落は結婚しても水落のままでいたいと思っていました。

しかし、今度は最初の喧嘩のときと違い、自分の名字にしたいから合わせてくれとお互いに言えないわけです。自分が嫌なことは相手も嫌なことで、自分にある権利は相手にもあるはずです。

阿座上の方はくじ引きやじゃんけんなど公平に決めることを提案しましたが、どんな決め方をしても結局名字を失う負担をどちらか一方に押し付けることになります。名字を変えない方には何も影響はありません。

変えさせた方にも負い目が生まれ、変えた方は大切なものを失う。望まずして被害者と加害者の関係になってしまいます。(もちろん、姓を変えることを望んでいる場合はその限りではありません。変えたい方は旧姓を失うとは考えないと思いますし、相手がかなしんでいなければもう一方も負い目を感じたりしません。こだわっているもの同士の場合のみ人間関係がマイナスになってしまうのです。)

そんなときに水落がどこからか「三年交代で名字を変えている夫婦がいる」という都市伝説のような情報を持ってきました。

今でも本当にそういう夫婦がいたか、いないのか、確認はしていないのですが、他に選択肢がないと思い、ほぼ即決で三年交代を採用することにしました。

三年交代制によるメリット

デメリットは改姓をしなければいけないので手続きが面倒ということと、静かに暮らしていたいのに周りに変人だと思われてしまうということなので、おそらく想像の範囲内だと思います。

もちろん一番いいのはお互い自分の姓を一回も変えないことですが、少なくともくじ引きでどちらかの姓に決めるよりよかったことの方が私たちにとっては多かったと思います。

まず、第一に自分の名字が永遠に失われてしまうわけではないということは、改姓している期間の大きな希望となりました。旧姓使用が認められず、阿座上が会社で「水落さん」と呼ばれていた時も、常にあと2年すれば名字が戻ってくるということを心のよりどころにぎりぎりメンタルを保つことができました。

そして、一番良かったと思うことは、対等な関係が変わらなかったということだと思います。阿座上はくじ引きを提案していたくらいなので、実際公平に決めて負けてしまったら、自分が永遠に名字を失っても構わないと心の中では覚悟していたことになるのですが、思ったより強い喪失感がありました。かなりピリピリして周りとの人間関係も改姓していた期間、かなり悪化しました。

きっと本当は別姓がいいのに、法律婚を選ぶために対等な話し合いをして、片方が改姓するというお互いに真摯で誠実なカップルは数多くいると思います。

しかし、やったことのないものを想像することはとても難しいことです。改姓したパートナーが感じている辛さは、想像している以上かもしれません。

阿座上と水落は一度ずつ現在改姓しています。嫌な思いを分かち合うことはいいと思う人も悪いと思う人もいると思います。でも、一回ずつ改姓したことにより、わかったことも多いのです。

結局一度ずつ改姓した今が一番二人とも夫婦別姓が本当に必要だと確認し、何かできることがないかと動いているのです。

三年交代になったとこまでの自己紹介でした。




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