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真面目にコツコツ備えていたアリが正義だと信じて疑わなかったのに…

暑い夏の日
楽しく歌を歌って過ごすキリギリス。
クソ暑い中、食べ物が手に入らない冬に備えてせっせと食べ物を貯蔵庫に運ぶアリたち。
そんなアリたちをバカにしていたキリギリスだけど、冬になったら食べる物がなくなっちゃってお腹ペコペコ。
「アリさーん!食べ物わけて♡」
とお願いしますが
「やだよ。あんたにあげる分はないよ。夏のうちに蓄えておかないからだよ」

というストーリーだったかと(うろ覚え)

普段からコツコツ頑張って将来に備えることが大切です
って教訓を読み取っていたし、コツコツ頑張るアリが正義だと信じて疑ったことがありませんでした。

いらすとやさん童話までカバーしてらっしゃるすげぇ


紀伊國屋のオススメポップも出ていたこの本でアリとキリギリスの寓話が取り上げられていて…

本屋さんのポップ好き


同書によるともともとは「アリとセミ」なんだそう。
ギリシャ地方から北ヨーロッパに伝わる過程で、そこにはセミが生息していなかった関係でキリギリスに置き換わり、16世紀後半にイエズス会の宣教師により日本に伝来し『伊曾保物語』として広く伝わったそうな。へぇー


この話の一般的な教訓は「余裕のあるときに将来に備えよ。さもないと、苦痛や危機にあう」ということだ。アリは計画的かつ勤勉で真面目な存在、セミは無計画でその場しのぎの遊興にふける愚かな存在と読み取れる。
しかし、この話から逆の教訓を読み取ることも可能だ。アリはひたすら忙しそうに働き、自分だけ豊かになろうとする自己中心的な存在で、将来を憂いて今をないがしろにするいう悪い例である。反面、セミは、芸術を愛し、生きること自体を楽しむといういい例である。
何がよくて何が悪いかは、文化や時代状況によって異なってくる。
(中略)貧しい時代に生きる人はアリを支持するし、豊かな時代に生きる人はセミを支持する。

座右の寓話より


最後の一文、せつな…子供時代も大人になってからも「キリギリス」のように生きなさいなんて言われたことないし、私たちの知らない経済右肩上りのバブル期はキリギリスを目指しなさい教育とかあったのかしら。失われた20年育ちからするとめちゃくちゃせつないなって思いました。

将来を憂いて今をないがしろにするのは確かによくないなと思うけど、今を楽しみまくっておきながら困ったらしれっと「食べものちょーだい♡」っていうキリギリスの図々しさが嫌い

とはいえ、文化圏や時代や見る人が変われば正義は変わるんだってことは心の片隅に置いておこうと思います。

まぁ個人的にはこの話を読んでからも、コツコツ真面目に生きる型のアリの肩をもっちゃうんですけどね真面目なんで


#読書感想文
#推薦図書

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