正欲を読みました。

18日の日記です。6時30分に起きました。出勤と退勤。

朝井リョウさん『正欲』読み終えました。面白かったー。本を閉じた後もずっと考えてしまう。
ネタバレをします。

正欲

多様性、マイノリティとマジョリティ、LGBTQ、SNS、不登校、YouTuber、特殊性癖、小児性愛など、最近のトレンドもりもり。
多様性という言葉が乱用されていて、それに違和感や絶望を抱く人がいる。そうなのか…私は世間にも流行りにも疎い。
性癖なんて無限にある。人間が性的対象じゃない人も当然いる。二次元、現象、音、動物、自分にしか興奮しない人もいるかも。そもそも性欲を持たない人もいる。ヘテロだった人が他の対象を好きになる可能性だってある。

人間をジャンル分けするな。みんなそれぞれ勝手に生きていればいい。それでも、他者の生き方を一方的に否定する人は沢山いるんだよな。
細かいエピソードに共感を覚えることはあったけど、自分自身はすごく遠い場所にいる気がした。他人に言えない性癖があって苦しい、それを共有したい、誰とも分かち合えないなら死んだほうがマシ、と思ったことが無い。人生に口出ししてくる人たちとは距離を取っているし。

「マジョリティの目で世界を見てみたい」この願いが作中で何回か出てくる。多数派になりたい？どうして？自分だけの性癖、自分にしか分からない世界なんて魅力的すぎないか。私はそれが欲しい。何かを作る人なら絶対に強みになる。羨ましい。

以下、長々と感想メモ
寺井
・子供と妻の話聞け
・レールを外れたらお終いだ、助けたいと思うなら他の道を考えて提案してくれ
・法律を守らなきゃいけないのは分かる…ていうかそれを生業としてるから厳しくなるのも仕方ないかもしれん
・自身の涙フェチに気づいたり、窃盗を依存症と捉えて矯正するプログラムを見学したり、価値観が揺らぐ事象が周りに溢れていて混乱しそう

八重子
・勝手に兄の部屋入ってAV見てることを知っただけで全男が苦手になっちゃうんかい
・自分の容姿が嫌いだから余計にルッキズムを意識するのは分かる
・インターネットを飛び越えたストーカーはやめろ
・仕事できそうだしこのまますんなり社会に馴染んで上手く生きてゆきそう

大也
・サークルもゼミも環境がキツそう
・関わりたくない人間をもっとわかりやすく拒絶しろ
・八重子に本音を話したのに響いてなくて悲しい
・まずストーカーされてることを咎めろ

夏月
・脳内の口が悪すぎて引く
・両親がマイノリティに寛容な態度を演じていることすらもキツいと感じる、その繊細さはまじで疲れそう
・うざい同僚や知り合いに絡まれがち、受け流してほしい
・親が発した「娘をもらってくれてありがとう」みたいな台詞は気持ち悪い
・女同士の下ネタエグいの分かる

佳道
・いいやつ
・夏月と出会えてることが奇跡なのでそこを繋げられてよかった
・会社内の人たち前時代すぎるのでは

ここに登場する特殊性癖の人々の諦めはとてつもなく早い。他者に間違ったことをまくし立てられても空気を読んで黙る、肯定も否定もしない。全部さらけ出す必要は無いけど否定はすればいいのに、と思ってしまう。ラスト、理解してもらえる可能性はゼロではなさそうだった。吐露する相手を見極めれば。

冒頭の児童ポルノ所持で逮捕〜という記事は完璧な伏線。しかし最初読んだ時に「盗撮でも無理やり触ったわけでもないのに何で逮捕されるんだ？」と思い、読み終えた後も「何で？？」だったので調べてました。児童ポルノ単純所持、なんか定義が曖昧だなあ。子供の写真を撮るシーンの詳しい描写は無いんですよね。性的な写真じゃないと思うけどなー。しんどい結末だ…。

わ！！！グラスワンダーAランクが作れた！うれぴ…。

やった〜！