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小澤メモ|SENTIMENTAL JOURNEYMAN|おっさんの旅。

25 おっさんの旅  WEIRD編 RIP CITY!

アバンギャルドな街の反対側。
この町は、素朴にやさしく微笑む。ハイプなアイテムを求めるなら、有名ブティックが居並ぶロサンゼルスやニューヨーク・シティを旅する方がいい。行列をつくってでも欲しいものがあるなら、それはTOKYOだって負けていない。そのような刺激的かつアバンギャルドなシーンがお好みならば、オレゴン州ポートランドはお呼びじゃない。ソール・ジャンキー生唾もののリミテッド・モデルなんかを、多数リリースしているナイキの本社があるにも関わらず、そして、キテレツな人びとがわんさかいるのに、この町はいたって穏やかで、居心地がいい。ストリート最前線のハイプなキッズというより、黄昏時の町飲みスタイルをたしなむオッサンたちにオススメといったらいいのだろうか。もちろん、スケートシーンが充実しているからキッズだって楽しめると思うけれど、やっぱり、いろいろな旅をしてきたオッサンとかオバサンが行き着くといいんじゃないかなと思わずにはいられない。

フランチャイズ・ビルダー。
それは、NBA(バスケットボールの最高峰プロリーグ)のフランチャイズにも当てはまる。やっぱり大都市を拠点にするニックスやレイカーズなんかはアーバンカルチャーを漂わすハイパー・キラキラ・チーム。日本のプロ野球でいったら、巨人とか阪神になるのかな。とにかくオールスター感がハンパない。それと比べて、おらが町のトレイル・ブレーザーズは、オールスター選手を擁しながらも地方球団なのは否めない。NBCに常にピックアップされて、全米中継バリューのスーパースターもいない。だからこそ、いい。旅先で(感情移入して)応援するには、それくらいがちょうどいい。ニックスのマジソン・スクエア・ガーデンやレイカーズのステイプル・センターでは、コートから一番遠いシートでも確保できるかどうか。しかし、ここでは、ちょっと大人ぶって奮発すれば、コートサイドからすぐのシートを確保できる。そして、ゲームへと埋没できる。最高だ。

ゴー! ブレイザーズ!
ということで、ダウンタウンで見かけた等身大パネルのC.J.マッカラムのオーセンティック・ジャージーを着て、コートサイドからすぐ後ろのシートに陣取った。ゲームは、ホームのトレイル・ブレーザーズが快勝。終盤からは、ファン一体となって、“RIP CITY”の大合唱。これは、その昔、おらが町のトレイル・ブレーザーズが、スター軍団レイカーズを劇的大逆転で破ったときに、実況アナウンサーが思わず“RIPCITYーーーー!!!”と絶叫したことに端を発している。REST IN PEACEとかそういう意味はないらしい。それ以降、ポートランドは、リップシティと呼ばれるようになったのだ。ちなみに、C.J.マッカラムのジャージーを買うとき、担当の若い店員が、ニヤっと笑った。そして、「ゴー!ブレーザーズ!」と叫ぶと、おもむろに自分のTシャツをまくった。思わず、ハイタッチをした。なぜなら、そいつもC.J.マッカラムのオーセンティック・ジャージーを着込んでいたから。フランチャイズ・プレーヤーは誰か。おらが町の住人はみんなちゃんとわかっている。25
(写真はブレーザーズのホーム、モダ・センター。このときはクリッパーズに快勝/2018年)

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