蛇2年 蛮軍→大蛇国27番領、貌瑛攻略戦
蛇年が成立し、元年はお互い様子を見あい戦は起こらなかった。しかし、二年目に突入して最初に動いたのは「蛮国」だった。
蛮国は大蛇国の首都に面している要所の「貌瑛」に侵攻した。しかし、隣国には趙燕国もあり、全軍を出すわけにはいかず、蛮国の第二将、馬豹将軍を総大将に任命し、総勢7名の将で構成される軍を派遣した。
当時の勢力図も掲載する。
一方大蛇国は颯爽と蛮軍の侵攻に気付き、迎え撃つ準備を進めた。大蛇軍の筆頭将軍は青大将将軍だが、作戦には疎く総大将には適さない。このため、大蛇軍も第二将の鎖蛇将軍を総大将に任命して、計13名の将からなる軍を編成した。以下、この戦についての戦況中継である。
☯戦況中継1日目
〇蛮軍
・総大将→馬豹将軍(10)
・副将→馬凌将軍(8)
・第一軍長→南郷弯君将校(7)
・第二軍長→漢騎将校(6)
・第三軍長→亜万均将校(6)
以下将校2名、総勢7名の将で構成される軍。
〇大蛇軍
・総大将→鎖蛇将軍(8)
・副将→青大将将軍(10)
・第一軍長→虎武羅将軍(8)
・第二軍長→柄蛇将校(7)
・第三軍長→赤蛇将校(7)
以下将校8名、総勢13名の将で構成される軍。
開戦時の布陣図を公開する。
蛮軍からは国内最高位の将、馬豹将軍が総大将を務めた。加えて兄の馬凌将軍も副将で出陣する「馬家」の初陣である。
馬豹は総大将として血気盛んな性格で、軍の最前線に布陣した。その脇には第二軍長を務める将校、漢騎を添えた。
共に国内では剛将と称えられる男である。
大蛇軍の総大将は鎖蛇将軍だが、彼は国内最高位の将ではなかった。最高位の将は副将の青大将将軍である。
これは青大将は攻勢に特化しているが、守りは弱い為である。一方本陣を守り、全体に指示を送れる将で最も優れた将は鎖蛇であった。
これは大蛇軍最強の布陣である。
これにより両軍最強の武力を持つ将が、開戦初日から相まみえた結果となる。
この緊張感は蛇年最初の戦の口火を切る者として、全軍に伝わり、熱気に包まれていった。
そして、いよいよ両軍の総大将の合図により開戦し、馬豹軍と青大将軍が激しくぶつかり合った。
☯戦況中継2日目
初日は末端の兵士一人ひとりまでに緊張が伝わっていたため、両軍将の犠牲は無かった。
ここで布陣を変えたのは蛮軍であった。
本軍の副官であった南郷弯君将軍がわずかに大蛇軍に近い方向に布陣した。
しかし、大蛇軍の中でこれに気付くものはいなかった。
南郷弯君はこの日開戦早々、馬豹と青大将が切りあっている横に突撃を仕掛けた。
青大将は勇猛であったが、この攻撃は虚を突かれた形で、脇腹に大きく一太刀を浴びてしまった。
これにより青大将軍が大きく後退し、青大将を守りつつ苦戦を強いられた。
☯戦況中継3日目
劣勢の蛮軍が勝つためには短期決戦か援軍を待つ他手は無い。ただでさえ、大蛇軍は蛮軍と比べて倍以上の戦力があり、戦が長期にわたると負けるのは数の上で劣っている蛮軍であるからだ。このため、今日は馬豹と馬凌がともに精鋭軍を率い、大蛇軍の総大将を狙った。
しかし、この考えもまた大蛇軍には読めていた。最初から倍以上の軍勢を率いる大蛇軍は蛮軍を丁寧に包囲し、削り取っていく作戦であったからである。
これを対策し、大蛇軍は軍右翼の第一、第二軍長を総大将の背後に固めた。
蛮軍はまず総大将自ら、大蛇軍の最前線に布陣している青大将を討ち取りにかかった。勿論、これは蛮軍の作戦上の目くらましである。
この隙を突いて、副将の馬凌軍が大蛇軍本陣に突撃したが、青大将軍を抜いた先に大蛇軍第一、第二軍長率いる軍勢が姿を現した。これは、敵軍の布陣変更を見落としている蛮軍にとって大きな痛手である。
両軍長は馬凌を軽くあしらい、やすやすと前に出てきた蛮軍総大将に狙いを定めた。
馬凌に突撃させた方向から二つの軍ともともと切りあっていた青大将の軍の三方位から攻撃された馬豹はさすがにたじろいだ。
流石の馬豹もこの強い攻勢を捌ききれず、馬豹軍は大きい被害を被った。副官として従事していた漢騎軍長による決死の救出により馬豹は九死に一生を得た。完全に大蛇軍はこの作戦で総大将の首を取る気でいた。
これにより、大蛇軍の猛攻は止まらず、この漢騎が持ち場を離れたのを見逃さなかった。漢騎が持ち場を離れたということは蛮軍の右翼ががら空きになってしまうことを意味する。
漢騎と対峙していた、大蛇軍第三軍長、将校赤蛇は漢騎軍が撤退する際の殿を務めている指揮官に目を付けた。
現在将の数で劣勢の蛮軍末席の将であれど、これを討ち取る事は大いに大蛇優勢にできると踏み、この将校を討ち取った。
これは蛇年初戦での最初の将の犠牲である。
次いで、赤蛇の副官として追従した将校、白蛇も追撃を行い蛮軍末席の将をまた一人討ち取った。
これで、蛮軍は総勢7名の将での行軍であったが、そのうち2名を一日で失ってしまった結果になった。
この凶報に総大将馬豹は焦りの顔を見せ、作戦を練り直すため一時後退した。
急な陣形の変更に気付いた大蛇軍は更なる猛攻を仕掛けようとするが、蛮軍の防御が固く攻めあぐねていた。
以下、当時の両軍の布陣である。赤蛇のみならず虎武羅軍長までも左翼に回り込み、見事蛮軍を包囲することに成功した。
大蛇軍は蛮軍を包囲する形で、必死に猛攻を加えたが、なぜか尽く攻撃通らなかった。総大将が大いに負傷し、倍以上の軍勢に包囲された蛮軍になぜこんな余力が残っているか不思議だった。
蛮軍は包囲されながらもなぜ士気を高いまま維持できたかというと、蛮軍に一つ吉報が舞い込んできたからだ。
それは、蛮軍の筆頭将軍であり、現在蛮軍本陣を守っている南郷弯君の兄である南郷政君率いる蛮国中央軍が援軍に来るとの情報だ。
この日、大蛇軍が馬豹を討ち取れれば終戦であったが、大蛇軍は討ち取れなかった。そのため大蛇軍は違和感を覚えながらも、この日を終えた。
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☯戦況中継5日目
大蛇軍にも蛮軍へ援軍が来る知らせが届いた。
流石にここで援軍が来るのは不利になるので、なおさらさっさと決着をつけようと包囲陣をより固めた。
すると開戦の合図とともに蛮軍の本陣の後ろから見知らぬ銅鑼が鳴り響いた。
それは蛮国からの援軍、南郷政君軍の到着の知らせであった。
この知らせに馬豹は笑みを浮かべた。
しかし、何やら援軍の旗にもう一つ「蛮軍とは異なる軍旗」が見えた。
それは「趙燕」の文字であった。
なんと趙燕国将校、龐焚率いる計3名の将も蛮軍への援軍として駆け付けた。これはつまり、「蛮国・趙燕国同盟」を意味する。
蛮軍には自国からの援軍と趙燕国からの援軍も到着した。その数こそは多くはないものの、戦は終盤なので少しの戦力の差が大きな結果を生み出す。
大蛇軍総大将、鎖蛇にとっては想定外過ぎる結果になった。これにより最初は数で上回っていた大蛇軍が数の上で完全に劣勢に立たされた。
以下、援軍を含んだ現在の布陣図である。
蛮軍は援軍の到着に歓喜した。
しかし、これを待つために最前線で奮闘していた、第二、第三軍長の漢騎と亜万均の被害は甚大であった。
ここで大蛇軍は思考を変えて、いくら援軍が到着しても敵軍総大将を討てば問答無用で戦勝であることに注目し、精鋭を突撃させる作戦に切り替えた。
このため、大蛇軍赤蛇将軍はまず弱っている漢騎軍に突撃を仕掛けた。
すでに兵力も削られ、満身創痍の漢騎は赤蛇の突撃に耐えられなかった。
漢騎は特に抵抗する訳でもなく、素直に合戦に応じ赤蛇に討ち取られた。
漢騎が討ち取られたのと同刻に亜万均も赤蛇の副官の蛇天将校により討ち取られた。
これにより蛮軍は軍長を早くも二人失ってしまった。
この枠を援軍に来た趙偉虎と南郷政君が請け負った。
大蛇軍は一気に敵軍の軍長を同時に二名討ち取ったことで士気が極度に上昇した。
ここで赤蛇の隣に布陣していた虎武羅軍も蛮軍をもっと撃退する為に突撃指令を下した。
しかし、ここで虎武羅軍の正面にはすでに蛮軍筆頭将軍、南郷政君の軍が立ちはだかっていた。
虎武羅はこれを抜かないと蛮軍本陣には迫れないので、南郷政君に狙いを変更して突撃した。
しかし、虎武羅がすでに負傷している事に加え、軍の質と量の上で劣っていたため、突破できなかった。
迫った虎武羅に対して、圧倒的な力を見せ一太刀で南郷政君が討ち取った。
☯戦況中継6日目
大蛇軍は窮地において、諦めていなかった。
蛮軍総大将、馬豹の兄馬凌は陣形の上での偶然でしかないが、大蛇軍にとっては幸いなことに現在大蛇軍に最も近い陣形に位置していた。
馬凌はこれに気付き防陣を固めた。
馬凌は開戦より奮闘して、疲弊していたが総大将の軍をも率いこれに応戦した。
しかし、筆頭将軍の青大将の力はこの予想を上回っていた。蛮軍精鋭軍を突破し青大将は馬凌に迫り、これを討ち取った。
この光景を背後で蛮軍総大将、馬豹は見えていたが、何もできなかった。
大蛇軍は見事蛮軍副将、馬凌を討ち取った。
しかし、もちろん大蛇軍にとってその代償は安い物では無かった。
馬凌を囲んでいた精鋭軍を抜ける時、大蛇軍将校らが討たれただけでなく、青大将の横に布陣した赤蛇軍長が趙偉虎軍の副官、相高に討たれた。
数で不利な大蛇軍で攻撃を主に担当する二人の軍長の損失はは痛手だった。
☯戦況中継7日目
馬豹は失意に包まれていたが、蛮軍の凶報は止まなかった。
青大将軍が蛮軍深くまで進撃した事から、普通は敵軍に包囲された状態なら一度撤退するのが定石だが、青大将はこのまま猛攻を仕掛けた。
馬豹は怒りにのせてこれに応戦したが、青大将の狙いは別にあった。
それは蛮軍本陣の南郷弯君であった。
兄を討たれ指揮系統が麻痺してしまった馬豹軍をあっさり抜いた青大将はなんとそのまま蛮軍本陣に突撃した。
戦況上、本陣への攻撃は想定していなかった為、南郷弯君の対応が遅れた。
この混乱に乗じて青大将は本陣の軍を討ち、青大将の副官の将校、蛇活が南郷弯君の姿を見つけ、これを討ち取ってしまった。
ここまでの功績を残した青大将は蛮軍の本陣もが麻痺した隙を突いて、蛮軍の包囲を脱出した。
これには馬豹と筆頭将軍、南郷政君は絶望するしかなかった。本当に一瞬の出来事であった。
しかし、ここで別の動きもあった。
青大将の功績に歓喜している大蛇軍へ趙燕軍が動いたのだ。
趙燕軍では若い将校を三名援軍に送っていた。
それぞれ階級こそ低かったが、中でも岳苑だけは並みの将校と比べたら頭一つ強さがとびぬけていた。
青大将の功績に喜び、隙を見せた大蛇軍第二軍長、柄蛇に狙いを定めて突撃した。
この急襲には蛮軍も大蛇軍も驚いた。
これで大蛇軍では青大将を除く軍長格が全滅してしまった。
劣勢の中では善戦したが、これ以上の戦は犠牲を増やす一方で実りのない結果になってしまう。
鎖蛇は軍長を失いながらも、何とか自分と筆頭将軍の命だけは守れたと考え、戦を終わらせる準備を進めた。
これにより大蛇軍総大将、鎖蛇の撤退の指示が下りた。これにより、今回の戦は蛮軍連合軍が勝利した。
以下戦のログです。