千葉 芙貴 semba fuki

千葉県出身、長崎県在住。 早稲田大学さだまさし研究会第10期生。 さだまさしさんの歌…

千葉 芙貴 semba fuki

千葉県出身、長崎県在住。 早稲田大学さだまさし研究会第10期生。 さだまさしさんの歌詞に登場する植物に寄せて、徒然なるままに綴っていきたいと思います。 尚、ご本人とは無関係のご勝手投稿です。

最近の記事

さだまさしさんのお庭から          vol.38 天人菊(ガイラルディア)

『天人菊』 天人菊として古くから親しまれているガイラルディアは、赤やオレンジに黄色の覆輪が入る直径5cm位の花を初夏から秋まで次々と咲かせます。 原種系のガイラルディアの一種であるグレープセンセーションは落ち着きのあるピンク系で、やはり真夏の暑さに負けることなく開花し、長期間に亘って花を楽しめます。 『無縁坂』のアンサーソングとして誕生したという『天人菊』。天人菊は10月25日の誕生花、そしてこの日はグレープがデビューした日です。2023年に50周年を迎えるグレープにとっ

    • さだまさしさんのお庭から          vol.37 竜舌蘭

      『女郎花』 大阪在住の早稲田大学さだまさし研究会の後輩Y氏から竜舌蘭の開花レポートが届きました。 開花している状態を見たことがなかったのでレポートはとてもワクワクしました。天に向かって聳えるように咲く花は黄色なんですね。てっきり白だと思ってました。 竜舌蘭は正しくは「アオノリュウゼツラン」という名称で、英名は「センチュリープラント」といいます。100年目に開花するという意味だと思われますが、熱帯では10~20年、日本では30~50年に一度開花するそうです。メキシコ原産です

      • さだまさしさんのお庭から          vol.36 菩提樹

        『SUNDAY PARK』 菩提樹と言われて思い浮かぶのは、お釈迦様とシューベルトでしょうか? 菩提樹と呼ばれる木は数種類ありますが、代表的なのは次の3種類でしょう。 ひとつは日本国内の寺院で見かけることがある中国原産のシナノキ。6月頃に芳香がある淡黄色の花を下向きに咲かせます。Wikipediaによると、12世紀に臨済宗の開祖明菴栄西が中国から持ち帰ったと伝えられるそうです。 もうひとつはお釈迦様が菩提樹の木の下で悟りを開いたと言われる印度菩提樹。日本では印度菩提樹は

        • さだまさしさんのお庭から          vol.35 君影草(すずらん)

          『冬物語』 すずらんは、春から初夏にうつむくように咲く純白の可憐な多年草です。園芸用に栽培されているすずらんの多くはドイツスズランで、ピンク色もあります。 北海道や中部以北の高原などの冷涼な地域に自生しているのはニホンスズランで、自生地の南限と言われているのが熊本県阿蘇市の波野高原です。 阿蘇市観光協会のホームページには「5月中旬~6月上旬になると、波野高原に可憐な5万株のスズランの花が咲き、高原一帯は、甘い香りに包まれます」とあるので、かなり期待して行って来ました。 「

        さだまさしさんのお庭から          vol.38 天人菊(ガイラルディア)

          さだまさしさんのお庭から          vol.34 クレマチス

          『白雨』 クレマチスは古くから親しまれているガーデンプランツの一つです。英国ではつる性植物の女王として位置づけられ、バラのパートナープランツとして親しまれています。テッセンと呼ばれることもあります。 クレマチスは世界中にたくさんの野生種や原種があり、これらの交配によって色も形も様々な多くの品種が生まれています。 写真はご近所に咲いていた、すぐにそれと分かる品種ですが、中にはチューリップやベルの形をした品種もあるようで、品種や系統を揃えると一年中花を楽しむことができるらしい

          さだまさしさんのお庭から          vol.34 クレマチス

          さだまさしさんのお庭から          vol.33 山吹

          『紫野』 七重八重花は咲けども山吹の        みのひとつだに無きぞ悲しき 「やまぶき」と言えば、後拾遺和歌集に編纂されているこの歌と、それにまつわる逸話が思い浮かぶ方もいらっしゃるでしょう。 逸話とはー 若き日の太田道灌が、突然の雨に蓑を借りるべくある小屋に寄ったところ、娘が何も言わず山吹の花一枝を差し出した。蓑を借りることが出来ず、怒った道灌はずぶ濡れで帰宅した。しかし、山吹にはこの和歌の「みの」に「蓑」をかけ、「わが家には、お貸しできる蓑一つさえないのです」の

          さだまさしさんのお庭から          vol.33 山吹

          さだまさしさんのお庭から        vol.12#(番外編) すかんぽ

          『風の篝火』 昨年の『すかんぽ』中の「風の篝火のすかんぽは恐らくイタドリ」という記述に物言いが付きましたので、番外編として『すかんぽ』を再投稿します。 早稲田大学さだまさし研究会同期のF氏曰く「開花期からしてスイバだろう」 イタドリは夏から秋に白い花を、一方スイバは初夏から夏に赤い花穂をつけるので、蛍の季節に重なるのは確かにスイバです。 けれど唄を覆う淡く儚い色彩のトーンから「すかんぽの小さな花」は赤よりも白、イタドリの方が似つかわしく思えたのです。 改めて『風の篝火』を

          さだまさしさんのお庭から        vol.12#(番外編) すかんぽ

          さだまさしさんのお庭から          vol.32 芍薬(ピオニー)

          『黄昏アーケード』 どちらかと言えば小さな花が好きな私は、正直なところ 芍薬にはあまり興味がありませんでした。なので、義母が庭の一枝を持たせてくれた時の芳香は驚愕でした。 ダマスクローズを思わせる甘い香り、しかも強く長く継続します。そして柔らかな花弁の圧倒的な枚数。「立てば芍薬…」の例えのとおり、昔から愛されている花であることに納得しました。 漢方薬でも芍薬という文字はよく見かけますね。庭の無農薬の切り花なので、薔薇ジャムならぬ芍薬ジャムを作ろうかと思いましたが、そう言えば

          さだまさしさんのお庭から          vol.32 芍薬(ピオニー)

          さだまさしさんのお庭から          vol.31 馬酔木(あせび)

          『まほろば』 奈良を舞台にした名曲に登場する馬酔木。ドウダンツツジやブルーベリーに似た可愛らしい花を咲かせるツツジ科の植物です。全体に毒性があり、馬がアセビの枝葉を食べると呼吸中枢が侵され、酔ったように脚が不自由になることから「アシビ(足痺れ)」の別名があるとも言われているようです。 名所として知られる春日大社では、志賀直哉の旧居から二の鳥居を結ぶ、下の禰宜道(ささやきの小径)という杜の道で『馬酔木の杜』が見られるようです。 決して手折ったりせずに、雰囲気に酔うだけの散歩を

          さだまさしさんのお庭から          vol.31 馬酔木(あせび)

          さだまさしさんのお庭から          vol.30 山桜

          『山ざくらのうた』 例年ならば、ソメイヨシノが咲いた少し後ー 常緑樹や、葉が芽吹いたばかりで枝の茶色が目立つ山の中に山桜のピンク色がポツポツと散りばめられる色彩には、春という季節の幸福感を感じます。 写真は長崎県大村市の琴平スカイパークの「999段の桜並木」の遠景です。人の手が入っているので自然の山よりも桜が多いですし、山桜だけでなく園芸品種もかなり多いので、「写真と本文は無関係です」みたいになってしまいましたが(笑)、2023年ならではの絶景です。 日本の固有種、山桜。

          さだまさしさんのお庭から          vol.30 山桜

          さだまさしさんのお庭から          vol.29 桜

          『桜散る』『風に立つライオン』『初恋』『心斎橋』『ひまわり』『銀杏散りやまず』『クリスマス・ローズ』『春』『風炎』『八ヶ岳に立つ野ウサギ』『春爛漫』『さよならさくら』『ぬけみち』『桜人〜序章 春の夜の月〜』『桜人〜終章 しづ心なく〜』『サクラサク』『赤い月』『桜桜咲くラプソディ』『桜の樹の下で』『古い時計台の歌』『黄昏アーケード』『泣クモヨシ笑フモヨシ〜小サキ歌ノ小屋ヲ建テ〜』『さくらほろほろ』『逍遥歌~そぞろ歩けば』『建具屋カトーの決心-儂がジジイになった頃-』『花咲きぬ』

          さだまさしさんのお庭から          vol.29 桜

          さだまさしさんのお庭から          vol.28 木蓮

          『惜春』 春先になると、遠目にその空間だけ真っ白に塗られたように鮮やかに咲く花木に目を惹かれることがあります。花の正体が知りたくて近付いてみると、見事な枝ぶりの白木蓮ー肉厚の大きな花弁があまり好きではない方もいらっしゃると思います。私も近くで見るより遠目の方が好きです。 『惜春』を初めて知ったのは中学生の頃に大事にしていたさださんの歌詞集。修辞的技法が満載された歌詞の意味は分からないままに、只々フレーズの美しさに文学少女は感動していた事を覚えています。 あれから40年経っ

          さだまさしさんのお庭から          vol.28 木蓮

          さだまさしさんのお庭から        vol.27 クリスマスローズ  

          『クリスマス・ローズ』 クリスマスローズは、主に2月から3月に花を咲かせるキンポウゲ科の植物です。 本来はクリスマスの頃に開花する「ヘレボルス・ニゲル」を指しますが、日本ではヘレボルス属を全てひとくくりにクリスマスローズと呼びます。 クリスマスローズにはたくさんの種類があり、咲き方や色が豊富です。暑さは苦手で、木の根元などの半日陰を好みます。 歌詞には、満開の桜の根元に咲いているクリスマスローズが登場します。3月の始め頃に満開になる桜は河津桜かしら、それとも緋寒桜?などと

          さだまさしさんのお庭から        vol.27 クリスマスローズ  

          さだまさしさんのお庭から      vol.26 梅

          『飛梅』 『玻璃草子』 『都府楼』 『驟雨』 『桜桜咲くラプソディ』 『桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿』 桜は枝の切り口から菌が入り腐りやすいので、むやみに剪定してはならず、一方梅は無駄な枝を切らないと樹形が崩れ、よい花や実がつかなくなってしまう、という意味の慣用句(?)です。どちらも春を代表する花なのに、性質が違うものですね。 「…花愛でたくば 先人の 知恵に従い 切り給え」 というところでしょうか? あさのあつこさんの小説に『梅は花は香りがよく、実も食べられる。桜の花より役

          さだまさしさんのお庭から      vol.26 梅

          さだまさしさんのお庭から       vol.25 良弁椿(ろうべんつばき)

          『修二会』 奈良の東大寺の開山堂の庭に、良弁椿という椿があります。東大寺の開祖である良弁の像が開山堂に祀られていることから、そう呼ばれたのだとか。 また、紅色の花びらに糊をこぼしたような白い斑が 入ることから「糊こぼし」や「糊こぼし椿」とも呼ばれています。 東大寺では2月の下旬頃に「花ごしらえ」が行われます。 3月初旬から中旬にかけておこなわれる修二会(お水取り)の間、二月堂の本尊である十一面観音菩薩に供える為の良弁椿の造花を、僧侶たちが赤と白の和紙でこしらえます。 天平

          さだまさしさんのお庭から       vol.25 良弁椿(ろうべんつばき)

          さだまさしさんのお庭から           vol.24 寒椿

          『鳥辺野』 『鳥辺山心中』 オックスフォード・ランゲージによると、寒椿とは「十一月から一月にかけて咲く、花がツバキに似た、園芸用変種のサザンカ」。植木ペディアによると「サザンカと椿の交配種で、(中略)一般的にサザンカという場合、カンツバキを指すことも多い」 難しいので、寒い頃に咲く椿のような山茶花のような花を寒椿と呼ぶ事にしましょう。 紅い寒椿に降る雪、日本っていいですね。 ところで茶毒蛾という毒蛾をご存知でしょうか? 茶や椿、山茶花などに付きやすく、毒のある毛が刺さると

          さだまさしさんのお庭から           vol.24 寒椿