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さだまさしさんのお庭から          vol.28 木蓮

『惜春』

春先になると、遠目にその空間だけ真っ白に塗られたように鮮やかに咲く花木に目を惹かれることがあります。花の正体が知りたくて近付いてみると、見事な枝ぶりの白木蓮ー肉厚の大きな花弁があまり好きではない方もいらっしゃると思います。私も近くで見るより遠目の方が好きです。

『惜春』を初めて知ったのは中学生の頃に大事にしていたさださんの歌詞集。修辞的技法が満載された歌詞の意味は分からないままに、只々フレーズの美しさに文学少女は感動していた事を覚えています。
あれから40年経った今は、そもそも意味を追うこと自体が無粋に感じられるくだりもありますが、白木蓮の香りを感じるのは、暖かくなってきた柔らかな日中の陽射しの中ではなく、湿度が増してきてやや不安定な気分になりがちな夕暮れが似つかわしいと思えるようになりました。

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