色を奏でる
各々が自分の色で奏でている
かすかに歓喜の歌が聴こえてくるような・・書斎の窓(写真)
色には精霊が宿ると言う。
何かを語っているように見えるのはそのせいなのか。
また
風景はそれぞれの心の目を通して見ている。
どう見えるか、何を感じるのかは、自分の心の表れかもしれない。
・・・・
「色を奏でる」志村ふくみ著・・ちくま文庫
色に精霊が宿るように、ふくみさんの言葉には言霊が宿っている。言葉は、美味しい空気、美味しい水の如くスルスルと身体と心に入ってきます。
「あ〜なんて美しい世界なのだろう・・」
言霊に誘われて五感の旅をするようで、
鈍っていた五感が研ぎ澄まされていくようです。
ふくみさんの「染色の扉が開いた瞬間」は
音の扉が開いた瞬間と似ています。
・・・・本文から・・・・
「ほんの少し扉があいていて、秋のはじめの陽の光とすこしの風にきらめく深い森が垣間見られた・・この世ならぬ光が森中にみちていた・・いつの間にか、自分の命と草木の命がひとつに合わさったような法悦を感じた」
「草木がすでに抱いている色をいただく・・自然が主であるか、人間が主であるかの違い。草木の持っている色をそこなわずにこちらの側へ宿す」
「人間の五感というものは、どこかで繋がっていて美しいという要素には五感の中のいずれかと微妙に響き合っているものがある」
「機の経は・・絶対にごまかしがきかない」
「無地ほど難しいものはない。素の美しさすべての装飾を払い去ったとき、そのものの本質が現れる」
「好きとか面白いというのは表現の稚さで、実はその中に汲んでも尽きない真理が常に輝いていて、私を励まし力を与えてくれたのだ」
・・・・・
手のひらサイズの小さな本の中に
音楽と共通すること、奏でる上で大切なことが
たくさん詰まっていました。
何度読んでも新しい発見があり
音楽する人にお勧めしたくなる本です。