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場違いなデザインこそ未開の地を切り開く

今回は、デザインにはまだ未踏の領域があり、その領域を攻略することでデザインの付加価値が高まる、という記事です。

私がまだ大学生だった頃、20XX年には、デザイン、アート、音楽などすべての文化的なアイディアは出し尽くされる、という話をよくしていました。
2020年現在、まだアイディアは枯渇していません。しかし、ほとんどのデザインはオマージュ(敬意を込めた模倣)によるものが多く、完全に新しいデザインは生まれにくくなっているかと思います。いくつかの業界を例に紹介します。

今までにない組み合わせがもたらすデザイン

今、デザインの領域を最も開拓している分野はアパレル業界だと思っています。アパレルには、ハイブランドもあれば誰でも気軽に購入できるインスタントなファッションもあります。デザインのテイストもラグジュアリー、モード、ストリートなどなど様々です。

では、一体何が新しいのでしょうか。

デザイン性と価格帯のマトリクス表で見てみましょう。
今までは、ハイブランドはラグジュアリーなデザイン、インスタントファッションはチープ(と言ったら失礼ですが)、比較的安めのデザインをしていました。これが従来のセオリーです。

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しかし、ここ数年、従来であれば場違いな領域に入り込み、新しいデザインの価値観を生み出し成功しています。具体的な例を上げてみましょう。

ハイブランド X チープ

代表的なものがルイヴイトンとヴァージル・アブローのコラボです。
そしてこのコラボを皮切りに一気にストリート(チープ)なデザインが広まりました。

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引用元:エスパス ルイヴィトンで開催されたヴァージル・アブローによる「COMING OF AGE」展

精密に設計されたチープなデザインが、新しい価値観を生み出しているのです。ルイヴィトンをはじめ、グッチやディオールなども続々とこの流れに続いています。特にディオールとナイキのコラボも非常に斬新と言えるでしょう。
エア ディオール:カプセルコレクション

インスタントファッション X ラグジュアリー

一方で、インスタントファッションではラグジュアリー感(というよりも「きちんとデザイン」がされた)デザインになりつつあります。ユニクロはロゴデザインの刷新に佐藤可士和氏を起用して以降、一気にデザインにチカラを入れてきている印象があります。

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引用元:佐藤可士和公式サイト

これは、高いデザイン性でも低コストで生産すれば、ユーザーにはハイセンスな体験を提供できる、というロジックを見つけたからでしょう。

予定不調和なデザイン

デザインのプロが作ったデザインは、どこまで突き詰めても予定調和なのです。意図的に創造もしていないようなデザインを作り出すことが、新しい価値を生み出します。
ナイキの2つの事例を挙げてみます。

Nike By You
ユーザーが自由に配色を決められるサービスです。予定不調和かつ満足度も高いUXを実現しています。創造もしていなかった組み合わせが美しいデザインを生みます。これは憶測ですが、ユーザーが決めた配色をデータベース化して新商品の配色にも活かしているようにも思われます。

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プロトタイプ
ナイキでは、商品が完成される過程のモックアップ状態を意識したプロダクトが増えています。完成されていないがゆえに生み出される美しいデザインです。N354と呼ばれるシリーズや、ISPA、スペースヒッピーなどが参考になるでしょう。

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引用元:スペースヒッピーの製作プロセスN.354 ナイキの実験の歴史を語る

デザインが施されていない業界

デザインの進化はアパレル業界だけではありません。
世の中のほとんどのものがすでにデザインが介入していると言えるでしょう。しかしながら、まだまだ未開の業界はあります。

鉄道業界では車両のデザインが新しくなってきています。SANAAと西武鉄道のコラボによる車両は、移動体験をデザインのチカラにより、新しいUXに変革させました。

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引用元:西武鉄道新型特急車両「Laview」

デザインは脱皮し続ける

今回紹介したようなデザインの領域も数年すればブルーオーシャンではなくなるでしょう。しかし、デザインは幾度となく脱皮を繰り返して新しい領域を積極的に開拓している分野だと感じています。だからこそデザインの世界は面白いのですね!

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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