カザフスタンの「お姫様」とは?

 東京五輪の開会式で、中央アジアにある旧ソ連の国、カザフスタンの代表として出場した女性がお姫様のようでかわいいと話題になっています。

この女性は、カザフスタン出身ではありますが、見た目やファーストネームから判断すると、カザフスタンの民族の多数派カザフ人ではなく、ロシアやウクライナなど、スラヴ系の人であることが推測されます。一方、カザフ人は、どちらかと言うと、日本人や中国人、モンゴル人に近い顔立ちをしています。ロシアにもカザフ人が大勢いたのですが、知り合いの日本人にはカザフ人に間違えられた人も少なくありません。清水ともみさんのウイグル漫画に出てきたカザフ人女性の絵は、カザフ人の特徴をよく捉えています。↓参考

 また、ファーストネームのオリガ(Ольга、ロシア語読み、カザフ語読みもオリガ、ウクライナ語読みオリハ)は、東スラヴ系の女性によくある名前です。

 カザフスタンは、帝政ロシア時代やソ連時代を通じてロシア人と交流を重ね、ロシア風の姓の仕組みを取り入れました。しかし、下の記事によると、ルイパコワの旧姓は、スラヴ系の男性名「アレクセイ」から作られた姓「アレクゼーワ(男性形アレクゼーフ、スラヴ系・中央アジア系の姓は、男女で語尾が異なることがある)」で、語尾から判断してロシア系の姓(ウクライナ系の姓は男女同形が多い)、父のファーストネームは「セルゲイ」と姓も名前もどちらもスラヴ系なので、やはりスラヴ系の人なのでしょう。現在の姓である「ルイパコワ(下の記事では夫の姓も「ワ」で終わっていましたが、こちらも男女で姓が異なるタイプの姓で、正確には「ルイパコフ」であると考えられる)」は結婚後に夫に合わせて改姓したものです。夫の下の名前はデニス、子供はアナスタシア、キリルとスラヴ系なので、やはりスラヴ系の人なのでしょう。↓下のリンク参照

 今回の大会では、「多様性」がテーマとして掲げられてきました。カザフスタンのお姫様の報道をきっかけに、日本ではあまり馴染みのない中央アジアのカザフスタンという国や、カザフスタンという国の多様性についても考えてもらえると、旧ソ連の国について勉強していた者としては嬉しいです。