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マイ・フェイバリット・ソングス 第31回~キャロル・キング

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『Writer』(1970年)

キャロル・キングは16歳の頃に一回歌手デビューしてるんですよね。でも、鳴かず飛ばずだったため作曲家に転身。17歳で結婚。60年代には夫・ジェリー・ゴフィンとの共作曲を様々な歌手に提供しヒットを連発する。だから60年代は作曲家として活躍していた人で、1970年のこのアルバムでやっと自分で本格的に歌い始めるんですね。ところが、このファーストが全然売れなかった・・・。というわけで、次作『Tapestry』の大ヒットがなかったら埋もれてしまっていただろうと言われているアルバムです。でも、僕はこのアルバムけっこう好きです。「No Easy Way Down」なんて名曲だと思うけどなあ。「Child Of Mine」も好きだし、ザ・ドリフターズに提供した曲のセルフ・カバー「Up On The Roof」もすごくいい。「What Have You Got to Love」や「Raspberry Jam」のアレンジなんかは初期の荒井由実さんにも影響を与えてそうな雰囲気ですね。ジャズやソウルやカントリーの要素を盛り込んだ大人のポップス。ちなみにアコースティックギターはジェームス・テイラーが弾いています。


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『Tapestry』(1971年)

ロック史に燦然と輝く不朽の名盤。アメリカのチャートでは15週連続1位。その後302週連続(約6年)チャートインし、現在までに2200万枚売り上げているとのこと。グラミー賞も4部門獲得ですね。僕は洋楽女性アーティストのアルバムではこれが一番好きです。大ヒットシングル「I Feel the Earth Move」「It’s Too Late」、シュレルズに提供して全米1位となった「Will You Love Me Tomorrow」とアレサ・フランクリンに提供してヒットした「(You Make Me Feel Like)Natural Woman」のセルフカバー。さらにジェームス・テイラーがカバーして全米1位となった「You’ve Got a Friend」といった具合にヒット曲のオンパレード。これらの曲はもちろん素晴らしいけど、僕は「So Far Away」や「Home Again」や「Tapestry」など、地味ながらこのアルバムをしっかり支えている楽曲群に惹かれます。元・夫ジェリー・ゴフィンとの共作は3曲に留まり、多くは単独で作っていますね。アコースティックギターはジェームス・テイラー。ベースはこの当時の旦那さんチャールズ・ラーキー。70年代ポップスの頂点を極めた大傑作です。ちなみに僕はこのジャケットも大好きです。ラフな感じのキャロルと部屋の陰影と手前の猫が絶妙ですよね。


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『Music』(1971年)

キャロル・キングというと『Tapestry』ばかりが語られがちだけど、このアルバムも負けず劣らず名盤だと思います。メジャー曲は、まずシングルヒットした「Sweet Seasons」。1961年にザ・ドリフターズに提供してヒットした「Some Kind of Wonderful」のセルフカバー。そして、カーペンターズによってカバーされた「It’s Going to Take Some Time」。僕は冒頭を飾る「Brother,Brother」が大好きですね。ちょっとブラックミュージックっぽいテイストで、すごく美しい曲です。表題曲の「Music」も好き。


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『Rhymes & Reasons』(1972年)

キャロル・キングは『Tapestry』と『Music』ばかり聴いてしまって、正直それ以降のはあまり聴いていません。これも久々に聴き返しましたが、「My My She Cry」とか「Feeling Sad Tonight」とかいいですね。「Been to Canaan」はシングルヒットしています。ブラスセクションとかストリングスとかも加わってこれまで以上に豪華な音になっていますね。


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『Fantasy』(1973年)

これまで詞はジェリー・ゴフィンやトニー・スターンが手がけることが多かったけれど、このアルバムは作詞も全曲キャロル・キングですね。全体的に弾き語り色は弱まり、バンドサウンドが強くなっています。ソウル色も強めですね。


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『Wrap Around Joy』(1974年)

これまでで最も明るいアルバムじゃないかな。ようやく『Tapestry』のプレッシャーから解放されたのかもしれませんね。「Jazzman」が久々に全米2位と大ヒットしています。僕は「Nightingale」が好きですね。「We are All in This Together」もいいな。オリジナルアルバムで聴いているのはこのアルバムまでですね。


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『Pearls』(1980年)

もう一枚だけご紹介しておきたいのはこれ。キャロル・キングは1960年代にジェリー・ゴフィンと共作で多くの提供曲をヒットさせているんだけど、それらの曲を集めたセルフカバー集です。特に有名なのはリトル・エヴァの「Locomotion」とクッキーズがリリースして後にビートルズがカバーした「Chains」でしょうか。僕は「One Fine Day」が特に好きですね。今やスタンダードとなった若き日の名曲の数々です。


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