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ことばはうつわ|じぶんの分身

日本語より英語のほうがしっくりくる表現がある。「今年の目標」というフレーズもその一つ。「目標」は「あるかないかはっきりしないもの」というニュアンスを感じて昔からあんまり使うのは好きじゃない。そもそも今という地点からどこか別の地点へいくみたいな切り離されたニュアンスがわたしには想像しづらい。

わたしにとって今年の目標よりしっくりくる表現は"New Year's Resolution"というもの。こっちのほうが「すでにそれがある未来がある」というニュアンスを感じてわくわくするし、叶うかどうかではなく、思った時点で叶っているということが分かる。

そんなふうに、細かいことだけれど、今年は言葉ひとつ取ってもしっくりくるほうをちゃんと選んで使っていきたい。言葉はうつわだから、ちゃんとそこに入るものを入れて使いたい。

そして「前向きな言葉を使う」ことを意識していたい。去年しみじみと感じたことのひとつに、自分の発する言葉が世界を創る、がある。じぶんの口にどうでもいいことばかり口走らせてはダメなんだ、と反面教師で実感した。根拠のないうわさ話、無駄な批判、無意識に人を貶めている話。じぶんのことだけ考えた話、じぶんの範疇を超えない話。それでは生きながら精神が死んでしまう。じぶんの口からでることは、じぶんの分身。どうでもいいことを口にしたら、それがわたしとして命を得てしまうから。

言葉のみならず、前向きなエネルギーで人と繋がりたい。それを自分自身の表現としてたのしみたい。自分自身を表現するとは、なにも特殊なことをすることではないんだとはっきり思うし、アーティストという職業もないと思う。わたしは、アーティストという職業でいるためには苦しまなくてはならない、だから前向きな思考でいようとすることは創造においてマイナスである、とさえ思い込んでいる人間だった。今ちょうど読んでいる本にでてきたこの文章のように。

「多くの人が健康的なアーティストであろうとしないのは、傷ついたアーティストでいるほうが同情を集められるからだ。」

"The Artist's Way" ジュリア・キャメロン著

でもそれは思い違い。苦しんでいたほうが豊かになる気がする、成功するような気がするなんて、おそろしい考え方だと思う。時には苦しむときが自然とやってくるけれど、それはそれで、みずからすすんで苦しみを選択するひつようはない。苦しい言葉づかいをすすんでするより、前向きな言葉づかいをしているほうが、ひとにも心をひらけるし、未来が明るいと思う。

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