ストックホルム症候群と呼ばれた恋愛

私が21歳から29〜30歳ぐらいまで、
うん、何だかんだで約10年か。
ずーっと忘れられず、ずーーっと心の底では大好きだった男性がいる。


相手は年上。頭の良い大人の男の人だった。


どんなに好きになっても、絶対に私のことは選ばないだろうという相手だった。


仕事はものすごく出来たし人望もあるけれど、とても悲しい出来事を経験した持ち主でもあった。


20代の頃は、
「いつかは選ばれる」
「本当に相性がいいのは私なんじゃ?」
と勝手に期待を抱いていた。


自分で言うのもなんだけど、かなり気に入られ、可愛がられていた。


周囲からも、「あの人はララちゃんのことを特別扱いしている」と言われていた。


何回離れてゼロの関係になっても、ふとしたときに連絡を取りあえばまたとても息の合った(と思っていた)関係がスタートしてしまう。
その繰り返しだった。


占いを職業にしている共通の知人に、
相手の名前は伏せて相性を占ってもらったことがある。
彼女の占いはよく当たると評判だった。


「え?この相手、誰?今までにないぐらい最高の相性だよ!結婚したほうがいい!」


嬉しいと同時にものすごく虚しくなった。



この人と結婚できたら人生達成だろうなとすら思っていた。

人生の悩みも苦しみも何もかも終わり。
自分が一番自分のままでいられて、幸せなことしかない、辛くてもその人がいるだけで何て心強い人生になるのだろうと思っていた。


錯覚かもしれないけど、彼も私といることで欠けた何かが補完されるのでは、という気がしていた。
気持ち悪い思考だが、そう思わせてくれるぐらいの闇が彼の中にあったように思う。


占い師の知人は、

「あの人は浮気性だけど、あなたのことは本当に好きなんだよ。あなたと結婚すればあなただけを見るよ」

そう私に話した。


リップサービスかもしれないけれど、
なぜその人の占いを「当たる」と言っている人が多かったのか 複雑な気持ちになった。


あの頃の私は、あの人とその後の人生を過ごせたらそれだけで夢が叶うと、
全ての夢が叶うと思っていた。



彼のことが本当は一番大事だと思いながらも、
その気持ちを打ち消し色々な人と付き合った。


誰かと別れるたびに相談に乗ってもらい、
また、その人がいる日常になった。


20代後半、また彼に戻った。

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