雑記:博物館にある仏像のレプリカ
日本の寺院の場合、堂内の撮影は禁止されていることが多く、それゆえ個人が仏像の写真を撮影することは難しい(極稀に、仏像が指定物件であっても、地域が共同で管理しているなどの場合で撮影が可能な事例もあるが)。
また、普段は秘仏であるため、寺院で拝観出来ない仏像もある。
そうした場合、地方の博物館の常設展にあるレプリカと言うのは、撮影も出来るし、その仏像の実際の姿やスケイルを感じることも出来るので、個人的には結構重宝している。
そうした常設にある仏像のレプリカを、今回は二つほど紹介したい。
まず、群馬県高崎市にある群馬県立歴史博物館の石像不動明王像。
現物は、同県渋川市赤城町宮田の不動寺にあり、「宮田の不動様」と通称されている仏像である。
新田一族の里見氏義が造立したもので、鎌倉時代の建長三年銘があり、重要文化財指定である。
自然岩窟内に安置され、平素は秘仏であり、御開帳は年一回1月28日だけであるため、このレプリカは常時不動明王の姿を確認出来る貴重な展示物である。
院派の仏師の作と考えられているが、木像ではなく石像と言うのは珍しく、石像としても極めて優れており、重文指定もむべなるかなである。
同館の常設展示は、大半のものが撮影可能であり、不動明王と同じ展示室には、太田市総持寺所蔵の伝・新田義貞木像もある(実際には神像と考えられている)。
もう一つは、近年リニューアルオープンした飯能市立博物館にある軍荼利明王像のレプリカで、こちらの現物は同市の常楽院(通称「高山不動」)にあり、平安時代の作と推定されている。
独特の作風であり、地方で軍荼利明王が独尊でまつられているのは珍しく、また2メートルを超える巨像であるなど色々と貴重な仏像で、こちらも重要文化財指定である。
常楽院の現物は、毎年冬至の日しか御開帳されず、しかも同寺は公共交通機関でのアクセスが悪いため、博物館でレプリカが見られるのはうれしい。
レプリカでも曰く言い難い迫力が伝わってくる像であり、しかもこの博物館は無料と言うから破格である。
おまけ。
博物館つながりと言うことで、何年か前に東京国立博物館を訪れた際に撮影したもの。
同館は、日本の国立博物館の中では唯一常設展はほぼ撮影可な珍しい施設である。
徳川四天王の一人・榊原康政所用と伝わる甲冑(同館所蔵)で、同じ甲冑をつけた康政の肖像画も現存している。
東洋館にあるセクメト像。
エジプトの女神で顔はライオンのようであり、どこかユーモラスな神様である。
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