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『世界時々フィクション(No.9)』ロシアからアメリカへのサイバー攻撃!?

ロシアがアメリカの支援機関をハッキングしたというニュースが飛び込んできた。

その日は休日で、昼までぐっすり寝ていた。一週間の疲れが出ていたのだろう。自分でも驚いた。ぐっすり12時まで寝て、昼ごはんに餃子を食べた。

「InstagramとかTwitterでのプロモーション考えてるんですよ。今度また教えますね!」

編集担当の男はプロジェクトマネージャーだ。広報は任せているので、宜しく頼むと答えた。さて、どうなることやら。

SolarWinds attack、これは作戦名だろうか。太陽と風作戦とでも呼ぶのだろうか。いや、調べてみるとソフトウェア会社の社名だった。テキサスにあるネットワーク管理会社らしい。2020年にも大規模な攻撃があったようだ。ハッカー集団は3000のアカウント、150の組織に、アメリカの国際開発機関から定期的に送られてくるemailとそっくりの偽のemailを送ったらしい。そこから情報が筒抜けになっていたようだ。

「今週の原稿は大丈夫そうですか?」

プロジェクトの編集担当からの電話だった。お構いなしに電話をかけてくる。こちらは仕事だってあるというのに。

「なんとか仕上げることにするよ」

「いつも勉強になってます。ありがとうございます!」

本件を洗練されたハッキング作戦と捉える国もあるようだ。なるほど、悪いことをするにも洗練されたやり方と、そうではないやり方があるものだね。

どうやら、ロシアスパイのKGBから生まれた別組織が今回のアメリカへのサイバー攻撃に加担しているようだ。国際社会のスパイ組織の充実した活動量には舌を巻く。日本でもニュースにならないような攻撃が頻繁に起きているのだろう。そうだ、勘違いしてはいけない。ないからニュースにならないのではなく、あまりにも頻繁に起きているからニュースにならないのだ。さて、日本だって何をされているかわからない。

ネットワーク管理のソフトウェアがアップデートされる度に、外部からハッカーが侵入できるような仕組みになっていたらしい。つまり、使用者は自分の手でソフトウェアをアップデートして、ハッカーを迎え入れることになるのだ。しかも、アメリカ政府は攻撃に気がつくことができなかった。

アメリカの国土安全保障省や原子力研究機関も狙われたらしい。国家運営の何もかもがロシアに筒抜けだったというわけだ。

さらに、この攻撃は続いているらしい。ハッカーは引き続きemailを送り続け、データ上の侵略行為を行なっているらしい。ロシアンハッカーの目的はアメリカの中になんらかのコネクションをつくることのようだ。攻撃対象になっていたのは、国際開発や人権関連の団体が多かったようだ。記事にはプーチンが反体制派の人間の情報収集をしようとしていたのではないかという推論が掲載されていた。

アメリカによる外交官の排除や制裁には屈しないというロシアからのメッセージでもあるという見方もあるが、しかし、ロシア側はアメリカのでっち上げで、サイバー攻撃など、そんなものに関与していないと否定している。こちらもいつもの応酬なのだろう。

記事に出ているアレクセイナワリヌイは日本のWikipediaにも詳しい記事になっている。反プーチン体制派で毒殺されかけた経験もあるらしい。毒殺!?恐ろしいことだ。反体制派は毒殺されるらしい。日本はどうなのだろうか。ニュースにならないだけで、そんなことが起きているのだろうか。いやはや、政治とは恐ろしいものだ。

毒殺は日本の歴史ではどの程度あったのだろうか。人斬りという言葉があるぐらいなので、刀による暗殺はあったのだろう。毒殺はなかったと言いたいところだが、あったことだろう。今もあるのだろうか。考えたくもないものだ。

一口にソフトウェアと言っても数多いものだ。顧客管理、経理システム、営業管理、売上予測、在庫管理、株式取引、コンテンツマネジメントシステム、スケジュール管理、メールシステム、地図検索、路線検索、電子決済、口座管理、まぁ、この辺にしておこう。これだけすべての行動が電子的に処理されるのだ。裏でエンジニアが何をしているかなんてわかるわけがない。というわけで、データ利用がどのように行われているか透明性を保つ必要があるという議論が盛んになるわけだ。人の弱みを握るエンジニアに権力が集中する時代。それが現代だ。

夏目漱石が、近代人はみんな探偵のようになるとどこかで書いていたのを読んだことがある。確かに、言う通りになったのかもしれない。

その日の夜は、カンパチの刺身と豆腐ハンバーグだった。刺身は本当にウマイ。私は舌鼓を打ってから満足して風呂に入り、ストレッチしてからとこについた。

前日、シーウィンドで話をした、北川から電話で連絡が入った。電話になると彼女の声の質は、どこか神経質というか、ぶった切ったような印象というか、美人で冷たい印象に切り替わる。しかも、今回はセリフもセリフだったので、彼女の冷たい印象がより強調された。

「私は認めません。絶対にそんなことはありません。彼の言っていることは嘘です。彼がそういうことを言うなら、私にも考えがあると、そういう風に伝えてください」

どうやら、ひと悶着ありそうだ。

(続く)

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『世界時々フィクション(No.9)』ロシアからアメリカへのサイバー攻撃!?

参考記事:By David E. Sanger and Nicole Perlroth, "‘Russia Appears to Carry Out Hack Through System Used by U.S. Aid Agency, “The New York Times”, May 28, 2021

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