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GODIVAに新商品の提案をしたら・・・

こんなことがあるなんて!

高校1年生の「社会と情報」の授業で、グループに分かれて新しいスイーツを考えてプレゼンテーションする取り組みがあったんです。

その中で、あるグループがGODIVAの新商品を考案して、それがなかなか面白かったので、「高校生が考えた新商品案をぜひご覧頂きたいです」とGODIVA本社に持ちかけたんですね。

するとすぐにGODIVAジャパンのマーケティングディレクターのアシスタントの方から「ぜひ拝見させて頂きたい」とのご連絡が!

そのことをメンバーの生徒4名に伝えると、それはもう大喜び。

まさか、あの雲の上の存在のようなハイブランドのGODIVAの本社の人が、自分たちの案に興味を持ってくれるなんて、驚き以外の何物でもありません!

しかもお相手はGODIVA本社の役員クラスの方ということで、こちらは女子高生4人ですから、それはもうキャーキャーと大騒ぎになりました。


プレゼンに向けて準備開始!

1月になって、プレゼンの日が決まりました。
コロナ感染者数が一気に増えたタイミングだったので、六本木のGODIVA本社訪問は叶わずでしたが、オンラインでプレゼンするお時間を頂くことができました。

さて、そうなると準備万端で臨みたいところですが、高校生は意外と忙しい身分。
朝8時半から16時まではみっちり授業ですし、放課後は部活に補習に行事の練習と、なかなか集まることもままならないわけです。

そんな合間を縫って、プレゼン内容のブラッシュアップを始めました。
当初のプレゼンは、原材料、レシピ、カロリー、アレルギー、原価などを中心に構成されていましたが、お相手がマーケティングのプロの方々なので、もっと練る必要がありました。
そこで、ターゲットの設定、商品の魅力の明確化、キャッチコピー、価格などをプレゼンに加えることに決めました。

新商品案の名前は「スノードームパンケーキ」です。パンケーキの上に大きなチョコレートのドームが載っていて、雪に見立てた白い粉がかかっています。
そしてチョコで作った蝶がとまっています。
ドームの中は空洞ですが、パンケーキの上にはホイップクリームとフルーツと、もう一匹の蝶が載っています。

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いまの時代、SNS映えは当然必要な要素として意識されているわけですが、それだけではモノ足りないと考えた生徒たちは、考えていました。
食べ方です。

なんと、ドームに熱々のホットチョコレートをかけて、ドームを溶かして食べるのです。
パンケーキにチョコが溶けてかかるうえ、ドームに止まっていた蝶がパンケーキに降りていき、もう一匹の蝶と出会うというロマンチックなストーリーが付いているんです!

これなら動画でバズる可能性も秘めていますし、「この蝶は私で、この蝶はあの人」という風に当てはめて楽しむことができるので、とてもよく考えられているアイデアです。

このナラティブ(物語)な部分をキャッチコピーにすれば差別化できるね!ということになって、生徒たちはキーワード探しのためにスマホでひたすら検索です。
ワードの候補はたくさん挙がったものの、すぐには名案にはまとまらず、その日はとりあえず「雪解けは出会いの予兆」という案にして、それをさらに揉んでみることが宿題になりました。

そして後日、「解け」をひらがなにして、「出会い」ももう少しロマンチックにして、「予兆」は科学的な響きなので血の通った言葉にすることにして、「雪どけは出逢いの予感」に決着したのでした。


産みの苦しみ

GODIVA本社へのプレゼンはワクワクするプロジェクトですが、準備がトントンと進んだわけではありませんでした。

プレゼン直前のある日、メンバー間で言い争いが起きました。
「意見を聞いてくれないならもう辞める」「聞いてないんじゃなくて、言ってないよね」みたいな展開です。

双方が自分の言っていることが正しいと思っているのですぐに修復とはいかず、結局は担任の先生にも入ってもらって、昼休みの時間では終わらずに5時間目の授業時間にも割り込んで、ようやくの仲直りでした。

それでも、その後はしっかり一致団結して、準備にラストスパートをかけていましたので、その点はみんな大したものでした。

また、プレゼンの説得力を上げるには、実際に試作して、ドームが溶けるのを撮った動画があった方がいいんじゃないか、という話になったときは、メンバーの一人が「私がやってみます」と手を挙げてくれました。

そして土曜日にその生徒が自宅で試作に挑戦。
ところが、先に焼いておいたパンケーキが縮んでしまって、厚みがなくなり見た目が貧相になったらしく、作り直す時間もないのでどうしよう、、、と私(担当教員)に連絡が入りました。

遠隔ではどうしようもなかったので、「パンケーキが薄くなったのは残念だけど、チョコドームが溶けるところがポイントだから、そのままでやってみて」と伝えました。

すると今度は、ドームのチョコレートが固まらないとの連絡が。
こうなるともう動画は諦めるしかないので、労いつつ、「チャレンジしたという証拠写真は残しておこうね」と伝えました。
そう甘くはなかったわけです。

でも、その生徒はここから根性を発揮してくれたんです!
しばらくすると、再び連絡が来ました。
「やっぱり納得がいかないので、水曜日に再チャレンジしたいです。作り直すのにチョコレートと牛乳の追加で予算を400円くらいオーバーするけど大丈夫ですか?」

誰がノーと言うでしょうか? 私は感激して返信しました。
「了解!その執念、大好きです!」

―――かくして水曜日の再チャレンジでは、一つめはチョコが薄くてドームが崩れてしまったものの、二つめで見事成功。企画案通りのチョコドームができたのでした!
涙。

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そして翌木曜は、プレゼン前日の最終確認日。
仲直りもでき、試作にも成功したので、放課後の最終ミーティングでは生徒たちも少し自信を持って取り組めているようでした。

ターゲット設定は10~20代のお一人さまということにして、サブキャッチは「苦い恋より甘い恋を求めてみませんか?」になりました。

パワーポイントも完成し、それぞれの担当部分の練習もして、いよいよ明日の本番を待つばかりです。

一方で、プレゼン当日の自己紹介では、名前だけではなくひと言エピソードを入れることにしたので、生徒たちは「何を言えばいいの?」とオロオロしたりしていました。(笑)


優しくてオープンなGODIVAの方々

金曜日の放課後、オンラインミーティングが始まりました。
GODIVAジャパンからは、マーケティングディレクターのジョセフさん、DXとGODIVAカフェ担当のアクティングディレクターの方、マーケティングリサーチを担当されている方、マーケティングアシスタントの方の4名でした。
提案のスノードームパンケーキをGODIVAカフェの期間限定メニューとして考えていたところに、GODIVAカフェのトップの方もいらっしゃるとは!

生徒たちは、それぞれがエピソードを入れて自己紹介をしました。
最近始まったマックとGODIVAがコラボしたホットチョコレートを飲んだ話。
母親から買ってもらうGODIVAのチョコリキサーが小さい頃から好きでしたという話。
バレンタインにはいつもGODIVAを選んでいて、インスタもフォローしてるという話。
最寄り駅のショップでGODIVA50周年を知りました、おめでとうございますという話。
予想以上に社交的なエピソードに、私も「おおっ、いい入りだ」と胸が高まります。

プレゼン中は、GODIVAの皆さんから質問をたくさん頂きました。
高校生らしい素直な応対は、時に大人からすると(そんなにストレートにノーと答えなくてもいいのに…)(あれ、矛盾しちゃってないかな…)とハラハラする部分もありましたが、そういうところもGODIVAの方々は寛容に聞いてくださって、本当にありがたいばかりでした。

特に試作した話には詳しく質問がありました。
ドームはどうやって作ったのか(※回答:サラダ油を塗って膨らませた風船にチョコをコーティングして、冷蔵庫で2時間冷やして固まったら風船を割る)、スノードームなのになぜ白にしなかったのか(※回答:甘くなりすぎるしカロリーが高くなりすぎる)など。
そして、ドームを溶かしたときの動画が見たいとリクエストされ、温度を間違えてよく溶けなかったと答えると、失敗作の動画でもいいから送ってほしいと頼まれました。

GODIVAジャパンは、マックやローソンとのコラボもそうですが、商品企画をとてもオープンに行われています。
特に、50周年を記念してコラボレーションを広く募集する「ご縁プロジェクト」がプレゼン日の直前に始まっていて、私たちがその先駆けのような形になったとのことでした。
そんなGODIVAさんのカスタマーの声を丁寧に聞く姿勢のおかげで、私たちの案も目に留めて頂けたのでしょう。

プレゼンはとても和やかに進み、私たちの新商品案は、なんとGODIVAカフェのエグゼクティブシェフ・ショコラティエでパティシエのヤニック・シュヴォローさんに共有し、社内で精査してくださるというご返事を頂いたのです!!

そして最後には、スクリーンショットで記念写真を撮って、オンラインミーティングは終了しました。

終了後、生徒たちは「死ぬほど緊張したーー」と言っていましたが、用意しておいたGODIVAカフェのマリトッツォを手渡すと、最高の笑顔になっていました。

   * * * * * *

さてさて、果たして新商品に採用されるなんてことがあるのでしょうか?
そんなにうまい話はそうそうないとは思いますが、そんな夢を少しでも見させてくれるなんて、本当に素敵な企業様とめぐり会えたと、ただただ感謝するばかりです。

GODIVAの皆さま、ありがとうございました!

(H Sakamoto)

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