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産後うつから考える今求められている社会システムの変化

 産後うつによる自死は防げる。いや、もっと正確に言えば、産後うつそのものをなくすことが出来る。私たちが本気でそれを望み、腰を据えてそれに取り組むならば。

 人類の長い歴史の中で近代・現代ほど、これほどまでにお母さん及び女性(性)が(特に精神的に)サポートを得ていない時代はないと思う。社会の中に異常の種が芽生え、それが長く続き勢力を伸ばし社会を覆うと、魔法が徐々にかけられるかのようにして、いつの間にかそれがその社会の”普通”になってしまう。現代社会におけるお母さんたちへの慢性的なサポート不足もいつの間にか受け入れられてしまった異常だ。


 長い間コミュニティの中で生きていた人類にとって、核家族という孤立型の家族の在り方もいつの間にか受け入れられてしまった異常だ。周りにいる人たちも皆、その異常を受け入れているのであれば、その異常を普通と受け入れていないあなたがいずれ異常扱いされる。孤独な人生と異常を普通として受け入れた社会の二つの選択肢を提示されれば、私たちのほとんどは後者を選ぶことになる。

 社会システムの異常が普通として受け入れられても、その異常さそのものの影響は当然消えてなくなりはしない。だが、私たちはその社会のほとんど誰もがそれを普通として受け入れ振る舞っているのを目にする。そこで起こる当然の帰結の一つは、個人がそのいわば見えない異常を内在化し、自分を責めはじめるのだ。「こんなに私の子供が泣きわめくのは、私のケアが至らないからだ。」「なんで自分はこんなに落ち込んでるんだろう。自分は弱い、ダメな人間なのだ。他のみんなは出来ているのに。」もしくは、その自責の念を自分で抱えきることができずに、それが外に向けられる。それが家庭での暴力や虐待につながる。


 つまり、産後うつのような症状は、社会システムの中に長年浸透してしまったことで不可視になってしまった異常が、現代では力を弱めているコミュニティや家族の層を突き抜け、それを個人が引き受けざるを得なくなってしまい、それを引き受けきれなくなった時に生ずるある意味で仕方がないものなのだ。それは決して個人の弱さや欠損などではない。変わるべきなのは社会システムと私たち一人一人の意識の方なのだ。

 いつの間にか受け入れられてしまった異常を実際にそれが異常なものだとしてしっかり認識し、群れから離れるのを恐れずに行動し始めた時に、その異常を内包した社会システムそのものの内側から必要な変化が立ち上がってくる。性差別という異常が普通として受け入れられていたアメリカ社会に立ち向かい、性差別を是とする法律そのものの変化に挑み、それが変わっていく力強い流れを生み出した故ルース・ベイダー・ギンズバーグさんが体現してくださったように。

 お母さんたちと女性(性)が力を取り戻すために立ち上がらなければならない時代がやって来た。それは地球が力を取り戻すことと重なる。地球は「母なる地球」と呼ばれることが多い。お母さんたちへのサポートが不足している時代に、母なる地球が破壊されているのは決して偶然ではない。地球がバランスを取り戻すためにも、傷ついた女性性が健全化に努める男性性によりエンパワーされ、両性がその本質を思い出し、本来のバランスが取り戻されなければならないのだ。


Here Comes the Change ~Kesha

いつか私が死んでも
世界は回り続けるだろう
私がここを去る時には
より良い所になるように

闇の中で光であるのは
とても難しいけど
絶対に大丈夫
その時はくるのだから

さあ 変わる時が来る
私達の時代が来る
表面だけじゃない
本当に変わる時が来る

私に子供が出来るなんて
信じられないけど
子供達の生きる時代は
万人が平等であるように

過ちの中で正しくあるのは
とても難しいけど
絶対に大丈夫
その時は来るのだから

さあ 変わる時が来る
私達の時代が来る
表面だけじゃない
本当に変わる時が来る

自由に生き 自由に死ねる
そんな時代が来るといい
そんな日がきっと来る
すぐ来るように祈ろう

さあ 変わる時が来る
私達の時代が来る
表面だけじゃない
本当に変わる時が来る

さあ 変わる時が来る
私達の時代が来る
表面だけじゃない
本当に変わる時が来る

今は変化の時
私達こそが変化
さあ 変わる時が来る

”まだやるべきことがあるのです”
ールース・ベイダー・ギンズバーグ



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