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雨降って地固まる話

 職場の上司と喧嘩をしました。
 正確には喧嘩というより患者さんの治療方針に関する議論といった方が適切かもしれません。しかし傍から見たら喧嘩しているようにみえたことでしょう。それくらい激しい口論でした。

 結局、治療方針に関しては主に上司の主張を通す形で収め、アグレッシブに過ぎると思ったその治療選択も、幸い私の懸念したような展開にはならず結果オーライとなりました。

 私も大概ASDですが、その人は輪をかけてASD然としています。しかも自覚がありませんから、度々対人関係のトラブルに巻き込まれています。医者界隈はグレーゾーンも含めるとASDやADHDがかなり多いと感じます。私はその人と他の医療スタッフの間の緩衝材のような役目をしているわけですが、なかなか骨の折れることです。そうしたストレスを背景に苛立ちが募り、意見の衝突を契機に口論に発展したのだと推測します。

 分かったことは、その患者さんにとってベストな治療が何かということを、互いに真剣に考えた末に意見が衝突したということです。意見の否定は人格の否定ではありません。そういう議論は大いにやったほうがいい。

 さて、雨降って地固まるといいますが、本件もそれに当てはまったようです。口論の後から、上司の雰囲気が変わりました。会話が成立しやすく、決めてかかるような暴走列車ではなくて、十分な意見交換をしながら診療にあたることができるようになりました。普段おとなしい私が激しく主張したものだから、見る目が変わったのかもしれません。私も上司には、元より知識の幅広さや仕事の細かさと粘り強さ、(伝わりにくいけど)患者さんを第一に考える優しさなど、尊敬しているところがたくさんありましたから、素直に応対しやすくなります。

 一度の喧嘩が、働きやすさを変えました。

 変わらないと半ば諦めていたものが、変わることもあるのです。

 雨降って地固まる。

 もうしばらくすると梅雨ですね。恵みの雨。
 もし旱魃が続いているようなら、ひとつ雨乞いの儀式でもしましょうか。


 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方の心に降る雨が、かえって心を強固にしていきますように。


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