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自己評価の調整と効用 【実践心理学】

 医学生の病棟実習の評価にあたって、「自己評価」の項目があることが当たり前のようになりました。「診察」や「医療面接(問診)」「コミュニケーション」など、細分化されて相当数の項目に数字で自己評価を書いて提出してもらいます。担当医はその横に客観的な(=担当医の主観的な)評価の数字を書き込みます。
 基本的に自己評価で何かが大きく変わるわけではなくて、たいていの学生は真ん中くらいの数字を適当に書いているように感じます。

 ところが中には異様に自己評価の高い学生や、異様に低い学生もいます。書面からみえるだけですから実際には異なるかもしれないと思いつつ、興味深いのは実力と自己評価の高低は一致しないということです。

 優秀にみえても強いコンプレックスを抱え低い自己評価に生きる人もいれば、極めて怪しい知識を自信満々に披露する危うい人もいます。

 研修医の頃にお世話になった指導医に、自己評価がピッタリ実力通りの人がいました。過不足なく自分を分かっていて、それはそれはスマートな診療をしていました。「苦手とできないは違う」といって苦手な救急対応もソツなくこなし、「これは僕の専門だから」といって極めて高度な医療を展開します。その人の自己評価は「僕は医者として中の下」でした。
 当時の私にとってモデルケースになるようなスーパードクターでしたが、研修医を終えて専門科に進み、色々な医師・研究者をみているうちに、その先生の言葉の意味が分かりました。たしかに上には上がいるのです。その先生の想定した「医者」は世界レベルであって、たしかにトップクラスまで含めた場合には、当時の先生は「中の下」だったのかもしれません(今はもっとすごい人です)。

 自己評価の高さを決めるのは様々な要因がありましょうが、ここではその効用に注目します。

  1. 自己評価がピッタリの人:正確な自己分析は他者からの信頼を得やすく最適ですが、自分の枠を決めてしまうことで予想外の変化は起こりにくいでしょう。

  2. 自己評価が低めな人:良く言えば謙虚。身を守る術となり安全です。向上心と合わされば成長に繋がりますが、自信をなくすとどこまでも堕ちていきます。

  3. 自己評価が高めな人:悪く言えば傲慢。ミスや過負荷を招きます。しかし「できる」という思い込みは可能性の塊で、自己評価に引っ張られて実力が伸びていくことも往々にしてあります。何かに挑戦するには最適です。


 さて、私の自己評価は可変式です。

 意識的に自己評価を「操作」することで、様々な状況に適応する術を身につけました。実力ピッタリを目指しつつ、低めにしたり、高めにしたり、そうやって心を守りながら戦います。今年は少し新しいことに挑戦するため、ちょっと高めをキープしていく予定です。
 なお「可変式の自己評価」は万人にオススメできる方法ではありません。
 下記の記事の分類で「操作系」「変化系」の方にオススメです。

 「具現化系」の方は、持ち前の洞察力と論理的思考によって正確に自己分析し、自己評価ピッタリを目指すと心地良く健全な心を保てるでしょう。
 「強化系」の方は、自己評価を少し低めに保つことで自分を奮い立たせ、どんどん実力を伸ばしていくことができるでしょう。
 「放出系」の方は、自己評価を少し高めに保つことで自分の発信する物事に説得力が伴うようになって、周囲からの評価を得て実力が自己評価に追いついていくはずです。

 興味のある方・暇な方は、上記記事にコメント頂ければ「渡邊流・心理学的水見式」で貴方の系統をお応えいたします。

 拙文に最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、貴方にとって「自己評価」が有用な防具になりますように。


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