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遠い未来の正確な予測は可能か

 占い師と予言者は別物です。

 「なぜ占い師が一人も**を予言出来なかったのか」という指摘を頻繁に見掛けますので、医師・占い師の立場から考察してみましょう。

 占い師は問題解決に特化した職業で、そもそも正確な未来予測を必要としません。さらに未来を観測・予測・予知したとしても、それを依頼主に直接伝えたり不特定多数に発信したりすることは、必ずしも好ましい結果を齎さないことにも留意しなければなりません。基本的に「依頼されていない個人を勝手に占って結果を公開する」ようなことは御法度ですから、先の質問に対する一つの回答は「占っていない/結果を公表していない」と考えます。

 さて、占い師が知り得ない情報を「言い当てる」というパフォーマンスをすることもあります。それは占いの信憑生を容易く上げる方法のひとつですが、よくよく考えるとあまり意味のないことです。たしかにウケは良いのだけれど、聞けば分かるような情報を言い当てたところで何も変わりません。依頼主の抱える問題の描出と解決策の模索にこそ、焦点を当てるべきだと私は考えます。

 悪徳業者の中には第三者を利用して事前に情報を集めておいて、さも占いが当たったかのように振る舞うところもありますから、注意が必要です。


 未来は無数に分岐しています。

 もっと云えば(たぶん)過去も分岐しています。


 占いで未来予測をしようとすると、四柱推命学や西洋占星術が有用でしょう。どちらも星を読む手法であって、宇宙・地球・人間というスケールを観測し、起こりうる未来を計算します。これは予測であって、観測ではありません。したがって予知とは少し異なるものです。

 一方の予言者は、未来予知の能力と捉えた方がよいでしょう。能動的或いは受動的に未来の一部を予知する人たちがいます。非常に扱いの難しい能力で、予知した情報を「予言」することの是非は、私には判断がつきません。

 いずれにしても、未来は一本道に決まっているものではないということを、私は明記します。

 証明のしようのないイメージの領域です。

 無数の分岐の中から幾本か流れが向かいやすい道を見極めたり、重要な決断や選択が潮流に与える影響を視たり、近い未来に遭遇し得る危険を回避する術を探索したり、それくらいが私には精一杯です。

 稀に大きく未来を切り替えることもありますが、私のやり方では当事者が大きなエネルギーを費やしますから、あまり現実的ではないように思います。切り替え難い本流のような道を運命と呼ぶならば、そういうものもあるのでしょう。

 今、何気なく「切り替える」という言葉を使いましたが、私は未来について「変える」よりも「替える」と言った方がしっくりきます。並行世界だなんてSFな設定ですが、千年後には科学的常識になっているかもしれませんね。

 尤も、特定の分野に精度の高い未来予測をするだけならば、超常的な能力を使う必要などありません。臨床医は常に患者の未来を予測しながら診療しているものですから、すると占いも医学も根底には類似した思想が流れているような気がしてきます。

 私が大切にしているのは、自分の人生を能動的に生き抜くということです。手の届かない事象を嘆くよりも、芯を通して自分の思考と言動を積み重ねていくことが、大きな流れを味方につけて能動的に生きていく秘訣のように思います。



 拙文に最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。願わくは、貴方が過去にも未来にも囚われない能動的人生を楽しめますように。




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